メグルユメ
15.白き闇
ドゴンと地響きとともに両前足を振り上げると、空中でも走っているかのように動く。普通の馬であれば、ここで嘶くのだろうが、こいつは人馬であって馬ではない。
しかし、魔物だ。
『オオオオオオオオオッッ!!』
嘶きではなく、雄叫びを上げた。
文字通り目にも止まらぬ速さで、アシドが突きを繰り出す。それをケンタロスは腹筋で受け止めた。そう、受けきったのだ。
「腹筋、硬っ!」
驚愕するアシドに大斧が振られる。何とか槍を引き戻し、斧を受け止める。
しかし、馬力が違う。完全に受け止めたと思ってから、腕の力と腰の捻りでもっていかれた。アシドは当然のように壁に叩きつけられた。
「グフ」
口から血を吹いて、意識を落とした。
人馬は何度もストンピングをして大斧を振り回す。かなり興奮しているようだ。そして無造作に大斧を大きく振るうと、今度は駆けだした。
レイドが前に出て、楯を構える。レイドの視覚では、ただぼんやりとしたシルエットしか見えておらず、真正面からは少しズレていた。
振られる大斧に楯を合わせる。生じた火花の明かりが乱反射して、視界が眩む。
「ふわっ!」
「ぐっ!」
一瞬にして視界を奪われ、エンドローゼとアレンが目元を何度も拭う。アストロは何度も瞬きをするが、視界が戻ってこない。
レイドの視界は他の者達同様、何も映っていない。しいて言えば、真っ白が映っている。しかし、動じない。力が弱まることなどない。
これ以上は押し込めない。と、本能で判断した人馬は、大斧を引いた。引く瞬間、力のベクトルが0に近づいた感覚を捉えて、レイドは踏み止まった。もう一度大斧を叩き込もうと振りかぶった。
ぐっと何かが斧を止めている。首が動き、斧を見ようとするが、体が硬くて斧の刃まで目を向けられない。
プシュと血が噴き出た。人馬はそれが自身の首からであると、知覚できた。あまりに捻りすぎたのであろうか。
ケンタロスが頭を元の位置に戻そうとする。すると、視界が下に下がっていった。いや、これは視界ではなく目線の高さか。
その思考を最期に、人馬の頭が地面をバウンドした。
「オロロロロロ」
「に、兄さん」
コウガイが吐いた。その背を摩りながら、アスミンは飲み水を渡してくる。
「やっぱり大丈夫じゃないですよ、コウガイ様。あの女追いかけれとっちめましょう」
ロッドが遠く離れた場所にいる原初を睨んで提案する。その瞬間、コウガイとカレトワの目が鋭くなった。
「「アップルパイ好きに悪い奴にいない!!」」
「うぇえ、あ、はい」
2人の気迫に圧され、ロッドが1歩後ろに下がる。この気迫なら、格上相手にも物怖じしないグリフォンすら、ビビってしまうのではなかろうか。
「で、続きは? すんの? しないの?」
「するよ。当たり前だろ」
コウガイが頭に片手を当てながら立ち上がる。
未だにコウガイは魔眼を使いこなせていなかった。ロッドとカレトワに頼んで鍛えてもらっていた。成長はしているものの、実践向きではなかった。
「よし、来い!」
「でりゃおらぁ!!」
しかし、魔物だ。
『オオオオオオオオオッッ!!』
嘶きではなく、雄叫びを上げた。
文字通り目にも止まらぬ速さで、アシドが突きを繰り出す。それをケンタロスは腹筋で受け止めた。そう、受けきったのだ。
「腹筋、硬っ!」
驚愕するアシドに大斧が振られる。何とか槍を引き戻し、斧を受け止める。
しかし、馬力が違う。完全に受け止めたと思ってから、腕の力と腰の捻りでもっていかれた。アシドは当然のように壁に叩きつけられた。
「グフ」
口から血を吹いて、意識を落とした。
人馬は何度もストンピングをして大斧を振り回す。かなり興奮しているようだ。そして無造作に大斧を大きく振るうと、今度は駆けだした。
レイドが前に出て、楯を構える。レイドの視覚では、ただぼんやりとしたシルエットしか見えておらず、真正面からは少しズレていた。
振られる大斧に楯を合わせる。生じた火花の明かりが乱反射して、視界が眩む。
「ふわっ!」
「ぐっ!」
一瞬にして視界を奪われ、エンドローゼとアレンが目元を何度も拭う。アストロは何度も瞬きをするが、視界が戻ってこない。
レイドの視界は他の者達同様、何も映っていない。しいて言えば、真っ白が映っている。しかし、動じない。力が弱まることなどない。
これ以上は押し込めない。と、本能で判断した人馬は、大斧を引いた。引く瞬間、力のベクトルが0に近づいた感覚を捉えて、レイドは踏み止まった。もう一度大斧を叩き込もうと振りかぶった。
ぐっと何かが斧を止めている。首が動き、斧を見ようとするが、体が硬くて斧の刃まで目を向けられない。
プシュと血が噴き出た。人馬はそれが自身の首からであると、知覚できた。あまりに捻りすぎたのであろうか。
ケンタロスが頭を元の位置に戻そうとする。すると、視界が下に下がっていった。いや、これは視界ではなく目線の高さか。
その思考を最期に、人馬の頭が地面をバウンドした。
「オロロロロロ」
「に、兄さん」
コウガイが吐いた。その背を摩りながら、アスミンは飲み水を渡してくる。
「やっぱり大丈夫じゃないですよ、コウガイ様。あの女追いかけれとっちめましょう」
ロッドが遠く離れた場所にいる原初を睨んで提案する。その瞬間、コウガイとカレトワの目が鋭くなった。
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