メグルユメ
6.南方の守護者
鳥が羽を広げるのは縄張りを護るためだと言われている。羽を広げた時に、元よりも体を大きく見せて威嚇するのだ。
しかし、それだけではない。
慣用句に羽を伸ばすと、というのがある。束縛から解放されて、のびのびと行動する、という意味がある。
つまり、リラックスするときにも羽を広げる。
今、目の前にいる火の鳥がどちらかなど一目瞭然だ。
しかし、この鳥は門から出現した。
門とは防御という面を持っている。門が存在しているだけで、そこに内外という概念が生まれる。最も初めに思い浮かぶのは、西方の城のもんだろう。内では法律・秩序に従う市民が住み、外では無法者が徘徊している。
その門から出現している。この鳥は守護者だ。
広げた翼を勢いよく羽ばたかせ、熱風と火の粉を浴びせてくる。一瞬にして空気が乾く。喉の湿度は一体何%だ?
勇者一行は空を飛んでいる相手に弱い。遠距離を得意としているのはパーティで3人。エンドローゼは自分が攻撃に加わるという発想がない。アレンは左手も右手も怪我しており、弓を引ける体ではない。
つまり、遠距離はエースのアストロに頼りっきりなのだ。
アストロは水の魔力を鳥に向かって放つ。しかし、それだけでは火が消えるはずがない。
そもそも朱雀の生息域は湖や海などの水辺が多い。ある程度の耐性を持ち合わせている。アストロは本能的に悟った。魔力酔いを起こす方が速い、と。
コストイラがシキを連れて、少し後ろに下がる。爆発した清姫の牙が落ちていた。
両者がそれを拾い上げる。意図を察したシキが肩を力を入れた。その位置からシキが牙を投げる。相変わらずその小さな体のどこにここまでの力が入っているのか、と言いたくなる。
真っ直ぐに飛んだ牙はあまりの速さで、朱雀の眼でも追いきれなかった。何とか体を捻り、心臓を避けたが、翼は貫通した。
羽を失った鳥が飛んでいられるはずがない。朱雀はひゅるるると墜落した。
朱雀は敗北を確信した。守護者は正しく戦力の分析ができていた。だからこそ下りることなく空中から狙っていたのだ。
しかし、落とされた。この瞬間、負けは確定事項になった。では、死ぬのを待つか?
答えは否である。朱雀はこの地の特性を生かす。この地は人間を食い殺す。悠長に休憩できるとは思えない。
首をもたげ、炎を吐こうとするする。そこにコストイラがいた。それよりも速く牙が口内に侵入してきた。
シキがもう一度投擲する。
口内に入った牙が火球を破壊し、喉奥に刺さった。爆発したことで嘴が無理矢理開かれ、下顎が動かなくなる。
コストイラは瞬時に下に潜り、居合で首を落とした。
フォンが七味プリンを口に含んだ。そして口が曲がる。
『これ、本当に流行ってんの?』
スプーンで皿の縁を叩きながら、ナイトのことを見る。
「……そのようですよ。街の娘さん達がこぞって買っていました」
「美味い』
本当に美味しそうにパクパク食べているフィリスを見て、おかしいのは私か? と疑問を持つ。
『え? ディーノイは?』
フォンはディーノイを見る。騎士団長は肩を竦める反応を示した。美味しいとは思っていないらしい。
フォンは出されたものはすべて食べる性格のため、七味プリンも嫌々口に運んでいく。
その時、ドゴンと音と振動が発生した。
『え? 何?』
『何でしょうね? 見てきましょうか?』
『いや、いい。視える』
フォンが、窓の方に歩こうとするディーノイを制止し、遠視の魔眼を発動させる。
『牙?』
『牙。獣ですか?』
『獣っぽいけど、これは、あれだ。シキちゃんが投げたものだね』
『化け物』
原因を看破したフォンが興味なさげに七味プリンを平らげた。原因を聞いたディーノイは天を仰ぎ、額を手で覆った。
『器用だよね、あの子。あれができる人なんて、上位数%だよ』
フォンが口を拭いながら落とした呟きに、ディーノイは自身で開閉させている手を見ながら応じた。
『そうですね』
しかし、それだけではない。
慣用句に羽を伸ばすと、というのがある。束縛から解放されて、のびのびと行動する、という意味がある。
つまり、リラックスするときにも羽を広げる。
今、目の前にいる火の鳥がどちらかなど一目瞭然だ。
しかし、この鳥は門から出現した。
門とは防御という面を持っている。門が存在しているだけで、そこに内外という概念が生まれる。最も初めに思い浮かぶのは、西方の城のもんだろう。内では法律・秩序に従う市民が住み、外では無法者が徘徊している。
その門から出現している。この鳥は守護者だ。
広げた翼を勢いよく羽ばたかせ、熱風と火の粉を浴びせてくる。一瞬にして空気が乾く。喉の湿度は一体何%だ?
