メグルユメ
11.海の姫
「ご、ご、ごべんなざい」
四つん這いの状態でエンドローゼが謝っている。最初、泣いているのかと思ったが、海水だった。単純に迷惑をかけてしまったことに対する謝罪だった。
空気がピリピリしている。コストイラでさえ顔を顰めて逸らしている。アストロは何も言わずにエンドローゼの背中を擦っている。
全員が黙っているのはエンドローゼが原因ではない。その背後に姿を知らない月の神フォンが見えているからだ。もし機嫌を損ねたら、天罰が下りそうだ。
「う~~」
エンドローゼが唸りながらアストロに抱き着いた。アストロはエンドローゼの頭と背中を撫でる。
「何か燃やせるものねェの? 松明的な」
「なさそうですね。岩しか見つけられていません」
指先に火を灯しているコストイラが何かを探す。アレンも一緒に探しているが、見つけられない。このまま魔力を徒に消費し続ければ魔力酔いを起こしてしまう。
「もう大丈夫よ、行きましょ」
「おう。ここはかなり広そうだな」
コストイラは諦めて爪に火を灯したまま歩きだす。エンドローゼは両頬をパチンと叩き、気合を入れてアストロの後ろを歩く。
カツンとアストロの足音が鳴った瞬間、ボボボと連続して壁に火が灯った。
「え? え? え?」
「何、何、何?」
エンドローゼがビビってアストロに抱き着き、そのまま壁側に持っていかれる。アストロはエンドローゼの頭に手を置いて思い切り引き剥がす。
「センサーか何かか?」
「それはつまりバレたってことですよね」
コストイラはアレンの言葉に口を引き結んで頷いた。この先に何がいるのか分からないので、足取りが重い。コストイラは灯していた火を消した。
「バレてんならもう早いだろ。とっとと行こう」
コストイラが刀を確かめながら前に進む。岩があるのだが、よく見ると整備されている。誰かが住んでいるのは確実だ。コストイラを先頭に歩こうとして気付いた。
「分かれ道じゃん」
コストイラが頭を掻きながら左右の道を交互に見る。どちらにも火が灯っていて先が見えるのだが、何も見えない。
「どっちに進む?」
「どっち…………」
アレンが左の道を見た瞬間止まった。何かいる。
1m55㎝程の身長をした存在が道の奥にいる。髪が地面に触れるほど長く垂れており、その足元に水溜まりができている。
ゾクッとアレンの背筋が凍った。え? これ何てホラー小説? あれだよね。これ巷で有名になってきている文学作品のジャンルのホラーとかいうやつだよね?
アレンがコストイラの袖を掴む。
「わ、分かったから引っ張るなよ。服が伸びるだろ。あと、何かあった時の対処が出来ねェだろ」
コストイラがアレンの手を外させようとする。全然離れない。
『この感じ』
流暢に幽霊(?)が喋った。アレンはコストイラに抱き着いた。コストイラは鬱陶しそうにアレンを引き剥がそうとする。コストイラの筋力に敵うはずがなく、アレンは遂に引き剥がされた。
エンドローゼはアストロに抱き着いている。アストロは諦めているのか、上を向いて遠い目をしている。抵抗すらしていない。
『そこにいるのはフォン?』
フォンの名前が出され、エンドローゼが顔を上げた。幽霊(?)は波の模様の浴衣をはためかせながら、ペタペタと歩いてくる。
「そ、そ、そんな歩き方したら、か、髪の先がいー痛みますよ」
最近人一倍髪の毛に気を遣っているエンドローゼがズレている指摘した。地面に擦られている部分が赤くなっている。髪の毛の先端が白くなっているエンドローゼに似ていると言えるかもしれない。
『え、痛む?』
幽霊(?)はきつく睨みつけていた美人の顔を、驚愕に染めている。幽霊(?)は後頭部に手を回して髪の毛を持ち上げた。
あれ? もしかして、この幽霊、話ができる?
