メグルユメ
21.久遠の星霊
アシドがいつ飛び出すのかを見守る。今飛び出しても2対1になるだけだ。出ていくなら、コストイラが1体を引き受けている間でなければいけない。
美女とコストイラが1対1の対決を始める。あのコストイラと対等に渡り合っている。すでにレベル120を超えているにもかかわらず、対等、いや、押され始めた。
力はそこまで強くないが、剣の技量はコストイラのはるか上をいっていた。
そこでアシドが飛び出す。槍を振るうが、間に石が入り込む。鉄さえ切れる一撃だったが、石は少し欠けた程度だ。
たらればの話をするならば、レイドほどの力がアシドにあったならば、もっと欠けさせることができただろう。
アシドが着地した瞬間、すぐに足を動かした。石は短く光線を放つことで、アシドをハチの巣にしようとする。
美女の背の翼がボボボと形を変え続ける。そして、剣や体の周りに日の光のような魔力が出現する。その瞬間、コストイラは理解する。鍔迫り合いになった途端に集中砲火を浴びることになる。
剣と刀を交えてもすぐに離れなければいけない。コストイラの戦い方とは違うため、何とも戦いづらい相手だ。だからこそ燃える。
コストイラは瞳に炎を宿し、刀に炎を纏わせ、全身を炎のとぐろで包んだ。久しぶりの本気をぶつける。
アシドが槍を振るい、石の魔物を傷つける。もしかしたら、何が書いているのか分からない文字が一つでも欠けていたら、光線が撃てないのではないかと考えたのだ。
しかし、アシドのパワーではそこまでの傷をつけることができない。レイドに助けを求めたいが、レイドはエンドローゼを護るという役割がある。
アシドは石を蹴飛ばして距離を取ると、槍を向けて狙いを定める。一気に吐き気がしてくる。
アシド唯一の魔法がエンシェントコアを襲う。この魔法はそういった過去がなくとも、水底から見た景色、その記憶を想起させる。小さい頃に溺れた記憶は存在し、思い出されることを拒んでいるのかもしれない。
水底の恐怖。浮いていかない恐れ。水の冷たさ。息苦しさ。四肢細部にまで澄まされる血流の感触。刻一刻と削がれていく生の実感。全てをいっぺんに味わうことになる。
生き物が相手であれば、尋常ならざる威力を発揮する。
しかし、今回の相手はエンシェントコア。石である。生命体であるが、生物でない。水底にいても1000年以上存在できる物体だ。
アシドの魔法とは相性が悪い。
エンシェントコアが光線を撃ち、アシドが何とかそれを弾く。しかし、弾いた衝撃で体勢が崩れてしまった。
そこに光線が撃ちこまれる。
アシドの弾かれた右手首に糸が巻きつく。引っ張られることで光線を逃れた。
地面に倒れるアシドの横をシキが通り過ぎる。
シュルリと糸がシキのもとに戻っていく。アシドは倒れる勢いを利用して、後転で立ち上がる。足が着いた瞬間に爆発的な速度で地面を蹴った。
シキは相手が岩であることを目視で確認すると、闇の魔剣を仕舞い、然の魔剣に魔力を通した。
剣先が岩肌に触れた直後に巧みに動かし、穴を開け、中を通る.アシドはその穴を利用して、コストイラが付けた傷と穴を繋げる。
石の文字から光が消えた。
ソラリスが剣を振るい、日の光のような魔力を発射する。コストイラは打ち合いながら、回避していく。
このまま時間をかけていると、シキが乱入してくる可能性がある。何とかしなければならない。しかし、相手の方が技量がある。真正面から打ち開こうにも力を受け流す技量があるのが厄介だ。
コストイラは一気に息を吸い、溜める。駆けだしたコストイラは、もう逃げることをしない。
ソラリスの懐に入り、炎を纏った刀を振るう。ソラリスが剣を合わせて、そこに魔力を撃ちこむ。コストイラは炎を体に纏い、威力を少しでも減らそうとする。
コストイラは避けることなく、魔力を食らい続ける。口から血を流しながら、口角を大きく曲げた。
ソラリスが眉を顰める。なぜこの状況で笑えるのだ?
