メグルユメ
18.命を盗む者
「ここが施設長の部屋か』
「あん? 2人とも知らねェのか?」
『あぁ、入ろうにも、入った者は処刑された』
コストイラと弟2人が部屋の中を覗く。
レイドはエンドローゼに叱られながら、回復されている。少し時間がかかるだろうから、部屋の探索をしてみようとなった。
まず、目につくものは置いておいて、先に周りの探索から始めることにした。
1つ目の箱の蓋を開ける。中にはキモノを着た人形が怖いほど入っていた。隙間がなさ過ぎて、箱を逆さまにしても人形が出てこない。
諦めて2つ目の箱に行くことにした。中には金髪や赤髪など、色とりどりの人形が入っていた。こっちも逆さまにしても人形が出てこなかった。
他の箱を諦めてしまいそうになる。どうせ他の箱も人形がぎっしり入っているのだろう。
「あの、もうあれに行きません?』
そこでナイトに言われて、コストイラも部屋の中央部を見た。部屋に入った瞬間から見えていた人のような何か。霊廟の中に安置されているべき存在な気がする。
女性だ。しかし、人形であることは一目瞭然だ。これまでに見てきた人形と比べて、明らかに劣っている。
臭いがきつい。死臭や皮膚の腐臭を誤魔化すように、大量の香水が使われている。鼻が曲がりそうだ。さらに、ホルムアルデヒド系の防腐剤が使われているのか、臭いが混ざってしまい、さらにきつくなっている。コストイラの苦手な女子の特徴リストに匂いがきついを追加しておこう。
腐っている皮膚は、蝋と漆喰を混ぜた液に浸したシルクの布でくるまれている。布を少しどけると、ぐっと腐臭と死臭が溢れ出てきた。
頭は本物の毛髪で作られたウィッグがつけられている。もしかしたら、この死体の人のものかもしれない。他にも、側に脱ぎ捨てられている服やアクセサリーなんかも、本人のものだろう。
ドロリと腕が落ちた。骨が露出する。骨はそこになく、代わりにハンガーやはがねが出てきた。これで成形していたのだろう。
「人形作りのプロフェッショナルか? こいつ」
「アウーダ家は人形作りで貴族となり、その後も人形作りで子爵に成りあがった家系だ』
「マジか」
コストイラがナイトの発言を受けて、もう一度女性の人形を見つめる。顔をよく見ようと、頬に手を添え、指に力を込めた。
ズルリと布がズレ、目玉が剝かれ、ゴロリと落ちた。ガシャンと目玉が割れた。よく見ると、目玉はガラス玉だった。割れてしまったが、その綺麗さに目を奪われた。
現在のガラス加工技術はかなりひどい。透明なガラスを作るのは、10回に1回で高い方だと言われている。そこから、ガラスの加工は1000回に1回しか成功しないとされている。
そんなガラスを球状に加工している。最先端の50年は先を行く技術だ。
もしかして、国宝級の人を殺した?
「柔らかい」
シキが人形の乳房に触れていた。その無遠慮な触り方に、グニグニと形を変えている。
「よく触れるわね」
アストロが引き攣った顔で白銀の娘を見ている。
『マジか。こいつ陰部まで再現していたのかよ。確か死体の元はベリアスとかいう女だったな。プリディケイトの許嫁だったか。こんな姿になって、可哀そうにな。ちょっと精液の臭いもするし、こいつ、いたして・・・・いたな?』
ディーノイは女の体をそっと置くと、剣を抜いた。
ビクリとプリディケイトの死体が動いた。
『これで死なないのはノスフェラトゥの面倒なところだな。吸血鬼と同じで殺し方に決まりがある。さて、早く殺して、追い付かなくては、な』
首なしの貴族がプルプルと動き出す。それを、何の感情の揺らぎもなく、とどめを刺した。
「あん? 2人とも知らねェのか?」
『あぁ、入ろうにも、入った者は処刑された』
コストイラと弟2人が部屋の中を覗く。
レイドはエンドローゼに叱られながら、回復されている。少し時間がかかるだろうから、部屋の探索をしてみようとなった。
まず、目につくものは置いておいて、先に周りの探索から始めることにした。
1つ目の箱の蓋を開ける。中にはキモノを着た人形が怖いほど入っていた。隙間がなさ過ぎて、箱を逆さまにしても人形が出てこない。
諦めて2つ目の箱に行くことにした。中には金髪や赤髪など、色とりどりの人形が入っていた。こっちも逆さまにしても人形が出てこなかった。
他の箱を諦めてしまいそうになる。どうせ他の箱も人形がぎっしり入っているのだろう。
「あの、もうあれに行きません?』
そこでナイトに言われて、コストイラも部屋の中央部を見た。部屋に入った瞬間から見えていた人のような何か。霊廟の中に安置されているべき存在な気がする。
女性だ。しかし、人形であることは一目瞭然だ。これまでに見てきた人形と比べて、明らかに劣っている。
臭いがきつい。死臭や皮膚の腐臭を誤魔化すように、大量の香水が使われている。鼻が曲がりそうだ。さらに、ホルムアルデヒド系の防腐剤が使われているのか、臭いが混ざってしまい、さらにきつくなっている。コストイラの苦手な女子の特徴リストに匂いがきついを追加しておこう。
腐っている皮膚は、蝋と漆喰を混ぜた液に浸したシルクの布でくるまれている。布を少しどけると、ぐっと腐臭と死臭が溢れ出てきた。
頭は本物の毛髪で作られたウィッグがつけられている。もしかしたら、この死体の人のものかもしれない。他にも、側に脱ぎ捨てられている服やアクセサリーなんかも、本人のものだろう。
ドロリと腕が落ちた。骨が露出する。骨はそこになく、代わりにハンガーやはがねが出てきた。これで成形していたのだろう。
「人形作りのプロフェッショナルか? こいつ」
「アウーダ家は人形作りで貴族となり、その後も人形作りで子爵に成りあがった家系だ』
「マジか」
コストイラがナイトの発言を受けて、もう一度女性の人形を見つめる。顔をよく見ようと、頬に手を添え、指に力を込めた。
ズルリと布がズレ、目玉が剝かれ、ゴロリと落ちた。ガシャンと目玉が割れた。よく見ると、目玉はガラス玉だった。割れてしまったが、その綺麗さに目を奪われた。
現在のガラス加工技術はかなりひどい。透明なガラスを作るのは、10回に1回で高い方だと言われている。そこから、ガラスの加工は1000回に1回しか成功しないとされている。
そんなガラスを球状に加工している。最先端の50年は先を行く技術だ。
もしかして、国宝級の人を殺した?
「柔らかい」
シキが人形の乳房に触れていた。その無遠慮な触り方に、グニグニと形を変えている。
「よく触れるわね」
アストロが引き攣った顔で白銀の娘を見ている。
『マジか。こいつ陰部まで再現していたのかよ。確か死体の元はベリアスとかいう女だったな。プリディケイトの許嫁だったか。こんな姿になって、可哀そうにな。ちょっと精液の臭いもするし、こいつ、いたして・・・・いたな?』
ディーノイは女の体をそっと置くと、剣を抜いた。
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