メグルユメ
1.大地の歪み
目が覚めると、見たことのある風景だった。
黒く、死に溢れた森。石槍のように聳える塔。5m以上ある扉。レンガ調の壁。見覚えがある。いや、見覚えというか、来たことある。
ここは魔王城だ。魔王インサーニアの城だった。
魔王城の道までだったら覚えている。だから、ここから帰れる。
アレンは振り返り、道を確認しようとする。
しかし、そこに道はなかった。そこにあったのは、ただ膨大な、漠然と広がる大地だった。
その大地にある丘の上で、3m程のドラゴンが2足で佇んでいた。
黒色の鱗。最初はブラックドラゴンかと思ったが違う。その鱗はあまりにも艶やかで、魚の鱗とも見える。
口から溢れ出る紫炎。見たことのない鮮やかさに、目を奪われた。その美しさは神が本気を出したと言われても、疑いようがないだろう。
全身に纏うオーラ。本能が警鐘を鳴らす、動いてはいけない、と。動いたら死ぬ。何もしなくても死ぬ。
息を呑むという行為も、唾を飲み込むという行動も、死に繋がりかねない。
体が動いてくれない。死ぬ。
目だけを動かすと、コストイラもシキもいた。両者とも武器も構えていない。2人でも駄目?
『グルォオオオオオッ!!』
雄叫びには殺気が籠っていた。アレンもエンドローゼも気絶する。それに加えてアシドさえも意識を落とした。
レイドもコストイラもシキも気合で耐えた。アストロは指輪の力で耐えている。
この瞬間、皆の心は一つになった。
死。
あのシキでさえ、死を予感した。
1秒後か、10秒後か。それは分からないが、確実に死ぬ。
その考えを肯定するかのように魔物が突っ込んで来ようとする。
しかし、それは届かない。魔物の頭が見えない壁のようなものに激突する。怒り狂ったように、何度も頭突きするが、透明な壁は壊れない。
『去れ、亡霊よ』
声がした。魔物は声の主を睨みつけ、低く唸る。
魔物が見えない壁に頭を付けたまま、アレン達側に押し込もうとしてくる。
助けに入ってくれた者の姿が見たい。しかし、この魔物から目を離した瞬間、見えない壁が破られるかもしれないという考えが、そうさせてくれない。
この恐怖をばらまく魔物が存在しているなんて。世界は何て広いことか。
コストイラは口角を上げた。スゲェ、こんな奴がいたなんて。今戦ったら確実に死ぬ。技を磨こう。いつか必ず倒してやる。
魔物が口内に炎を溜める。ブレスが来ると思った。
魔物が火炎放射する。見えない壁に炎が当たり、左右に分かれて逸れていった。
直接当たっていないが、熱さが十全に伝わってくる。見えない壁は破壊されることなく、その場に存在している。
しばらくして、魔物は飛び去って行った。
緊張感から解放されたメンバーは、声の主を見る。
紅白の巫女服を纏う少女だ。巫女服に似合う、黒と茶の中間色の髪を靡かせ、こちらを見ている。
『去れ。この場にどのようにして迷い込んだのかは分かっている。あの子にも困ったものだ。しかし、ここは君達には相応しくない。疾くと去れ』
帰り方が分からないと返そうとした時、足元に魔法陣が出現した。強制的退去らしい。コストイラがアシドを、レイドがエンドローゼを、シキがアレンを掴む。
その直後、目の前が真っ白になった。
黒く、死に溢れた森。石槍のように聳える塔。5m以上ある扉。レンガ調の壁。見覚えがある。いや、見覚えというか、来たことある。
ここは魔王城だ。魔王インサーニアの城だった。
魔王城の道までだったら覚えている。だから、ここから帰れる。
アレンは振り返り、道を確認しようとする。
しかし、そこに道はなかった。そこにあったのは、ただ膨大な、漠然と広がる大地だった。
その大地にある丘の上で、3m程のドラゴンが2足で佇んでいた。
黒色の鱗。最初はブラックドラゴンかと思ったが違う。その鱗はあまりにも艶やかで、魚の鱗とも見える。
口から溢れ出る紫炎。見たことのない鮮やかさに、目を奪われた。その美しさは神が本気を出したと言われても、疑いようがないだろう。
全身に纏うオーラ。本能が警鐘を鳴らす、動いてはいけない、と。動いたら死ぬ。何もしなくても死ぬ。
息を呑むという行為も、唾を飲み込むという行動も、死に繋がりかねない。
体が動いてくれない。死ぬ。
目だけを動かすと、コストイラもシキもいた。両者とも武器も構えていない。2人でも駄目?
『グルォオオオオオッ!!』
雄叫びには殺気が籠っていた。アレンもエンドローゼも気絶する。それに加えてアシドさえも意識を落とした。
レイドもコストイラもシキも気合で耐えた。アストロは指輪の力で耐えている。
この瞬間、皆の心は一つになった。
死。
あのシキでさえ、死を予感した。
1秒後か、10秒後か。それは分からないが、確実に死ぬ。
その考えを肯定するかのように魔物が突っ込んで来ようとする。
しかし、それは届かない。魔物の頭が見えない壁のようなものに激突する。怒り狂ったように、何度も頭突きするが、透明な壁は壊れない。
『去れ、亡霊よ』
声がした。魔物は声の主を睨みつけ、低く唸る。
魔物が見えない壁に頭を付けたまま、アレン達側に押し込もうとしてくる。
助けに入ってくれた者の姿が見たい。しかし、この魔物から目を離した瞬間、見えない壁が破られるかもしれないという考えが、そうさせてくれない。
この恐怖をばらまく魔物が存在しているなんて。世界は何て広いことか。
コストイラは口角を上げた。スゲェ、こんな奴がいたなんて。今戦ったら確実に死ぬ。技を磨こう。いつか必ず倒してやる。
魔物が口内に炎を溜める。ブレスが来ると思った。
魔物が火炎放射する。見えない壁に炎が当たり、左右に分かれて逸れていった。
直接当たっていないが、熱さが十全に伝わってくる。見えない壁は破壊されることなく、その場に存在している。
しばらくして、魔物は飛び去って行った。
緊張感から解放されたメンバーは、声の主を見る。
紅白の巫女服を纏う少女だ。巫女服に似合う、黒と茶の中間色の髪を靡かせ、こちらを見ている。
『去れ。この場にどのようにして迷い込んだのかは分かっている。あの子にも困ったものだ。しかし、ここは君達には相応しくない。疾くと去れ』
帰り方が分からないと返そうとした時、足元に魔法陣が出現した。強制的退去らしい。コストイラがアシドを、レイドがエンドローゼを、シキがアレンを掴む。
その直後、目の前が真っ白になった。
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