メグルユメ
7.白き兵隊
メルとルーサを置いて、勇者一行は出発した。自分で決断したわりには、エンドローゼは不安を顕にしている。
「だ、だ、大丈夫でしょうか?」
「さぁな。でも、あのフォンに祈ったんだろ? じゃあ何とかしてくれるだろ。っと、魔物だ」
コストイラはエンドローゼのことを慰めながら刀を抜いた。
現れたのは3体のガーゴイル。こちらを視認すると、何かに驚いたような顔をした。しかし、すぐに覚悟を決めたように突っ込んできた。
コストイラは焦ることなく2体を瞬殺し、1体はアストロの闇の魔力に沈んだ。
「何でガーゴイル?」
「さぁ?」
『今のは闇の魔力』
声がした方に視線を向けると、レイドと同様に2m越えの身長をした騎士がいた。
銀に輝く重厚な鎧に、紺青のマント、身長と同じくらいある大剣。どこをどう見ても立派な重騎士だ。
「闇の魔力なんて珍しくねェだろ。八つの魔力はバランスが取れているんだからよ」
『確かにそうだ。しかし、この地においては意味合いが違う』
ホワイトジェネラルが大剣を振るった。コストイラは刀を合わせるが、瞬時に理解した。こいつはかなりの馬鹿力だ。圧し潰される。
コストイラは力を合わせるのではなく、技に逃げて往なした。大剣が地面を叩く。地面が大きく罅割れ、威力を見せつけてきた。
エンドローゼ以外の5人は、この相手は鈍足型の重歩兵だと確信した。その場合、普通は遠距離射撃型か近距離スピード型のどちらかは必ずいる。
炙り出すためにはもう一度アタックする必要がある。
コストイラが4人にアイコンタクトを試みる。全員に伝わったようだ。
仲間外れにされたエンドローゼが少し寂し幼な顔をしている。後でしっかりフォローしておこう。
アシドが槍を構えると、ピクリと相手が反応した。
その瞬間、動き出したのはシキの方だった。シキが飛び蹴りを繰り出すと、ホワイトジェネラルは左手につけられている丸盾で防いだ。
草陰からレイピアを持った白き兵が飛び出してきた。白き兵がレイピアを振るうが、シキは丸盾を利用して軽々と躱した。
その間に、コストイラとスイッチする。飛び出してきた白き兵は見た目がヴァルキリーだ。
白地の布に赤い刺繡があしらわれた服に手袋、ブーツを身に着けており、白銀の剣身に赤い線が描かれたレイピアを持っている。
しかし、そのレイピアは振り切られている。コストイラの攻撃を防げない。
何とか動きを止め、身を戻そうとするが、間に合わない。顔に一閃される。ヴァルキリーは傷を押さえながら、ホワイトジェネラルの後ろを陣取った。
ヴァルキリーが手をどかすと、顔に縦の赤い線が走っていた。その線は左目の上を通っており、視力は失われていた。
ホワイトジェネラルが左側を護るように立つ。
「コストイラ! アシド!」
要件の言われない名前だけの叫び。それだけで意図を察したコストイラとアシドは、振り返ることなく横に跳んだ。
コストイラとアシドとアストロの間にはある取り決めがある。戦闘中に名前だけ呼んだ時は、お前射線上にいるから邪魔なんだよ、という意味だ。
だから横に跳んだ、何が飛んでくるのか知らないけど。
両者の間ギリギリを、黒い靄のようなものが通った。
これは、なんだ?
コストイラもアシドも見たことがない。アストロの扱う闇魔法は、何かこう、足元を覆う感じのやつだ。煙っぽい感じであって、こんな靄のようなものではない。
ホワイトジェネラルが黒い靄に、不用意に大剣を振り下ろす。
シャゴリと音がした。
一切聞いたことがない音だ。しかし、どこか本能が訴えている。この感情は恐怖か?
その後も2回音が鳴り、黒い靄が消えた。
『ゴフ?』
『アバ?』
ホワイトジェネラルの大剣、右半身、ヴァルキリーの左半身がなくなっていた。焼失した部分からは血さえ出てこない。口からは噴水のように絶え間なく血が出ている。
2人が重なるように倒れた。一撃での絶命。この威力はアストロでは出せない。これは誰の何だ?
