メグルユメ
16.動き出す溶岩
鼓膜が破れるかと思うほどの轟音が響いた。そして体全体が浮くほどの地震。
しかし、それは一瞬のことで、すぐに収まった。耳がキーンとしており、何も音が聞こえてこない。
コストイラが行列を作っていた者達を見た。川の増水のように溶岩が増えていた。並んでいた者達が巨大な波にさらわれた。そして溶岩の一部が川から溢れ出している。
「うお!?」
コストイラが慌てながら立ち上がり、走り出した。勇者一行は何とか岩の上に乗り、溶岩をやり過ごす。
「どっかの山が噴火したのか?」
コストイラがあたりを見渡すが、噴火の跡が見えない。その代わり、夥しいほどの死体があった。異臭に鼻を抑え、目を細めた。パッと見ただけでも8,000人が死体になっていた。
ここに死の尊厳は欠片もない。バンツウォレイン王国には、葬式に法律が存在している。
1つ目は1人ずつ火葬すること。
2つ目は煙や臭いを発生させないこと。
3つ目は遺体を直接炎や溶解液に触れさせてはいけないこと。
今目の前にある死体は、そのすべてを破っている。これは尊厳のある火葬ではなく、尊厳なき焼却だ。
エンドローゼが口元を抑えて、目尻に涙を溜めている。
しかし、終わったことをどうにかすることはできない。こうなった原因を探す。深刻な酸素不足で不完全燃焼だ。悪臭と黒煙がこの地を支配している。
黒煙を割って巨体が現れた。下は青白い岩石のような下半身、上はオレンジに盛る溶岩のような上半身。見ただけで重量があることが分かる。感覚的にも5tを余裕で越えていそうだ。
岩の割れ目からどろどろとオレンジの溶岩が流れ出ている。同時にオレンジと黒の混じった煙が噴出している。ボコボコと音を立てている溶岩が川に入り、水を溶岩に変えている。
地を揺らしながら歩くラーヴァゴーレムの足が、川に入った。まだ残っていた水が一瞬で蒸発し、水蒸気になった後、湯気に変わる。
ラーヴァゴーレムは足を引っかけ、転んだ。自分に跡を作りながら地面に沈む。
ゴキバキと罅が生まれ、溶岩がさらに放出され始めた。上下の境目が変わってくる。
炎のように燃えている両手を陸に着く。落ちていた死体を潰した。1㎞も離れているにもかかわらず、悪臭は届いてくる。
溶岩が危険で、ラーヴァゴーレムに近づくことができない。苛々しながら刀の柄をトントン叩く。どう近づくか考えているようだ。
エンドローゼが左の人差し指をラーヴァゴーレムに向けた。珍しく、エンドローゼが倒そうとしている。目尻に涙を溜める少女が、月のような淡い光の魔力を放つ。
口からボタボタと溶岩を垂らしている岩魔物の顔に魔力が当たる。ラーヴァゴーレムの体内部から膨れ上がり、爆発する。外皮の岩が名所に散り、溶岩が流れていった。
エンドローゼは涙を流して立ち尽くしていた。
しかし、それは一瞬のことで、すぐに収まった。耳がキーンとしており、何も音が聞こえてこない。
コストイラが行列を作っていた者達を見た。川の増水のように溶岩が増えていた。並んでいた者達が巨大な波にさらわれた。そして溶岩の一部が川から溢れ出している。
「うお!?」
コストイラが慌てながら立ち上がり、走り出した。勇者一行は何とか岩の上に乗り、溶岩をやり過ごす。
「どっかの山が噴火したのか?」
コストイラがあたりを見渡すが、噴火の跡が見えない。その代わり、夥しいほどの死体があった。異臭に鼻を抑え、目を細めた。パッと見ただけでも8,000人が死体になっていた。
ここに死の尊厳は欠片もない。バンツウォレイン王国には、葬式に法律が存在している。
1つ目は1人ずつ火葬すること。
2つ目は煙や臭いを発生させないこと。
3つ目は遺体を直接炎や溶解液に触れさせてはいけないこと。
今目の前にある死体は、そのすべてを破っている。これは尊厳のある火葬ではなく、尊厳なき焼却だ。
エンドローゼが口元を抑えて、目尻に涙を溜めている。
しかし、終わったことをどうにかすることはできない。こうなった原因を探す。深刻な酸素不足で不完全燃焼だ。悪臭と黒煙がこの地を支配している。
黒煙を割って巨体が現れた。下は青白い岩石のような下半身、上はオレンジに盛る溶岩のような上半身。見ただけで重量があることが分かる。感覚的にも5tを余裕で越えていそうだ。
岩の割れ目からどろどろとオレンジの溶岩が流れ出ている。同時にオレンジと黒の混じった煙が噴出している。ボコボコと音を立てている溶岩が川に入り、水を溶岩に変えている。
地を揺らしながら歩くラーヴァゴーレムの足が、川に入った。まだ残っていた水が一瞬で蒸発し、水蒸気になった後、湯気に変わる。
ラーヴァゴーレムは足を引っかけ、転んだ。自分に跡を作りながら地面に沈む。
ゴキバキと罅が生まれ、溶岩がさらに放出され始めた。上下の境目が変わってくる。
炎のように燃えている両手を陸に着く。落ちていた死体を潰した。1㎞も離れているにもかかわらず、悪臭は届いてくる。
溶岩が危険で、ラーヴァゴーレムに近づくことができない。苛々しながら刀の柄をトントン叩く。どう近づくか考えているようだ。
エンドローゼが左の人差し指をラーヴァゴーレムに向けた。珍しく、エンドローゼが倒そうとしている。目尻に涙を溜める少女が、月のような淡い光の魔力を放つ。
口からボタボタと溶岩を垂らしている岩魔物の顔に魔力が当たる。ラーヴァゴーレムの体内部から膨れ上がり、爆発する。外皮の岩が名所に散り、溶岩が流れていった。
エンドローゼは涙を流して立ち尽くしていた。
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