メグルユメ
3.魔力の澱み
エンドローゼはシキが羨ましいと思った。一人で何でもできてしまうからだ。エンドローゼは一人ではほとんどできないことが多い。もし自分に戦う力があったとしても、真っ先に逃げることを考えてしまうだろう。
私もあんな風になりたいな。
そう思った時、後ろに何かが落ちてきた。何かを確認するために振り返ると、アレンだった。どうしようとアワアワしてしまう。アストロなら即決しているだろう。
とりあえずアレンに近づき、回復魔法をかかる。
「アレン。受け身の練習でもするか?」
アストロを背負ったコストイラが、難なく着地しながら声を掛けた。アレンはうーんと渋っている。
「どうした? 必要だろ? オレ達はいつも落ちているんだから」
「僕にできる気がしないんですけど」
「やってみなきゃ分かんねぇだろ」
コストイラはアレンの襟を掴むと、ズルズルと引き摺っていった。かなりの回数の怪我をしそうなので、付いていくことにしよう。
アストロが眉根を寄せた。目を閉じて魔力を集中させると、魔素が感じ取れた。
アストロのレベルはまだ110だが、魔力の精度だけは伝説の域に入っている。そこまでくると、魔素が感じ取れるだけではなく、流れまで分かった。
流れが悪い。密閉空間でもない限り、流れがあるはずだ。出入口が一つでも、それなりの流れがあるのだが、それよりも悪い。
端には年季の入った魔素が浮遊している。いや、今穴が開いたから換気されたか。
グレートドラゴンは空気の悪さが嫌になり、水泳の息継ぎのように地上に出てきたのかもしれない。
というか、グレートドラゴンはどうした?
アストロがキョロキョロと見渡すと、グレートドラゴンがいた。目に光がない。死んでいる。時間短くなかったか? シキってその域なの? コストイラ、追い付ける。
アシドが落ちた場所の一方に、奥へと続く道を見つけた。ゴブリンソルジャーの死体がゴロゴロと転がっていた。ゴブリンは群れを成す魔物だ。この光景自体に不思議はない。しかし、放置されているのが気になる。
『グルゥ』
奥からゴブリンソルジャーが出てきた。生きている個体だ。しかし、怪我がひどい。顔の半分が溶けている。いや、抉れているのか? 目が血走っている。恐怖を振りまいている。
『グルルルゥ』
口から涎がダラダラと垂れているが、拭うことすらしない。
『グガァ!?』
ゴブリンソルジャーが襲い掛かってくる。右手の剣を体を捻ることで躱し、左手の剣は槍で往なす。アシドはゴブリンの腹を蹴り、動きを止めると、槍を振るって首を折った。
いつの間にか横にはアストロがいた。
「ん? どうした?」
「魔素があっちに流れているわ。流れているというには速い気がするけど」
「じゃあ、出口はあっち?」
「と、思うわ」
「じゃあ、アレンの受け身特訓はどうなってんの?」
アストロがアレンのことを見る。
「進捗、駄目ね。実践の役に立たないわ」
アシドは片手で両目を覆った。
「ま、今できないのはできるようになるってことだろ。成長の塊だな、アイツは」
奥に進むと、泥が出てきた。コストイラが嫌そうな顔をする。どれだけレベルが上がっても、トラウマは消えてくれない。
精錬された動きで、魔力を練り上げる。その動きは僅かな時間、コンマの後ろにゼロが8つ並ぶほどだ。どれだけ泥が嫌か分かるだろう。
しかし、何も出てこなかった。幸いなことに、何も起こらなかった。誰にとって幸いかは分からないが。
光届かぬ真っ暗な地下空間。その道の半ばに、剣が刺さっていた。なぜここに剣が刺さっているのか、という疑問を持つが、美術館の説明プレートのようなものがあるわけではないので、解決しない。
滑り止めのような凹凸のついた柄。太陽を模したような装飾が付けられた鍔。エリオ教の誰かが置いていったのかと思ったが、わざわざこんなところに来る奴などいるのだろうか。
しかもデカい。柄の部分だけでレイドと同じくらいとすると、全体で5,6mはあるだろう。
「何かあれに向かって魔素が動いているわ」
「え?」
