メグルユメ
13.北方の守護者
玄武の「玄」とは玄人、素人という言葉があるように、色の黒を言う意味だ。亀の甲羅や鰭、体は黒一色だ。流石に濃淡はある。
亀と蛇の2つの頭を持っているため、その数だけ脳が存在している。他の四神と比べて考える速度が段違いに速い。
それが強さに出ている。それゆえに四神最強と言われている。
コストイラが刀を振るう。甲羅が硬いのは分かり切っていることなため、腹を狙う。
もちろん腹なら柔らかいという考えの元の攻撃だ。しかし、予想は裏切られた。
チッ! 腹も硬ェじゃねェか!
コストイラは腹の中で文句を言いながら、一旦離れる。相手がどんな速度で攻撃してくるのか、攻撃力も攻撃手段も、何もかも分からない。それがある程度解明できるまで、無茶無謀は冒せない。……本当か?
コストイラの横をシキが通り過ぎた。そのままの勢いで蹴りを繰り出した。
玄武の亀部分は海亀だ。甲羅や鰭を隠すことができない。
玄武は体を丸め、甲羅で受け止めた。宙に浮いているため、その場で耐えることはできなかったが、ダメージは通っていなかった。
素早く蛇の頭が動いた。シキがナイフを間に挟んで噛みつきを防ぐ。右腕を振り上げ、下顎を貫いた。
蛇の頭がブンブン振られる。シキは目を回すことなく耐えているが、ナイフは抜けそうになっている。
ナイフが抜けた瞬間、もう一振りのナイフを振った。蛇の右眼を切る。傷は伝播していくが、亀の体に当たった途端、伝播が途絶えた。
「ム」
闇の魔剣では亀に傷を創ることができない。
「ム?」
そこで自分の体が横に飛んでいることに気付いた。慣性は偉大だ。
左手から糸を出し、蛇の体に巻きつけて、戻ってくる。その勢いを利用して蛇の頭を蹴飛ばすが、動じない。
玄武は糸を回収したシキを、上から蛇の体で叩く。間にナイフを挟んでいるとはいえ、空中にいる状態で耐えられるはずもなく、シキは叩き落された。
亀の体で圧し潰そうとしてくる。いくらシキといえど、叩きつけられた直後では逃げ出せない。
その亀の体にレイドがタックルする。体重差で言えば1000倍はあるが、亀が浮いているためにシキの上からどかすことに成功した。
シキは素早く立ち上がり、然のナイフを振るった。切ることには成功したが、傷が浅い。
アシドがシキの創った傷を狙って槍を突き出した。玄武はわざと頭を差し出した。玄武に存在している鱗で穂先を受け止める。
首をうまく捻り、槍を弾いて隙を作り出す。腹を晒したアシドの体に音波を当てた。アシドの体に波が這い回り、口から血が吐き出される。
コストイラがヌッと現れ、玄武の傷に居合を入れる。傷を広げることに成功するが、それ以上の深い傷にできない。
蛇の体が動く。コストイラはギリギリで躱すことができ、逆に刀を振るったが、蛇の頭には回避されてしまった。
致命的な傷を創れず、貰わずの時間が過ぎる。時間と怪我で心が焦ってしまっている。それが分かっているのに、焦りが止まってくれない。その中で、結局に何もできないことにアレンは沈んでいたくなる。
その時、闇の魔力が鋭く刺さった。コストイラの一撃よりも大きな傷を創り、致命に近いものにした。
シキが回し蹴りを横顔に叩き込んで、首を千切れさせた。
「アストロ! 目が覚めたのか」
「えぇ、ごめんなさい」
「な、な、何で謝っているんですか」
アシドの背で寝ていたアストロがだらんと腕を下げた。アストロが弱気に謝る。それに対して、今までアストロに謝罪を叱られてきたエンドローゼが、アストロを叱った。
「い、い、いつも私に、あ、謝らないよう言ってきて、な、な、何を謝っているんですか?」
予想外のお叱りにアストロがキョトンとする。すぐに口角を上げ、静かに笑った。
「えぇ、そうね。何に謝っているのかしらね。ありがとう、エンドローゼ」
「フへぇ」
素直にお礼を言われたエンドローゼは、あまりの恥ずかしさに身を捻って変な声を出した。
「アシド。下ろしなさい」
「大丈夫なのか?」
「平気ではないわ。むしろ、今すべきことはこの状態の身体のスペックの調査よ。早ければ早いほどいいわ」
アストロの言い分に納得し、アシドは下ろしてやる。
「とと」
アストロはバランスを崩して倒れそうになった。
亀と蛇の2つの頭を持っているため、その数だけ脳が存在している。他の四神と比べて考える速度が段違いに速い。
それが強さに出ている。それゆえに四神最強と言われている。
コストイラが刀を振るう。甲羅が硬いのは分かり切っていることなため、腹を狙う。
もちろん腹なら柔らかいという考えの元の攻撃だ。しかし、予想は裏切られた。
チッ! 腹も硬ェじゃねェか!
