メグルユメ
14.悪鬼羅刹の如く
アレンが変な目を向けてきていることに気づきながらも、コストイラは何も指摘することなく前を歩く。実は気づかれないように魔王領に近づいている。
それに気づかない勇者一行が何かを見つける。遠くの岩の上にハイオーガが見える。こちらを見つめている。どう考えても気づいている。
アレンの思考が100%、どう逃げるかに注がれている。どうすれば許してもらえるのだ。
ドゴンと岩を破壊して飛び上がった。どう見てもこちらに向かってきている。
ハイオーガは両手を組んで、ハンマーのように溜めている。そして、着地と同時に振り下ろされた。地面が砕け、波打った。
一目散に退散していた勇者一行が転んでしまう。コストイラがすぐに立ち上がり、刀を構えた。それよりも先に復活していたシキが、振り下ろされた両拳の上に乗り、左腕を駆け上りながら斬っていった。
『むぐぉ!?』
ハイオーガが両拳を解き、シキを捕まえようとするが、止めることができない。伸ばされた右手に乗り移り、頭を目指す。
足元では、コストイラが刀を振るった。浅い傷でも束ねれば、雨滴が岩を貫通するように、深い傷に変わる。
コストイラは無数の斬撃を一つに束ねて、巨人の足にぶつけた。ハイオーガの脛の骨が半ばまで斬れた。
ハイオーガの足が、ゴリゴリと音を立てながらズレ始めた。それに合わせて、繋がっている肉の繊維がブチブチと千切れていく。足の繊維が完全に断絶された。もうまともに動いてくれないだろう。
しかし、ハイオーガの真価は足にない。その強靭な上半身から繰り出される攻撃にこそ、目を張るものがあるのだ。
ハイオーガが、傷だらけの腕を振り回す。その剛腕が切り裂く空気の音が、威力の硬さを物語っていた。当たったら死ぬ。それは本能に訴えてくる恐怖だ。
コストイラはそんなもの無視して体を密着させる。鬱陶しいので追い払いたいが、コストイラは意地でも離れまいとする。そこまで必死になって生と死の境にいるコストイラを見て、アシドは苛立ちに駆られる。これではまるで自分がすぐに逃げる臆病者のようではないか。
しかし、時はすでに遅く、アシドの参戦を待たずして、コストイラとシキの2名での狩りが終了した。
鬼と見間違うほど立派な角を携えた悪魔が、その前で膝をついている部下を睨みつけている。握る力が強すぎて、巨体に合わせて作られた特注のグラスに罅が入った。
『ナンビスドイーダがやられた?』
怒気どころか殺気すらパンパンに詰まった声に、部下は震え上がってしまう。この膨れ上がるオーラだけで失神してしまいそうだ。
それに気づいた悪魔がオーラを霧散させた。
『別にゲーズに怒っているわけではない。ナンビスドイーダは誰にやられたのだ』
もしここで誰かを答えたならば、その者に最大限の怒りの矛先が向くことだろう。次にどこで、と聞き、答えれば、すぐさまそこに向かうだろう。
しかし、それは駄目だ。近衛騎士団”炎の番人”の団長のセンテンロールに城から出すなと申し付けられているのだ。
『誰にやられたのだ』
『……勇者です』
『勇者、舞い戻ってきたか。今、どこにいる』
ンッナンシリスは一瞬で殺気を解放させ、ゲーズはあっという間もなく失神した。
それに気づかない勇者一行が何かを見つける。遠くの岩の上にハイオーガが見える。こちらを見つめている。どう考えても気づいている。
アレンの思考が100%、どう逃げるかに注がれている。どうすれば許してもらえるのだ。
ドゴンと岩を破壊して飛び上がった。どう見てもこちらに向かってきている。
ハイオーガは両手を組んで、ハンマーのように溜めている。そして、着地と同時に振り下ろされた。地面が砕け、波打った。
一目散に退散していた勇者一行が転んでしまう。コストイラがすぐに立ち上がり、刀を構えた。それよりも先に復活していたシキが、振り下ろされた両拳の上に乗り、左腕を駆け上りながら斬っていった。
『むぐぉ!?』
ハイオーガが両拳を解き、シキを捕まえようとするが、止めることができない。伸ばされた右手に乗り移り、頭を目指す。
足元では、コストイラが刀を振るった。浅い傷でも束ねれば、雨滴が岩を貫通するように、深い傷に変わる。
コストイラは無数の斬撃を一つに束ねて、巨人の足にぶつけた。ハイオーガの脛の骨が半ばまで斬れた。
ハイオーガの足が、ゴリゴリと音を立てながらズレ始めた。それに合わせて、繋がっている肉の繊維がブチブチと千切れていく。足の繊維が完全に断絶された。もうまともに動いてくれないだろう。
しかし、ハイオーガの真価は足にない。その強靭な上半身から繰り出される攻撃にこそ、目を張るものがあるのだ。
ハイオーガが、傷だらけの腕を振り回す。その剛腕が切り裂く空気の音が、威力の硬さを物語っていた。当たったら死ぬ。それは本能に訴えてくる恐怖だ。
コストイラはそんなもの無視して体を密着させる。鬱陶しいので追い払いたいが、コストイラは意地でも離れまいとする。そこまで必死になって生と死の境にいるコストイラを見て、アシドは苛立ちに駆られる。これではまるで自分がすぐに逃げる臆病者のようではないか。
しかし、時はすでに遅く、アシドの参戦を待たずして、コストイラとシキの2名での狩りが終了した。
鬼と見間違うほど立派な角を携えた悪魔が、その前で膝をついている部下を睨みつけている。握る力が強すぎて、巨体に合わせて作られた特注のグラスに罅が入った。
『ナンビスドイーダがやられた?』
怒気どころか殺気すらパンパンに詰まった声に、部下は震え上がってしまう。この膨れ上がるオーラだけで失神してしまいそうだ。
それに気づいた悪魔がオーラを霧散させた。
『別にゲーズに怒っているわけではない。ナンビスドイーダは誰にやられたのだ』
もしここで誰かを答えたならば、その者に最大限の怒りの矛先が向くことだろう。次にどこで、と聞き、答えれば、すぐさまそこに向かうだろう。
しかし、それは駄目だ。近衛騎士団”炎の番人”の団長のセンテンロールに城から出すなと申し付けられているのだ。
『誰にやられたのだ』
『……勇者です』
『勇者、舞い戻ってきたか。今、どこにいる』
ンッナンシリスは一瞬で殺気を解放させ、ゲーズはあっという間もなく失神した。
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