アストロが指をさした時、地面に刺さっていた剣が発行し始めた。
私もあんな風になりたいな。
そう思った時、後ろに何かが落ちてきた。何かを確認するために振り返ると、アレンだった。どうしようとアワアワしてしまう。アストロなら即決しているだろう。
とりあえずアレンに近づき、回復魔法をかかる。
「アレン。受け身の練習でもするか?」
アストロを背負ったコストイラが、難なく着地しながら声を掛けた。アレンはうーんと渋っている。
「どうした? 必要だろ? オレ達はいつも落ちているんだから」
「僕にできる気がしないんですけど」
「やってみなきゃ分かんねぇだろ」
コストイラはアレンの襟を掴むと、ズルズルと引き摺っていった。かなりの回数の怪我をしそうなので、付いていくことにしよう。
アストロが眉根を寄せた。目を閉じて魔力を集中させると、魔素が感じ取れた。
アストロのレベルはまだ110だが、魔力の精度だけは伝説の域に入っている。そこまでくると、魔素が感じ取れるだけではなく、流れまで分かった。
流れが悪い。密閉空間でもない限り、流れがあるはずだ。出入口が一つでも、それなりの流れがあるのだが、それよりも悪い。
端には年季の入った魔素が浮遊している。いや、今穴が開いたから換気されたか。
グレートドラゴンは空気の悪さが嫌になり、水泳の息継ぎのように地上に出てきたのかもしれない。
というか、グレートドラゴンはどうした?
アストロがキョロキョロと見渡すと、グレートドラゴンがいた。目に光がない。死んでいる。時間短くなかったか? シキってその域なの? コストイラ、追い付ける。
アシドが落ちた場所の一方に、奥へと続く道を見つけた。ゴブリンソルジャーの死体がゴロゴロと転がっていた。ゴブリンは群れを成す魔物だ。この光景自体に不思議はない。しかし、放置されているのが気になる。
『グルゥ』
奥からゴブリンソルジャーが出てきた。生きている個体だ。しかし、怪我がひどい。顔の半分が溶けている。いや、抉れているのか? 目が血走っている。恐怖を振りまいている。
『グルルルゥ』
口から涎がダラダラと垂れているが、拭うことすらしない。
『グガァ!?』
ゴブリンソルジャーが襲い掛かってくる。右手の剣を体を捻ることで躱し、左手の剣は槍で往なす。アシドはゴブリンの腹を蹴り、動きを止めると、槍を振るって首を折った。
いつの間にか横にはアストロがいた。
「ん? どうした?」
「魔素があっちに流れているわ。流れているというには速い気がするけど」
「じゃあ、出口はあっち?」
「と、思うわ」
「じゃあ、アレンの受け身特訓はどうなってんの?」
アストロがアレンのことを見る。
「進捗、駄目ね。実践の役に立たないわ」
アシドは片手で両目を覆った。
「ま、今できないのはできるようになるってことだろ。成長の塊だな、アイツは」
奥に進むと、泥が出てきた。コストイラが嫌そうな顔をする。どれだけレベルが上がっても、トラウマは消えてくれない。
精錬された動きで、魔力を練り上げる。その動きは僅かな時間、コンマの後ろにゼロが8つ並ぶほどだ。どれだけ泥が嫌か分かるだろう。
しかし、何も出てこなかった。幸いなことに、何も起こらなかった。誰にとって幸いかは分からないが。
光届かぬ真っ暗な地下空間。その道の半ばに、剣が刺さっていた。なぜここに剣が刺さっているのか、という疑問を持つが、美術館の説明プレートのようなものがあるわけではないので、解決しない。
滑り止めのような凹凸のついた柄。太陽を模したような装飾が付けられた鍔。エリオ教の誰かが置いていったのかと思ったが、わざわざこんなところに来る奴などいるのだろうか。
しかもデカい。柄の部分だけでレイドと同じくらいとすると、全体で5,6mはあるだろう。
「何かあれに向かって魔素が動いているわ」
「え?」
アストロが指をさした時、地面に刺さっていた剣が発行し始めた。
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