勇者一行は空を飛んでいる相手に弱い。遠距離を得意としているのはパーティで3人。エンドローゼは自分が攻撃に加わるという発想がない。アレンは左手も右手も怪我しており、弓を引ける体ではない。
つまり、遠距離はエースのアストロに頼りっきりなのだ。
アストロは水の魔力を鳥に向かって放つ。しかし、それだけでは火が消えるはずがない。
そもそも朱雀の生息域は湖や海などの水辺が多い。ある程度の耐性を持ち合わせている。アストロは本能的に悟った。魔力酔いを起こす方が速い、と。
コストイラがシキを連れて、少し後ろに下がる。爆発した清姫の牙が落ちていた。
両者がそれを拾い上げる。意図を察したシキが肩を力を入れた。その位置からシキが牙を投げる。相変わらずその小さな体のどこにここまでの力が入っているのか、と言いたくなる。
真っ直ぐに飛んだ牙はあまりの速さで、朱雀の眼でも追いきれなかった。何とか体を捻り、心臓を避けたが、翼は貫通した。
羽を失った鳥が飛んでいられるはずがない。朱雀はひゅるるると墜落した。
朱雀は敗北を確信した。守護者は正しく戦力の分析ができていた。だからこそ下りることなく空中から狙っていたのだ。
しかし、落とされた。この瞬間、負けは確定事項になった。では、死ぬのを待つか?
答えは否である。朱雀はこの地の特性を生かす。この地は人間を食い殺す。悠長に休憩できるとは思えない。
首をもたげ、炎を吐こうとするする。そこにコストイラがいた。それよりも速く牙が口内に侵入してきた。
シキがもう一度投擲する。
口内に入った牙が火球を破壊し、喉奥に刺さった。爆発したことで嘴が無理矢理開かれ、下顎が動かなくなる。
コストイラは瞬時に下に潜り、居合で首を落とした。
フォンが七味プリンを口に含んだ。そして口が曲がる。
『これ、本当に流行ってんの?』
スプーンで皿の縁を叩きながら、ナイトのことを見る。
「……そのようですよ。街の娘さん達がこぞって買っていました」
「美味い』
本当に美味しそうにパクパク食べているフィリスを見て、おかしいのは私か? と疑問を持つ。
『え? ディーノイは?』
フォンはディーノイを見る。騎士団長は肩を竦める反応を示した。美味しいとは思っていないらしい。
フォンは出されたものはすべて食べる性格のため、七味プリンも嫌々口に運んでいく。
その時、ドゴンと音と振動が発生した。
『え? 何?』
『何でしょうね? 見てきましょうか?』
『いや、いい。視える』
フォンが、窓の方に歩こうとするディーノイを制止し、遠視の魔眼を発動させる。
『牙?』
『牙。獣ですか?』
『獣っぽいけど、これは、あれだ。シキちゃんが投げたものだね』
『化け物』
原因を看破したフォンが興味なさげに七味プリンを平らげた。原因を聞いたディーノイは天を仰ぎ、額を手で覆った。
『器用だよね、あの子。あれができる人なんて、上位数%だよ』
フォンが口を拭いながら落とした呟きに、ディーノイは自身で開閉させている手を見ながら応じた。
『そうですね』
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