アストロは目を逸らした。
「よかったわね、エンドローゼ。あの2人お迎えが来たわね」
「ふぉ~」
エンドローゼが拳を握って興奮している。何か可愛いので放置しておこう。
「だ、だ、大丈夫でしょうか?」
「さぁな。でも、あのフォンに祈ったんだろ? じゃあ何とかしてくれるだろ。っと、魔物だ」
コストイラはエンドローゼのことを慰めながら刀を抜いた。
現れたのは3体のガーゴイル。こちらを視認すると、何かに驚いたような顔をした。しかし、すぐに覚悟を決めたように突っ込んできた。
コストイラは焦ることなく2体を瞬殺し、1体はアストロの闇の魔力に沈んだ。
「何でガーゴイル?」
「さぁ?」
『今のは闇の魔力』
声がした方に視線を向けると、レイドと同様に2m越えの身長をした騎士がいた。
銀に輝く重厚な鎧に、紺青のマント、身長と同じくらいある大剣。どこをどう見ても立派な重騎士だ。
「闇の魔力なんて珍しくねェだろ。八つの魔力はバランスが取れているんだからよ」
『確かにそうだ。しかし、この地においては意味合いが違う』
ホワイトジェネラルが大剣を振るった。コストイラは刀を合わせるが、瞬時に理解した。こいつはかなりの馬鹿力だ。圧し潰される。
コストイラは力を合わせるのではなく、技に逃げて往なした。大剣が地面を叩く。地面が大きく罅割れ、威力を見せつけてきた。
エンドローゼ以外の5人は、この相手は鈍足型の重歩兵だと確信した。その場合、普通は遠距離射撃型か近距離スピード型のどちらかは必ずいる。
炙り出すためにはもう一度アタックする必要がある。
コストイラが4人にアイコンタクトを試みる。全員に伝わったようだ。
仲間外れにされたエンドローゼが少し寂し幼な顔をしている。後でしっかりフォローしておこう。
アシドが槍を構えると、ピクリと相手が反応した。
その瞬間、動き出したのはシキの方だった。シキが飛び蹴りを繰り出すと、ホワイトジェネラルは左手につけられている丸盾で防いだ。
草陰からレイピアを持った白き兵が飛び出してきた。白き兵がレイピアを振るうが、シキは丸盾を利用して軽々と躱した。
その間に、コストイラとスイッチする。飛び出してきた白き兵は見た目がヴァルキリーだ。
白地の布に赤い刺繡があしらわれた服に手袋、ブーツを身に着けており、白銀の剣身に赤い線が描かれたレイピアを持っている。
しかし、そのレイピアは振り切られている。コストイラの攻撃を防げない。
何とか動きを止め、身を戻そうとするが、間に合わない。顔に一閃される。ヴァルキリーは傷を押さえながら、ホワイトジェネラルの後ろを陣取った。
ヴァルキリーが手をどかすと、顔に縦の赤い線が走っていた。その線は左目の上を通っており、視力は失われていた。
ホワイトジェネラルが左側を護るように立つ。
「コストイラ! アシド!」
要件の言われない名前だけの叫び。それだけで意図を察したコストイラとアシドは、振り返ることなく横に跳んだ。
コストイラとアシドとアストロの間にはある取り決めがある。戦闘中に名前だけ呼んだ時は、お前射線上にいるから邪魔なんだよ、という意味だ。
だから横に跳んだ、何が飛んでくるのか知らないけど。
両者の間ギリギリを、黒い靄のようなものが通った。
これは、なんだ?
コストイラもアシドも見たことがない。アストロの扱う闇魔法は、何かこう、足元を覆う感じのやつだ。煙っぽい感じであって、こんな靄のようなものではない。
ホワイトジェネラルが黒い靄に、不用意に大剣を振り下ろす。
シャゴリと音がした。
一切聞いたことがない音だ。しかし、どこか本能が訴えている。この感情は恐怖か?
その後も2回音が鳴り、黒い靄が消えた。
『ゴフ?』
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ホワイトジェネラルの大剣、右半身、ヴァルキリーの左半身がなくなっていた。焼失した部分からは血さえ出てこない。口からは噴水のように絶え間なく血が出ている。
2人が重なるように倒れた。一撃での絶命。この威力はアストロでは出せない。これは誰の何だ?
アストロは目を逸らした。
「よかったわね、エンドローゼ。あの2人お迎えが来たわね」
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エンドローゼが拳を握って興奮している。何か可愛いので放置しておこう。
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