コストイラは腹の中で文句を言いながら、一旦離れる。相手がどんな速度で攻撃してくるのか、攻撃力も攻撃手段も、何もかも分からない。それがある程度解明できるまで、無茶無謀は冒せない。……本当か?
コストイラの横をシキが通り過ぎた。そのままの勢いで蹴りを繰り出した。
玄武の亀部分は海亀だ。甲羅や鰭を隠すことができない。
玄武は体を丸め、甲羅で受け止めた。宙に浮いているため、その場で耐えることはできなかったが、ダメージは通っていなかった。
素早く蛇の頭が動いた。シキがナイフを間に挟んで噛みつきを防ぐ。右腕を振り上げ、下顎を貫いた。
蛇の頭がブンブン振られる。シキは目を回すことなく耐えているが、ナイフは抜けそうになっている。
ナイフが抜けた瞬間、もう一振りのナイフを振った。蛇の右眼を切る。傷は伝播していくが、亀の体に当たった途端、伝播が途絶えた。
「ム」
闇の魔剣では亀に傷を創ることができない。
「ム?」
そこで自分の体が横に飛んでいることに気付いた。慣性は偉大だ。
左手から糸を出し、蛇の体に巻きつけて、戻ってくる。その勢いを利用して蛇の頭を蹴飛ばすが、動じない。
玄武は糸を回収したシキを、上から蛇の体で叩く。間にナイフを挟んでいるとはいえ、空中にいる状態で耐えられるはずもなく、シキは叩き落された。
亀の体で圧し潰そうとしてくる。いくらシキといえど、叩きつけられた直後では逃げ出せない。
その亀の体にレイドがタックルする。体重差で言えば1000倍はあるが、亀が浮いているためにシキの上からどかすことに成功した。
シキは素早く立ち上がり、然のナイフを振るった。切ることには成功したが、傷が浅い。
アシドがシキの創った傷を狙って槍を突き出した。玄武はわざと頭を差し出した。玄武に存在している鱗で穂先を受け止める。
首をうまく捻り、槍を弾いて隙を作り出す。腹を晒したアシドの体に音波を当てた。アシドの体に波が這い回り、口から血が吐き出される。
コストイラがヌッと現れ、玄武の傷に居合を入れる。傷を広げることに成功するが、それ以上の深い傷にできない。
蛇の体が動く。コストイラはギリギリで躱すことができ、逆に刀を振るったが、蛇の頭には回避されてしまった。
致命的な傷を創れず、貰わずの時間が過ぎる。時間と怪我で心が焦ってしまっている。それが分かっているのに、焦りが止まってくれない。その中で、結局に何もできないことにアレンは沈んでいたくなる。
その時、闇の魔力が鋭く刺さった。コストイラの一撃よりも大きな傷を創り、致命に近いものにした。
シキが回し蹴りを横顔に叩き込んで、首を千切れさせた。
「アストロ! 目が覚めたのか」
「えぇ、ごめんなさい」
「な、な、何で謝っているんですか」
アシドの背で寝ていたアストロがだらんと腕を下げた。アストロが弱気に謝る。それに対して、今までアストロに謝罪を叱られてきたエンドローゼが、アストロを叱った。
「い、い、いつも私に、あ、謝らないよう言ってきて、な、な、何を謝っているんですか?」
予想外のお叱りにアストロがキョトンとする。すぐに口角を上げ、静かに笑った。
「えぇ、そうね。何に謝っているのかしらね。ありがとう、エンドローゼ」
「フへぇ」
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