メグルユメ
16.蓐収の門
少しいつもと違う歩き方をしているアストロを気遣い、少しだけ速度が遅い。予定していた期間を5日は過ぎてしまうことになる。
しかし、焦らせてしまうと失敗してしまう可能性があるので、激励だけ与える。
アストロは自身の能力の低下に苛立ち始める。表に出さないものの、涙が出そうになる。
そのたびに目敏く発見したエンドローゼがアストロの袖を掴む。もう何を考えているかなどバレバレとしか思えない。
静かに息を吐いて上を見る。いったい後どれだけ登ればいいのだろうか。足が動かなくなってしまいそうだ。戦闘しながらの方が幾分か気が紛れるので楽だ。
その願いが通じたのか、鉱石の陰からアークキマイラが姿を現した。今までの凶悪な魔物に比べてマシな大きさの魔物の出現に、一同ホッと胸を撫で下ろす。
コストイラが刀を抜く。勝手知ったる相手ゆえ、そのまま走り出そうとする。そこでのそりと別の鉱石の陰からも魔物が現れた。
アークキマイラだ。魔物が一体ならまだしも、二体となると戦い方が変わってくる。不用意に飛び出すことはせず、一旦様子を見ることにした。
そこからさらにアークキマイラが増えてきた。
パレードかもしれないと思ってしまうほど、増えたアークキマイラが一斉にこちらを向いた。背中に冷たいものが走る。
一体が吠えながら突進してくる。
「一撃一殺じゃないと押し込まれちまいそうだぜ」
コストイラが刀を振るう。アークキマイラの首を一撃で切り落とす。止まることなく刀を振るい、体や頭を切りつける。
今まで硬かったり飛んでいたり、と気持ちよく戦えなかったが、アークキマイラは易々と切れる。コストイラが調子に乗り始めた。
取りこぼした敵をアストロが狙い撃ちする。撃つたびに腕がぶれてしまい、2割の確率で一殺を逃してしまう。
一殺を逃したアークキマイラ達を、アシドとシキが抹殺していく。アシドが綺麗に槍で殺しているのに対して、シキはナイフで蹴散らしていく。
シキはナイフで綺麗に殺しながら、蹴り技で頭や体を爆散させている。青龍のおかげで綺麗になった銀髪が再び赤く染まっていく。全然自分の体に気を遣っていない。
『オオオオ!』
「ヂャア!」
最後の一体を切り捨て、刀で宙を切る。刀についていた血が飛び、道の脇の鉱石を赤く染める。
「しのぎ切ったな」
「誰よ、今までよりもマシとか言った奴」
「誰も言ってねェよ。アストロが勝手に思ってたんだろう? ま、オレもか」
「「「へへへへへへ」」」
腕を失い、落ち込んでいても、幼馴染の馬鹿なノリは失っていなかった。その少しの明るさが素直なアレンにとっては、もう大丈夫そうだな、と思った。繋がり、人の気持ちに敏感なエンドローゼには無理しているように見えた。
それを見ると、エンドローゼはつらくなってしまう。察せてしまうアストロは溜息を吐いて近づき、雑に頭を撫でた。
エンドローゼは目を白黒させながら、頭を押さえてアストロを見る。アストロは鼻を鳴らして離れていった。
私が不安の種になってしまった。シュンと落ち込みながら表に出さないように努める。
むん、と拳を握り、気合を入れた。アストロは変に空回りしないようしてほしいな、と思いながら視線を切った。
積まれた死体が光り出す。今までは門、血だまり、雪ときて今回は死体だ。光り出すと次には強力な敵が出てくる。これまでの傾向から考えれば、それは確実だ。
光は宙へと浮かびあがる。わざわざ待っていてやる道理はない。アストロが魔力を撃ちこんだ。光は当たった瞬間に暴れ出し、腕やら尻尾やらが急速に生えてきた。体長4mを超える、白い体毛をした虎になって、地面に降り立った。
『オオオオオオ!!』
