メグルユメ
11.這いよる混沌
ケンタロスの目がカッと開き、体を壁から剥がす。それと同時に大きな斧を振るう。
シキは左手から糸を出し、ケンタロスの首に絡めると、一気に引き、斧の範囲から姿を消す。ケンタロスの首が前に倒れ、バランスを崩した。
シキがくるくると回転しながらナイフを抜く。そのナイフをケンタロスの首元に刺し入れる。そして、回転の流れに逆らうことなく、振り抜いた。
一瞬にしてかなりの量の斬撃を浴びせ、首の半分を狩り取るが、それだけでは殺せない。
シキが着壁して次の斬撃を見据える。人馬は馬の足を広げて、倒れないようにしていた。その分背が低くなっている。
アシドが槍で馬の足を叩く。5tの体が傾く。アシドの一撃は骨を曲げることに成功した。そこからは人馬の自重で骨に罅が入った。
コストイラが斧の上に乗る。そして凶悪な鮫のような笑みを作ると、一気に柄を駆け出した。
ケンタロスはそれに気付き、左手の盾を構える。コストイラは跳んで盾の縁に左手をかけ、ダッシュのスピードを活かし、ジャンプして再び柄に乗っかる。
コストイラは鮫のような笑みを残したまま刀を振るう。半分残っていた首がすべて狩り取られた。
「倒せました?」
アレンが渡された松明を掲げて、遠くまで照らすようにする。
コストイラがシキに、オレが倒したんだアピールしている。シキは何も感じていないのか、首を傾げている。
『アイツ等戦う時に指示出しとかしないのか。戦闘音と敵の鳴き声しか聞こえないって意外とシュールだな』
アレンの質問に誰か答えてやれよ、と思いながら観察を続ける。まだ戦闘は終わっていない。
「何?」
アストロが一点に目を向ける。リドルエッグだ。かなり巨大な。普通のリドルエッグが25㎝くらいだが、今目の前にいる卵は1m50㎝くらいある。リドルエッグってこんなに成長すんの?
「リドルエッグですかね?」
アレンがアストロの横に来る。アレンが何気なく魔眼を使う。出てきた名前がリドルエッグではない。
アレンの口が動き、見えた名前を発生しようとした。その瞬間、卵が割れた。頂点が割れ、真っ黒な影が出てきた。光をすべて吸収し、明暗すら起きない完全な黒。
卵の底が割れて影が出る。2つの影は、まるで炎で作った不定形の腕のようだ。
卵の腹も割れて影が出た。その影は3mの天井ギリギリまで伸びて止まった。その影の中にオレンジの影が出現する。それはユラユラと蠟燭の火のように揺らめいて、目や口を形作っていく。
「クロウリーカオス?」
「リドルエッグじゃないってわけね?」
「はい。リドルエッグは地属性ですけど、このクロウリーカオスは闇属性です」
「把握!」
答えたのはアストロではなくアシドだった。アシドが槍を顔に見える場所を殴る。しかし、煙を殴ったような感覚を得た。
アシドは貫通して壁にぶつかった。
クロウリーカオスの影の腕がアレンを襲う。アレンは逃げようとするが、間に合わない。アストロは咄嗟にしゃがんで躱していた。
鞭のような一撃だが、影が太いので鞭とは思えない威力だ。アレンは一撃で昏倒した。
アストロが魔力を放射する。洞窟内なので、少し威力を落としている。煙のように影が割れるが、すぐに元の形になった。
なぜこちらの攻撃は通じないのに、向こうの攻撃が通じるのか? アストロは苛ついて舌打ちをする。
影の鞭が来る前に、アストロの体をコストイラが回収する。シキは影の鞭をすり抜けて本体に辿り着いた。シキが蹴りを叩き込む。
ズゾゾと岩の卵が後ろに下がった。卵の腹が砕け、中からドロドロと影が出る。顔部分の影が揺らめき、どこか悲しそうな表情をしているように見える。
ドロドロと流れる影は固まっておらず、血のように感じる。卵の中に何かあるのだろうか。
そう考えたシキは、一切表情を変えず、何か対処が来る前に蹴りを連続で叩きこむ。卵の殻はもうボロボロで、クロウリーカオスが弱っている。もうかげのゆらぎでしか判断できない。
