メグルユメ
21.皇位の神龍
拳の威力は握力や体重、スピードが関わってくるとされている。シキの体重はたかが知れている。しかし、握力とスピードは一級品だ。
相手よりも速いスピードであれば、相手の破壊さえ可能だ。
アストロが舌を巻くほど繊細な魔力操作で筋力を増強させ、黄龍の頭を殴った。
黄龍の頭の鱗が浮いた。黄龍の動きはそこでピッタリ止まった。それよりも前に進まない。
グッと力を籠め、シキごと押し込もうとする。シキはそれを嫌い、ハイキックをお見舞いした。
黄龍の顔が大きく歪む。目玉が飛び出しそうなほどの威力を感じた。目に違和感が残るが、反撃に出ようとする。
脳がぐらぐら揺れている。視界もぐらぐらと揺れている。いつも以上に唾が分泌されている顔を振り回し、シキに噛みつこうとする。
シキはそれを見て、跳んで避けた。顔を振って追おうとするが、後ろにいたレイドが楯を使って殴って止めた。
唾とともに血が吐き出される。殴られたことで、さらに脳が揺れていった。激しく揺れる視界の中で、次に狙うべき相手を探す。
怒りと脳震盪により、もう正常な判断ができない。
龍の眼は先程殴った奴を捉える。
口内で魔力を渦巻かせ、サイクロンを発生させた。そのサイクロンでもってレイドより後ろの者達を吹き飛ばそうとする。
コストイラが刀を鞘にいれたまま、黄龍の下顎を殴った。サイクロンの威力が口内で爆発する。
威力が強すぎて牙が内側から飛び出してきた。口内はズタボロになっており、血がドバドバと溢れ出してくる。舌もズタズタで、もうデロリと出てしまって戻せない。
もしもこれが風ではなく爆発であれば、眼が飛び出していただろう。目の奥をガンガンに痛めながら、黄龍が顎下の輩を見る。
コストイラは構わずに刀を振るい、下顎を切った。そして速攻で脱出する。
痛みに怒りながら、咆哮する。その大口にアストロが魔術を打ち込んだ。
黄龍の口が大きく開かれ、ミチミチと千切れていった。筋肉は伸び切り、一部千切れて、閉じなくなった。
「おしまいだ!」
アシドが槍を振るって、黄龍の首元を殴打した。跳ね返るように長躯がうねり、アシドは弾き飛ばされた。
シキがアシドと同じ軌道で黄龍の首元に足を振り下ろした。足はうねり続ける首元を押さえつけ、叩き切った。
「これで終わりか?」
「そうなんじゃないですか? 今の黄龍が青龍や白虎と同じ立ち位置みたいですし」
アレンの言葉にピクリとアストロが反応する。
「同じ立ち位置? 本当に?」
「えっと、どういうことですか?」
「あの魔物達とこの龍には明確な違いがあるわ」
「違い?」
アストロに高圧的な言い方をされるが、アレンはピンとこない。しかし、コストイラは気付いた。
「光ってない」
「そう。光ってないのよ。朱雀の時は門が、青龍の時は海の血だまりが、玄武の時は雪が、白虎の時は死体。でも、今回は光ってないのよ」
「てことは、まだありそう」
コストイラが刀の血を拭いながら、収めずに構えた。
黄龍の死体と東西南北からも光の柱が出てきた。浮遊する大地からでは、東西南北の光の柱は何を元にしているのか分からない。
5つの柱が一つにまとまり、渦を作っていく。光は楕円となり、棒状となり、蛇のようになり、とぐろを巻いた。光は雲を割り、龍の形をとった。龍はすでに光でないため、光っていないのだが、割った雲から太陽の光が差していたため、光は失われていない。
藍色の瞼がグワリと開き、オレンジと黒の混じった色をした目が向けられる。
姿を現した龍は雄叫びを上げた。
相手よりも速いスピードであれば、相手の破壊さえ可能だ。
アストロが舌を巻くほど繊細な魔力操作で筋力を増強させ、黄龍の頭を殴った。
黄龍の頭の鱗が浮いた。黄龍の動きはそこでピッタリ止まった。それよりも前に進まない。
グッと力を籠め、シキごと押し込もうとする。シキはそれを嫌い、ハイキックをお見舞いした。
黄龍の顔が大きく歪む。目玉が飛び出しそうなほどの威力を感じた。目に違和感が残るが、反撃に出ようとする。
脳がぐらぐら揺れている。視界もぐらぐらと揺れている。いつも以上に唾が分泌されている顔を振り回し、シキに噛みつこうとする。
シキはそれを見て、跳んで避けた。顔を振って追おうとするが、後ろにいたレイドが楯を使って殴って止めた。
唾とともに血が吐き出される。殴られたことで、さらに脳が揺れていった。激しく揺れる視界の中で、次に狙うべき相手を探す。
怒りと脳震盪により、もう正常な判断ができない。
龍の眼は先程殴った奴を捉える。
口内で魔力を渦巻かせ、サイクロンを発生させた。そのサイクロンでもってレイドより後ろの者達を吹き飛ばそうとする。
コストイラが刀を鞘にいれたまま、黄龍の下顎を殴った。サイクロンの威力が口内で爆発する。
威力が強すぎて牙が内側から飛び出してきた。口内はズタボロになっており、血がドバドバと溢れ出してくる。舌もズタズタで、もうデロリと出てしまって戻せない。
もしもこれが風ではなく爆発であれば、眼が飛び出していただろう。目の奥をガンガンに痛めながら、黄龍が顎下の輩を見る。
コストイラは構わずに刀を振るい、下顎を切った。そして速攻で脱出する。
痛みに怒りながら、咆哮する。その大口にアストロが魔術を打ち込んだ。
黄龍の口が大きく開かれ、ミチミチと千切れていった。筋肉は伸び切り、一部千切れて、閉じなくなった。
「おしまいだ!」
アシドが槍を振るって、黄龍の首元を殴打した。跳ね返るように長躯がうねり、アシドは弾き飛ばされた。
シキがアシドと同じ軌道で黄龍の首元に足を振り下ろした。足はうねり続ける首元を押さえつけ、叩き切った。
「これで終わりか?」
「そうなんじゃないですか? 今の黄龍が青龍や白虎と同じ立ち位置みたいですし」
アレンの言葉にピクリとアストロが反応する。
「同じ立ち位置? 本当に?」
「えっと、どういうことですか?」
「あの魔物達とこの龍には明確な違いがあるわ」
「違い?」
アストロに高圧的な言い方をされるが、アレンはピンとこない。しかし、コストイラは気付いた。
「光ってない」
「そう。光ってないのよ。朱雀の時は門が、青龍の時は海の血だまりが、玄武の時は雪が、白虎の時は死体。でも、今回は光ってないのよ」
「てことは、まだありそう」
コストイラが刀の血を拭いながら、収めずに構えた。
黄龍の死体と東西南北からも光の柱が出てきた。浮遊する大地からでは、東西南北の光の柱は何を元にしているのか分からない。
5つの柱が一つにまとまり、渦を作っていく。光は楕円となり、棒状となり、蛇のようになり、とぐろを巻いた。光は雲を割り、龍の形をとった。龍はすでに光でないため、光っていないのだが、割った雲から太陽の光が差していたため、光は失われていない。
藍色の瞼がグワリと開き、オレンジと黒の混じった色をした目が向けられる。
姿を現した龍は雄叫びを上げた。
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