都合4度目のボス戦が、今始まった。
しかし、焦らせてしまうと失敗してしまう可能性があるので、激励だけ与える。
アストロは自身の能力の低下に苛立ち始める。表に出さないものの、涙が出そうになる。
そのたびに目敏く発見したエンドローゼがアストロの袖を掴む。もう何を考えているかなどバレバレとしか思えない。
静かに息を吐いて上を見る。いったい後どれだけ登ればいいのだろうか。足が動かなくなってしまいそうだ。戦闘しながらの方が幾分か気が紛れるので楽だ。
その願いが通じたのか、鉱石の陰からアークキマイラが姿を現した。今までの凶悪な魔物に比べてマシな大きさの魔物の出現に、一同ホッと胸を撫で下ろす。
コストイラが刀を抜く。勝手知ったる相手ゆえ、そのまま走り出そうとする。そこでのそりと別の鉱石の陰からも魔物が現れた。
アークキマイラだ。魔物が一体ならまだしも、二体となると戦い方が変わってくる。不用意に飛び出すことはせず、一旦様子を見ることにした。
そこからさらにアークキマイラが増えてきた。
パレードかもしれないと思ってしまうほど、増えたアークキマイラが一斉にこちらを向いた。背中に冷たいものが走る。
一体が吠えながら突進してくる。
「一撃一殺じゃないと押し込まれちまいそうだぜ」
コストイラが刀を振るう。アークキマイラの首を一撃で切り落とす。止まることなく刀を振るい、体や頭を切りつける。
今まで硬かったり飛んでいたり、と気持ちよく戦えなかったが、アークキマイラは易々と切れる。コストイラが調子に乗り始めた。
取りこぼした敵をアストロが狙い撃ちする。撃つたびに腕がぶれてしまい、2割の確率で一殺を逃してしまう。
一殺を逃したアークキマイラ達を、アシドとシキが抹殺していく。アシドが綺麗に槍で殺しているのに対して、シキはナイフで蹴散らしていく。
シキはナイフで綺麗に殺しながら、蹴り技で頭や体を爆散させている。青龍のおかげで綺麗になった銀髪が再び赤く染まっていく。全然自分の体に気を遣っていない。
『オオオオ!』
「ヂャア!」
最後の一体を切り捨て、刀で宙を切る。刀についていた血が飛び、道の脇の鉱石を赤く染める。
「しのぎ切ったな」
「誰よ、今までよりもマシとか言った奴」
「誰も言ってねェよ。アストロが勝手に思ってたんだろう? ま、オレもか」
「「「へへへへへへ」」」
腕を失い、落ち込んでいても、幼馴染の馬鹿なノリは失っていなかった。その少しの明るさが素直なアレンにとっては、もう大丈夫そうだな、と思った。繋がり、人の気持ちに敏感なエンドローゼには無理しているように見えた。
それを見ると、エンドローゼはつらくなってしまう。察せてしまうアストロは溜息を吐いて近づき、雑に頭を撫でた。
エンドローゼは目を白黒させながら、頭を押さえてアストロを見る。アストロは鼻を鳴らして離れていった。
私が不安の種になってしまった。シュンと落ち込みながら表に出さないように努める。
むん、と拳を握り、気合を入れた。アストロは変に空回りしないようしてほしいな、と思いながら視線を切った。
積まれた死体が光り出す。今までは門、血だまり、雪ときて今回は死体だ。光り出すと次には強力な敵が出てくる。これまでの傾向から考えれば、それは確実だ。
光は宙へと浮かびあがる。わざわざ待っていてやる道理はない。アストロが魔力を撃ちこんだ。光は当たった瞬間に暴れ出し、腕やら尻尾やらが急速に生えてきた。体長4mを超える、白い体毛をした虎になって、地面に降り立った。
『オオオオオオ!!』
都合4度目のボス戦が、今始まった。
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