メグルユメ
9.崩れ落ちそうな崖
エンドローゼが足の不自由な少女を背負っている。治してあげられないから、せめて足代わりになると言い出したのだ。エンドローゼにそんな体力があると思わないため、止めさせようとしたが、聞かなかった。意外に頑固者である。
「光だ」
頭上斜め前から光が入ってくる。ここを通れば、地上に出ることができる。しかし、不幸の権化のような勇者一行が、無事に辿り着けると思えない。そんなに細い道であり、ところどころの崩れた道であった。
『ここ、登れば、街』
「おぉ~~街」
「辿り着けるのか? オレ達が?」
『ん?』
足の不自由な少女は首を傾げた。足があるのだから登ればいいじゃないか。
コストイラが道に足を踏み入れた。数歩歩いたのち、振り返る。案外しっかりしていそうだ。
「崩れないか?」
「崩れそうだな。まぁ、崩れる前に渡るしかないだろ」
それができないから、辿り着けるか心配だったのではなかろうか。
エンドローゼが足の不自由な少女を背負い、コストイラの後に続く。レイドが支えるように後ろに付く。アシド、アストロ、アレン、シキの順番に道を歩く。
アレンのような小心者は、崖の下が気になってしょうがない。崖の下には魔物の死体が溜まっていた。処理する存在がいないからだろう。
頭の潰れたグリーンジャイアントや、手足の折れ曲がった青鬼が積まれている。あのようになりたくない。
絶対に無事で辿り着きたい。
「フゥ」
アレンが息を吐く。アレンの顔にはかなりの疲れが見える。本当は余裕がないが、アストロがアレンのことを煽る。
「アンタ、本当に体力ないわね。私達の間に10mくらい間が空いちゃうわよ」
アレンは言い返すことなく、シュンとした。
「申し訳ないです。やっぱり所詮僕なんて足を引っ張るだけで、何の役にも立てないんです」
「またアレンが腐ってんな」
アシドは面倒そうに吐き捨てた。アストロもフォローするのが面倒になり、無視することにした。そして、腐って動かなくなったアレンの後ろから、シキが声を出した。
「邪魔、早く行って」
アレンの心はポッキリと折れた。幽鬼のような足取りで、歩行を再開させた。今回のアレンの周りは優しさが足りていない。
コストイラが出口に辿り着く。魔物が出てこず、崖も崩れもしなかった。コストイラ的には不満の残る結果だ。エンドローゼも登りきる。まさか、人を担いだまま登りきるとは思っていなかった。
「ほら、エンドローゼが人背負ったまま登り切ったわよ」
「エンドローゼさんは凄いですよ。神様に気に入られていて、その上回復魔法が使えて。僕と違って代えが効きません」
「いや、アンタが一番代えが効かないでしょ。魔眼ってかなり特殊だと思うんだけど」
腐るアレンに、両手を腰に当ててアストロが呆れる。
「ですけど、僕はそれを活かせていません。結局、魔物を怒らせているだけです。無駄な戦闘をするだけです」
「いや、でも情報が奪えるし」
「そこまでして、得たい情報ですか?」
「うぐ」
痛いところを突かれたとばかりに、アストロが息を呑む。そして、現実時間約0.5秒で得た情報の活用を考えだす。
「次、遭った時にスムーズに倒せるじゃない」
「僕は遭いたくないんですけど」
「……そりゃそうよね」
「何で昨日まで普通の子供だったのに、すぐに殺し合いの場に放り込まれるんですか?」
「ま、どうにもならないことは諦めなさい」
アレンは肩を落として、溜息を吐いた。
上部、出口のあたりからエンドローゼが戻ってきた。背中には足の不自由な少女が未だにいる。何だろうか、と思う間もなく、出入り口から爆風が吹き荒れた。
「やっぱり戦闘があるんですね」
「し、シキさん! お、お、お願いします!」
遠い目をするアレンに気付かず、エンドローゼがシキを呼ぶ。青行燈には小柄な少女が役に立つとは思えない。しかし、それは直後に覆された。
声を掛けられた1秒後には、シキの姿はエンドローゼの後ろにいた。