四つん這いの状態でエンドローゼが謝っている。最初、泣いているのかと思ったが、海水だった。単純に迷惑をかけてしまったことに対する謝罪だった。
空気がピリピリしている。コストイラでさえ顔を顰めて逸らしている。アストロは何も言わずにエンドローゼの背中を擦っている。
全員が黙っているのはエンドローゼが原因ではない。その背後に姿を知らない月の神フォンが見えているからだ。もし機嫌を損ねたら、天罰が下りそうだ。
「う~~」
エンドローゼが唸りながらアストロに抱き着いた。アストロはエンドローゼの頭と背中を撫でる。
「何か燃やせるものねェの? 松明的な」
「なさそうですね。岩しか見つけられていません」
指先に火を灯しているコストイラが何かを探す。アレンも一緒に探しているが、見つけられない。このまま魔力を徒に消費し続ければ魔力酔いを起こしてしまう。
「もう大丈夫よ、行きましょ」
「おう。ここはかなり広そうだな」
コストイラは諦めて爪に火を灯したまま歩きだす。エンドローゼは両頬をパチンと叩き、気合を入れてアストロの後ろを歩く。
カツンとアストロの足音が鳴った瞬間、ボボボと連続して壁に火が灯った。
「え? え? え?」
「何、何、何?」
エンドローゼがビビってアストロに抱き着き、そのまま壁側に持っていかれる。アストロはエンドローゼの頭に手を置いて思い切り引き剥がす。
「センサーか何かか?」
「それはつまりバレたってことですよね」
コストイラはアレンの言葉に口を引き結んで頷いた。この先に何がいるのか分からないので、足取りが重い。コストイラは灯していた火を消した。
「バレてんならもう早いだろ。とっとと行こう」
コストイラが刀を確かめながら前に進む。岩があるのだが、よく見ると整備されている。誰かが住んでいるのは確実だ。コストイラを先頭に歩こうとして気付いた。
「分かれ道じゃん」
コストイラが頭を掻きながら左右の道を交互に見る。どちらにも火が灯っていて先が見えるのだが、何も見えない。
「どっちに進む?」
「どっち…………」
アレンが左の道を見た瞬間止まった。何かいる。
1m55㎝程の身長をした存在が道の奥にいる。髪が地面に触れるほど長く垂れており、その足元に水溜まりができている。
ゾクッとアレンの背筋が凍った。え? これ何てホラー小説? あれだよね。これ巷で有名になってきている文学作品のジャンルのホラーとかいうやつだよね?
アレンがコストイラの袖を掴む。
「わ、分かったから引っ張るなよ。服が伸びるだろ。あと、何かあった時の対処が出来ねェだろ」
コストイラがアレンの手を外させようとする。全然離れない。
『この感じ』
流暢に幽霊(?)が喋った。アレンはコストイラに抱き着いた。コストイラは鬱陶しそうにアレンを引き剥がそうとする。コストイラの筋力に敵うはずがなく、アレンは遂に引き剥がされた。
エンドローゼはアストロに抱き着いている。アストロは諦めているのか、上を向いて遠い目をしている。抵抗すらしていない。
『そこにいるのはフォン?』
フォンの名前が出され、エンドローゼが顔を上げた。幽霊(?)は波の模様の浴衣をはためかせながら、ペタペタと歩いてくる。
「そ、そ、そんな歩き方したら、か、髪の先がいー痛みますよ」
最近人一倍髪の毛に気を遣っているエンドローゼがズレている指摘した。地面に擦られている部分が赤くなっている。髪の毛の先端が白くなっているエンドローゼに似ていると言えるかもしれない。
『え、痛む?』
幽霊(?)はきつく睨みつけていた美人の顔を、驚愕に染めている。幽霊(?)は後頭部に手を回して髪の毛を持ち上げた。
あれ? もしかして、この幽霊、話ができる?
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