メグルユメ
10.初めての被害
岩、水と続き、今度の環境はさらに過酷になっていた。
砂漠だ。
一つの島に様々な環境があるのはいいのだが、この先も次々と変わり続けると考えると、嫌になってくる。
「砂漠は足が取られるわね」
顎に伝う汗を拭いながら、アストロが溜息を吐いた。
すでにアレンは滝のような汗を流して、倒れそうになっている。環境や温度に差がありすぎて倒れそうだ。
「なぜ行く先行く先、過酷な環境下になっているのだ」
レイドが珍しく文句を言っている。その気持ちが、アレンには痛いほどよくわかった。もうこのパーティから外れたい。しかし、このパーティはシキのもっと旅がしたいの一言で続けているのだ。シキが止めようと言わない限り、旅は終わらないだろう。
「砂漠って言ったらどんな魔物がいたかしら。エキドナ、スカーレット、あと」
「サンドウォーム」
最後のいいところをコストイラに捕られ、なぜだが無性にイラっとした。
「今のところ、魔物を一体も見ませんが、どこかに潜んでいるんでしょうか」
「十中八九そうだろうな。オレの勘じゃよく分かんねぇけど」
「分かんないけど?」
困り顔をしているコストイラに、アレンは少し驚いた。少しも隠そうとしないなんて。しかも、アレンとしては、コストイラはもっと悔しがると思っていた。その気配さえない。
「シキは分かるか?」
「ん」
あのシキが首を振った。これにはアストロも驚いた。全員、なんだかんだ言ってシキならできると思っていたからだ。
誰にも予測できないことが起こりうる。それを意識した途端、緊張感が高まった。
コストイラの進む先には山岳が見えてくる。とりあえずそこを目指すことにした。
砂の中に敵がいるかもしれないと考えると、思うように足が進まない。嫌でも慎重になり、その分進みが遅くなってしまう。時間をかければかけるほど遭遇するリスクが高くなってしまっている。負のスパイラルに突入してしまった。
恐怖に囚われているのは、主にアレンだが、他の者達にはないということではない。平然とした顔をしているが、アストロも相当恐怖を抱いている。
歩き始めて6時間、かなりペースが落ちてきている。このままで山岳地帯に辿り着けるかが心配だ。
その時、僅かに地面が揺れた。一瞬にして恐怖が膨れ上がった。アストロがエンドローゼを引き寄せようと左腕を伸ばした。
ザバンと砂の中から大きな口が現れた。その口はエンドローゼのちょうど真下に出現し、そのまま飲み込んでいった。
これが予想外の事態であることは間違いないのだが、もう一つ予想外の事態が起きた。
アストロの伸ばした腕が、サンドウォームの歯の隙間に引っかかったのだ。
天に向かって動くサンドウォームに引っ張られ、アストロの体も浮く。慣性力、質量、重力など、様々な要素により生まれる合力がすべてアストロの腕一本にのしかかった。
その結果、アストロの腕はメリメリと音を鳴らして千切れた。
あまりの痛さに目がチカチカしてくる。痛覚軽減のアイテムを使用しているにもかかわらず、気絶しそうなくらいに痛い。
支点を失ったアストロは砂漠に落ちていく。血の線を宙に描きながら地面が近づく。
コストイラがアストロの下に潜り、ギリギリでキャッチする。アストロはすでに泡を吹いて気絶してしまっている。
エンドローゼがいないので、すぐに回復することができない。すでに包帯を巻いて止血しようとする。
肩の部分を紐で固く結び、止血する。包帯を傷口に当てながら巻き付ける。
アシドとシキがサンドウォームの後を追ったが、すぐに砂の中に隠れてしまった。
「くそ!」
「大丈夫、もう追える」
シキが何も見えない砂の上を走り始める。
アストロを助けるために、早くエンドローゼを助けなくては。
砂漠だ。
一つの島に様々な環境があるのはいいのだが、この先も次々と変わり続けると考えると、嫌になってくる。
「砂漠は足が取られるわね」
顎に伝う汗を拭いながら、アストロが溜息を吐いた。
すでにアレンは滝のような汗を流して、倒れそうになっている。環境や温度に差がありすぎて倒れそうだ。
「なぜ行く先行く先、過酷な環境下になっているのだ」
レイドが珍しく文句を言っている。その気持ちが、アレンには痛いほどよくわかった。もうこのパーティから外れたい。しかし、このパーティはシキのもっと旅がしたいの一言で続けているのだ。シキが止めようと言わない限り、旅は終わらないだろう。
「砂漠って言ったらどんな魔物がいたかしら。エキドナ、スカーレット、あと」
「サンドウォーム」
最後のいいところをコストイラに捕られ、なぜだが無性にイラっとした。
「今のところ、魔物を一体も見ませんが、どこかに潜んでいるんでしょうか」
「十中八九そうだろうな。オレの勘じゃよく分かんねぇけど」
「分かんないけど?」
困り顔をしているコストイラに、アレンは少し驚いた。少しも隠そうとしないなんて。しかも、アレンとしては、コストイラはもっと悔しがると思っていた。その気配さえない。
「シキは分かるか?」
「ん」
あのシキが首を振った。これにはアストロも驚いた。全員、なんだかんだ言ってシキならできると思っていたからだ。
誰にも予測できないことが起こりうる。それを意識した途端、緊張感が高まった。
コストイラの進む先には山岳が見えてくる。とりあえずそこを目指すことにした。
砂の中に敵がいるかもしれないと考えると、思うように足が進まない。嫌でも慎重になり、その分進みが遅くなってしまう。時間をかければかけるほど遭遇するリスクが高くなってしまっている。負のスパイラルに突入してしまった。
恐怖に囚われているのは、主にアレンだが、他の者達にはないということではない。平然とした顔をしているが、アストロも相当恐怖を抱いている。
歩き始めて6時間、かなりペースが落ちてきている。このままで山岳地帯に辿り着けるかが心配だ。
その時、僅かに地面が揺れた。一瞬にして恐怖が膨れ上がった。アストロがエンドローゼを引き寄せようと左腕を伸ばした。
ザバンと砂の中から大きな口が現れた。その口はエンドローゼのちょうど真下に出現し、そのまま飲み込んでいった。
これが予想外の事態であることは間違いないのだが、もう一つ予想外の事態が起きた。
アストロの伸ばした腕が、サンドウォームの歯の隙間に引っかかったのだ。
天に向かって動くサンドウォームに引っ張られ、アストロの体も浮く。慣性力、質量、重力など、様々な要素により生まれる合力がすべてアストロの腕一本にのしかかった。
その結果、アストロの腕はメリメリと音を鳴らして千切れた。
あまりの痛さに目がチカチカしてくる。痛覚軽減のアイテムを使用しているにもかかわらず、気絶しそうなくらいに痛い。
支点を失ったアストロは砂漠に落ちていく。血の線を宙に描きながら地面が近づく。
コストイラがアストロの下に潜り、ギリギリでキャッチする。アストロはすでに泡を吹いて気絶してしまっている。
エンドローゼがいないので、すぐに回復することができない。すでに包帯を巻いて止血しようとする。
肩の部分を紐で固く結び、止血する。包帯を傷口に当てながら巻き付ける。
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