2合、3合と続く剣戟が突然終わりを告げる。
コストイラの遥か上をいく技量で、刀を持つ腕を弾いた。あと一撃で決まる。
その時、ソラリスの手から剣が滑った。力が入らなくなったのか、剣がすっぽ抜けた。
なるほど。これからの者に託せということか。過去の奴は消えろ、と? いいでしょう。受け入れましょう。
ソラリスも口角を上げた。
コストイラは刀を振り下ろす。
「ありがとう」
その時、光が消えた石がもう一度光を取り戻した。最期に命の炎を燃やし、絶命と引き換えに光った。
それは転移の魔法。
勇者一行は何も抵抗できず、転移させられた。
選ばれし器
異界の鍵
強いる備え
美女とコストイラが1対1の対決を始める。あのコストイラと対等に渡り合っている。すでにレベル120を超えているにもかかわらず、対等、いや、押され始めた。
力はそこまで強くないが、剣の技量はコストイラのはるか上をいっていた。
そこでアシドが飛び出す。槍を振るうが、間に石が入り込む。鉄さえ切れる一撃だったが、石は少し欠けた程度だ。
たらればの話をするならば、レイドほどの力がアシドにあったならば、もっと欠けさせることができただろう。
アシドが着地した瞬間、すぐに足を動かした。石は短く光線を放つことで、アシドをハチの巣にしようとする。
美女の背の翼がボボボと形を変え続ける。そして、剣や体の周りに日の光のような魔力が出現する。その瞬間、コストイラは理解する。鍔迫り合いになった途端に集中砲火を浴びることになる。
剣と刀を交えてもすぐに離れなければいけない。コストイラの戦い方とは違うため、何とも戦いづらい相手だ。だからこそ燃える。
コストイラは瞳に炎を宿し、刀に炎を纏わせ、全身を炎のとぐろで包んだ。久しぶりの本気をぶつける。
アシドが槍を振るい、石の魔物を傷つける。もしかしたら、何が書いているのか分からない文字が一つでも欠けていたら、光線が撃てないのではないかと考えたのだ。
しかし、アシドのパワーではそこまでの傷をつけることができない。レイドに助けを求めたいが、レイドはエンドローゼを護るという役割がある。
アシドは石を蹴飛ばして距離を取ると、槍を向けて狙いを定める。一気に吐き気がしてくる。
アシド唯一の魔法がエンシェントコアを襲う。この魔法はそういった過去がなくとも、水底から見た景色、その記憶を想起させる。小さい頃に溺れた記憶は存在し、思い出されることを拒んでいるのかもしれない。
水底の恐怖。浮いていかない恐れ。水の冷たさ。息苦しさ。四肢細部にまで澄まされる血流の感触。刻一刻と削がれていく生の実感。全てをいっぺんに味わうことになる。
生き物が相手であれば、尋常ならざる威力を発揮する。
しかし、今回の相手はエンシェントコア。石である。生命体であるが、生物でない。水底にいても1000年以上存在できる物体だ。
アシドの魔法とは相性が悪い。
エンシェントコアが光線を撃ち、アシドが何とかそれを弾く。しかし、弾いた衝撃で体勢が崩れてしまった。
そこに光線が撃ちこまれる。
アシドの弾かれた右手首に糸が巻きつく。引っ張られることで光線を逃れた。
地面に倒れるアシドの横をシキが通り過ぎる。
シュルリと糸がシキのもとに戻っていく。アシドは倒れる勢いを利用して、後転で立ち上がる。足が着いた瞬間に爆発的な速度で地面を蹴った。
シキは相手が岩であることを目視で確認すると、闇の魔剣を仕舞い、然の魔剣に魔力を通した。
剣先が岩肌に触れた直後に巧みに動かし、穴を開け、中を通る.アシドはその穴を利用して、コストイラが付けた傷と穴を繋げる。
石の文字から光が消えた。
ソラリスが剣を振るい、日の光のような魔力を発射する。コストイラは打ち合いながら、回避していく。
このまま時間をかけていると、シキが乱入してくる可能性がある。何とかしなければならない。しかし、相手の方が技量がある。真正面から打ち開こうにも力を受け流す技量があるのが厄介だ。
コストイラは一気に息を吸い、溜める。駆けだしたコストイラは、もう逃げることをしない。
ソラリスの懐に入り、炎を纏った刀を振るう。ソラリスが剣を合わせて、そこに魔力を撃ちこむ。コストイラは炎を体に纏い、威力を少しでも減らそうとする。
コストイラは避けることなく、魔力を食らい続ける。口から血を流しながら、口角を大きく曲げた。
ソラリスが眉を顰める。なぜこの状況で笑えるのだ?
2合、3合と続く剣戟が突然終わりを告げる。
コストイラの遥か上をいく技量で、刀を持つ腕を弾いた。あと一撃で決まる。
その時、ソラリスの手から剣が滑った。力が入らなくなったのか、剣がすっぽ抜けた。
なるほど。これからの者に託せということか。過去の奴は消えろ、と? いいでしょう。受け入れましょう。
ソラリスも口角を上げた。
コストイラは刀を振り下ろす。
「ありがとう」
その時、光が消えた石がもう一度光を取り戻した。最期に命の炎を燃やし、絶命と引き換えに光った。
それは転移の魔法。
勇者一行は何も抵抗できず、転移させられた。
選ばれし器
異界の鍵
強いる備え
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