「了解」
そして、シキが戦いに参戦した。
「光だ」
頭上斜め前から光が入ってくる。ここを通れば、地上に出ることができる。しかし、不幸の権化のような勇者一行が、無事に辿り着けると思えない。そんなに細い道であり、ところどころの崩れた道であった。
『ここ、登れば、街』
「おぉ~~街」
「辿り着けるのか? オレ達が?」
『ん?』
足の不自由な少女は首を傾げた。足があるのだから登ればいいじゃないか。
コストイラが道に足を踏み入れた。数歩歩いたのち、振り返る。案外しっかりしていそうだ。
「崩れないか?」
「崩れそうだな。まぁ、崩れる前に渡るしかないだろ」
それができないから、辿り着けるか心配だったのではなかろうか。
エンドローゼが足の不自由な少女を背負い、コストイラの後に続く。レイドが支えるように後ろに付く。アシド、アストロ、アレン、シキの順番に道を歩く。
アレンのような小心者は、崖の下が気になってしょうがない。崖の下には魔物の死体が溜まっていた。処理する存在がいないからだろう。
頭の潰れたグリーンジャイアントや、手足の折れ曲がった青鬼が積まれている。あのようになりたくない。
絶対に無事で辿り着きたい。
「フゥ」
アレンが息を吐く。アレンの顔にはかなりの疲れが見える。本当は余裕がないが、アストロがアレンのことを煽る。
「アンタ、本当に体力ないわね。私達の間に10mくらい間が空いちゃうわよ」
アレンは言い返すことなく、シュンとした。
「申し訳ないです。やっぱり所詮僕なんて足を引っ張るだけで、何の役にも立てないんです」
「またアレンが腐ってんな」
アシドは面倒そうに吐き捨てた。アストロもフォローするのが面倒になり、無視することにした。そして、腐って動かなくなったアレンの後ろから、シキが声を出した。
「邪魔、早く行って」
アレンの心はポッキリと折れた。幽鬼のような足取りで、歩行を再開させた。今回のアレンの周りは優しさが足りていない。
コストイラが出口に辿り着く。魔物が出てこず、崖も崩れもしなかった。コストイラ的には不満の残る結果だ。エンドローゼも登りきる。まさか、人を担いだまま登りきるとは思っていなかった。
「ほら、エンドローゼが人背負ったまま登り切ったわよ」
「エンドローゼさんは凄いですよ。神様に気に入られていて、その上回復魔法が使えて。僕と違って代えが効きません」
「いや、アンタが一番代えが効かないでしょ。魔眼ってかなり特殊だと思うんだけど」
腐るアレンに、両手を腰に当ててアストロが呆れる。
「ですけど、僕はそれを活かせていません。結局、魔物を怒らせているだけです。無駄な戦闘をするだけです」
「いや、でも情報が奪えるし」
「そこまでして、得たい情報ですか?」
「うぐ」
痛いところを突かれたとばかりに、アストロが息を呑む。そして、現実時間約0.5秒で得た情報の活用を考えだす。
「次、遭った時にスムーズに倒せるじゃない」
「僕は遭いたくないんですけど」
「……そりゃそうよね」
「何で昨日まで普通の子供だったのに、すぐに殺し合いの場に放り込まれるんですか?」
「ま、どうにもならないことは諦めなさい」
アレンは肩を落として、溜息を吐いた。
上部、出口のあたりからエンドローゼが戻ってきた。背中には足の不自由な少女が未だにいる。何だろうか、と思う間もなく、出入り口から爆風が吹き荒れた。
「やっぱり戦闘があるんですね」
「し、シキさん! お、お、お願いします!」
遠い目をするアレンに気付かず、エンドローゼがシキを呼ぶ。青行燈には小柄な少女が役に立つとは思えない。しかし、それは直後に覆された。
声を掛けられた1秒後には、シキの姿はエンドローゼの後ろにいた。
「了解」
そして、シキが戦いに参戦した。
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