メグルユメ
21.黒き者
”炎の番人”。それは”黒き炎の巨人”の二つ名を授けられた魔王ンッナンシリスに仕えている組織であり、私兵である。
その私兵のトップに君臨するのが、”火を焼べし者”センテンロールだ。肌の黒さから黒き者とも呼ばれている。
センテンロールは、仲間を第一に考える魔王ンッナンシリスが大好きだ。そして、憧れているからこそ仕えている。
わざわざ主が出る程でもない。ここは私の力だけで十分だ。
赤髪の男は殴り飛ばした。残りは6人。
センテンロールが拳を握る。今度狙われたのはシキ。こんな小柄で軽そうな奴なんて一撃だ。
拳がシキに触れた瞬間、シキが回転する。センテンロールの拳が飛んだ。黒き者の左腕からバシャバシャと血が噴き出している。
センテンロールは左腕の先を炎で包み込み、傷口を焼いて固めた。そして、炎で新しく手を作り出した。何と器用な真似するのだろうか、と感心してしまうが、問題はそこではない。
センテンロールは魔力を使っているというのは事実だ。アストロとエンドローゼの証言通り、魔素が薄い。にもかかわらず、センテンロールは魔力を使っている。そこを解き明かさない限り勝てないかもしれない。
センテンロールが炎で作った左手で、空中に取り残されたシキを掴み取った。ジュッと肉の焼ける音がした。明らかに焼けたのはシキだ。
シキがナイフを振るうが、不定形である炎はさすがに少ししか切れない。アシドがセンテンロールの肘を急襲し、シキを解放させる。
エンドローゼはすぐに酔う可能性があると言っていたにもかかわらず、一切の躊躇なく回復魔法をかけた。
エンドローゼの精神力が強靭すぎる。回復系統の技は基本的に魔法なのだ。つまり、一回使うごとに精神を削るのだ。思い出したくもない過去を思い起こされ、口から吐瀉物を出現させる。それこそが魔法だ。
しかし、エンドローゼはそれに陥ったことがない。口元を押さえることなく、弱音も吐かず、ただひたすらに傷を負った者を直すのだ。
そんなエンドローゼを、アストロが目を細めて見つめる。口では無茶していないと言うが、そんなものやはり虚言。
アストロは、シキの火傷を治すエンドローゼの頭を撫でた。
アシドでは魔王の私兵筆頭には勝てない。それは本人も自覚している。だからこそ、徹底して時間稼ぎに努めようとした。
しかし、その必要がないほど、コストイラが早く戻ってきた。
「男前になってんじゃん」
『元からだ』
一気に両者が肉薄する。そして、コストイラが刀を、センテンロールが拳を振るう。両者が交差し、互いの物が届く直前、待ったがかかった。
『待て、貴様等。他人の家の前で何をしている』
その姿に、センテンロールは目を見開き、片膝をついた。
『ンッナンシリス様!!』
コストイラは黒き者の言葉に目を細めた。このブルーベリー色の巨人が、魔王ンッナンシリス。
両者は無言のまま、視線を絡ませた。
その私兵のトップに君臨するのが、”火を焼べし者”センテンロールだ。肌の黒さから黒き者とも呼ばれている。
センテンロールは、仲間を第一に考える魔王ンッナンシリスが大好きだ。そして、憧れているからこそ仕えている。
わざわざ主が出る程でもない。ここは私の力だけで十分だ。
赤髪の男は殴り飛ばした。残りは6人。
センテンロールが拳を握る。今度狙われたのはシキ。こんな小柄で軽そうな奴なんて一撃だ。
拳がシキに触れた瞬間、シキが回転する。センテンロールの拳が飛んだ。黒き者の左腕からバシャバシャと血が噴き出している。
センテンロールは左腕の先を炎で包み込み、傷口を焼いて固めた。そして、炎で新しく手を作り出した。何と器用な真似するのだろうか、と感心してしまうが、問題はそこではない。
センテンロールは魔力を使っているというのは事実だ。アストロとエンドローゼの証言通り、魔素が薄い。にもかかわらず、センテンロールは魔力を使っている。そこを解き明かさない限り勝てないかもしれない。
センテンロールが炎で作った左手で、空中に取り残されたシキを掴み取った。ジュッと肉の焼ける音がした。明らかに焼けたのはシキだ。
シキがナイフを振るうが、不定形である炎はさすがに少ししか切れない。アシドがセンテンロールの肘を急襲し、シキを解放させる。
エンドローゼはすぐに酔う可能性があると言っていたにもかかわらず、一切の躊躇なく回復魔法をかけた。
エンドローゼの精神力が強靭すぎる。回復系統の技は基本的に魔法なのだ。つまり、一回使うごとに精神を削るのだ。思い出したくもない過去を思い起こされ、口から吐瀉物を出現させる。それこそが魔法だ。
しかし、エンドローゼはそれに陥ったことがない。口元を押さえることなく、弱音も吐かず、ただひたすらに傷を負った者を直すのだ。
そんなエンドローゼを、アストロが目を細めて見つめる。口では無茶していないと言うが、そんなものやはり虚言。
アストロは、シキの火傷を治すエンドローゼの頭を撫でた。
アシドでは魔王の私兵筆頭には勝てない。それは本人も自覚している。だからこそ、徹底して時間稼ぎに努めようとした。
しかし、その必要がないほど、コストイラが早く戻ってきた。
「男前になってんじゃん」
『元からだ』
一気に両者が肉薄する。そして、コストイラが刀を、センテンロールが拳を振るう。両者が交差し、互いの物が届く直前、待ったがかかった。
『待て、貴様等。他人の家の前で何をしている』
その姿に、センテンロールは目を見開き、片膝をついた。
『ンッナンシリス様!!』
コストイラは黒き者の言葉に目を細めた。このブルーベリー色の巨人が、魔王ンッナンシリス。
両者は無言のまま、視線を絡ませた。
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