メグルユメ
11.地獄の一丁目を通り過ぎ
フォンが切れた。
何も見ていないし、知らないディーノイは剣に手を掛けた。主に何かあった時のためのストッパー役を兼ねているからだ。
フォンは切れながら、ディーノイを制止させる。
『大丈夫。私は切れているけど、無暗に暴れたりしないから』
『そうですか』
『今から天罰を落とす』
最近天罰をかなりの頻度で落としている気がする。エンドローゼに対して危機が訪れすぎているという方を考えるべきか。
『死ね! サンドウォーム!』
フォンが人差し指を下に振ると、天罰が落ちた。
シキが走る足を急遽止めた。その後ろを走っていたアシドも足を止める。
「どうした?」
「来る」
「え?」
アシドが何が来るのかを聞こうとすると、天が光った。光は真っ直ぐに地面に落ち、砂を巻き上げ、サンドウォームを焼いた。
中にいたエンドローゼは無傷のまま、サンドウォームから現れた。目を瞑って丸まった、眠った状態だ。何かをギュッと抱きしめている。
シキがクレーターを下り、エンドローゼを抱き上げて、皆の元へと戻っていった。
「おん? エンドローゼは何を抱えているんだ?」
自分達ではどうしようもない存在を打開してくれるかもしれない存在に色めき立つ。コストイラがエンドローゼの腕の中に興味を持つ。
それはアストロの腕だった。
回復は無から有を生み出すことはできない。結局は何かと何かを接ぎとめるのが精いっぱいなのだ。
だからこそ今、アストロの腕があるのは、とても喜ばしいことなのだ。
「う、ん」
エンドローゼの目が覚める。
「あ、あ、あ、アストロさん!」
「エンドローゼ! 頼む!」
コストイラは自身の座っていた位置をエンドローゼに譲る。
エンドローゼは震える手を押し止め、ゆっくりと剥がす。
「え」
エンドローゼは驚愕した。自分ではもうアストロの腕を治せない。
アストロの髑髏のネックレスは、ダメージの肩代わりをしてくれる。それは表面上ダメージをゼロにしてくれるということだ。
しかし、このネックレスにも弱点がある。肩代わりできるダメージが表面上のものであるため、体から離れた怪我まではカバーできないのだ。
結果として、アストロの傷口は塞がってしまい、腕が治せなくなってしまった。くっつけることは可能だが、血の通っていない役立たずの腕が出来上がってしまう。
エンドローゼでは治せない。
その事実がエンドローゼの胸にのしかかり、一気に絶望へと堕とされた。
「わ、わ、私ではど、ど、どうにもで、でー、でで、できません」
その言葉はあまりにも重く、コストイラ達では反論できなかった。血が滲むほどに拳を握り、身体全体を震わせて、それでもエンドローゼを責めることができなかった。
エンドローゼは最善を尽くした。それは分かっているから責められない。
「アストロはまだ起きない。オレがアストロを背負うから、先に急ごう」
アシドが器用に片腕のアストロを負ぶると、先に行くように促した。
自身の無能、非力さを痛感しながら、足を引きづりながら歩く。今のエンドローゼを立ち直らせられるのは、主神であるフォンと時間、あとは当の本人であるアストロくらいだろう。
「この空気、ヘヴィーすぎるぜ」
先頭を歩くコストイラが小山の麓に足を踏み入れた。
何も見ていないし、知らないディーノイは剣に手を掛けた。主に何かあった時のためのストッパー役を兼ねているからだ。
フォンは切れながら、ディーノイを制止させる。
『大丈夫。私は切れているけど、無暗に暴れたりしないから』
『そうですか』
『今から天罰を落とす』
最近天罰をかなりの頻度で落としている気がする。エンドローゼに対して危機が訪れすぎているという方を考えるべきか。
『死ね! サンドウォーム!』
フォンが人差し指を下に振ると、天罰が落ちた。
シキが走る足を急遽止めた。その後ろを走っていたアシドも足を止める。
「どうした?」
「来る」
「え?」
アシドが何が来るのかを聞こうとすると、天が光った。光は真っ直ぐに地面に落ち、砂を巻き上げ、サンドウォームを焼いた。
中にいたエンドローゼは無傷のまま、サンドウォームから現れた。目を瞑って丸まった、眠った状態だ。何かをギュッと抱きしめている。
シキがクレーターを下り、エンドローゼを抱き上げて、皆の元へと戻っていった。
「おん? エンドローゼは何を抱えているんだ?」
自分達ではどうしようもない存在を打開してくれるかもしれない存在に色めき立つ。コストイラがエンドローゼの腕の中に興味を持つ。
それはアストロの腕だった。
回復は無から有を生み出すことはできない。結局は何かと何かを接ぎとめるのが精いっぱいなのだ。
だからこそ今、アストロの腕があるのは、とても喜ばしいことなのだ。
「う、ん」
エンドローゼの目が覚める。
「あ、あ、あ、アストロさん!」
「エンドローゼ! 頼む!」
コストイラは自身の座っていた位置をエンドローゼに譲る。
エンドローゼは震える手を押し止め、ゆっくりと剥がす。
「え」
エンドローゼは驚愕した。自分ではもうアストロの腕を治せない。
アストロの髑髏のネックレスは、ダメージの肩代わりをしてくれる。それは表面上ダメージをゼロにしてくれるということだ。
しかし、このネックレスにも弱点がある。肩代わりできるダメージが表面上のものであるため、体から離れた怪我まではカバーできないのだ。
結果として、アストロの傷口は塞がってしまい、腕が治せなくなってしまった。くっつけることは可能だが、血の通っていない役立たずの腕が出来上がってしまう。
エンドローゼでは治せない。
その事実がエンドローゼの胸にのしかかり、一気に絶望へと堕とされた。
「わ、わ、私ではど、ど、どうにもで、でー、でで、できません」
その言葉はあまりにも重く、コストイラ達では反論できなかった。血が滲むほどに拳を握り、身体全体を震わせて、それでもエンドローゼを責めることができなかった。
エンドローゼは最善を尽くした。それは分かっているから責められない。
「アストロはまだ起きない。オレがアストロを背負うから、先に急ごう」
アシドが器用に片腕のアストロを負ぶると、先に行くように促した。
自身の無能、非力さを痛感しながら、足を引きづりながら歩く。今のエンドローゼを立ち直らせられるのは、主神であるフォンと時間、あとは当の本人であるアストロくらいだろう。
「この空気、ヘヴィーすぎるぜ」
先頭を歩くコストイラが小山の麓に足を踏み入れた。
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