『蹴りの威力高すぎないか? あれを食らったら、私でも骨が折れるな。物理的に』
ディーノイは自身の胸を触りながら、呆れていた。
シキは左手から糸を出し、ケンタロスの首に絡めると、一気に引き、斧の範囲から姿を消す。ケンタロスの首が前に倒れ、バランスを崩した。
シキがくるくると回転しながらナイフを抜く。そのナイフをケンタロスの首元に刺し入れる。そして、回転の流れに逆らうことなく、振り抜いた。
一瞬にしてかなりの量の斬撃を浴びせ、首の半分を狩り取るが、それだけでは殺せない。
シキが着壁して次の斬撃を見据える。人馬は馬の足を広げて、倒れないようにしていた。その分背が低くなっている。
アシドが槍で馬の足を叩く。5tの体が傾く。アシドの一撃は骨を曲げることに成功した。そこからは人馬の自重で骨に罅が入った。
コストイラが斧の上に乗る。そして凶悪な鮫のような笑みを作ると、一気に柄を駆け出した。
ケンタロスはそれに気付き、左手の盾を構える。コストイラは跳んで盾の縁に左手をかけ、ダッシュのスピードを活かし、ジャンプして再び柄に乗っかる。
コストイラは鮫のような笑みを残したまま刀を振るう。半分残っていた首がすべて狩り取られた。
「倒せました?」
アレンが渡された松明を掲げて、遠くまで照らすようにする。
コストイラがシキに、オレが倒したんだアピールしている。シキは何も感じていないのか、首を傾げている。
『アイツ等戦う時に指示出しとかしないのか。戦闘音と敵の鳴き声しか聞こえないって意外とシュールだな』
アレンの質問に誰か答えてやれよ、と思いながら観察を続ける。まだ戦闘は終わっていない。
「何?」
アストロが一点に目を向ける。リドルエッグだ。かなり巨大な。普通のリドルエッグが25㎝くらいだが、今目の前にいる卵は1m50㎝くらいある。リドルエッグってこんなに成長すんの?
「リドルエッグですかね?」
アレンがアストロの横に来る。アレンが何気なく魔眼を使う。出てきた名前がリドルエッグではない。
アレンの口が動き、見えた名前を発生しようとした。その瞬間、卵が割れた。頂点が割れ、真っ黒な影が出てきた。光をすべて吸収し、明暗すら起きない完全な黒。
卵の底が割れて影が出る。2つの影は、まるで炎で作った不定形の腕のようだ。
卵の腹も割れて影が出た。その影は3mの天井ギリギリまで伸びて止まった。その影の中にオレンジの影が出現する。それはユラユラと蠟燭の火のように揺らめいて、目や口を形作っていく。
「クロウリーカオス?」
「リドルエッグじゃないってわけね?」
「はい。リドルエッグは地属性ですけど、このクロウリーカオスは闇属性です」
「把握!」
答えたのはアストロではなくアシドだった。アシドが槍を顔に見える場所を殴る。しかし、煙を殴ったような感覚を得た。
アシドは貫通して壁にぶつかった。
クロウリーカオスの影の腕がアレンを襲う。アレンは逃げようとするが、間に合わない。アストロは咄嗟にしゃがんで躱していた。
鞭のような一撃だが、影が太いので鞭とは思えない威力だ。アレンは一撃で昏倒した。
アストロが魔力を放射する。洞窟内なので、少し威力を落としている。煙のように影が割れるが、すぐに元の形になった。
なぜこちらの攻撃は通じないのに、向こうの攻撃が通じるのか? アストロは苛ついて舌打ちをする。
影の鞭が来る前に、アストロの体をコストイラが回収する。シキは影の鞭をすり抜けて本体に辿り着いた。シキが蹴りを叩き込む。
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そう考えたシキは、一切表情を変えず、何か対処が来る前に蹴りを連続で叩きこむ。卵の殻はもうボロボロで、クロウリーカオスが弱っている。もうかげのゆらぎでしか判断できない。
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