メグルユメ
2.渡る者の途絶えた橋
崖路沿いを歩くこと十数分。先ほどよりもかなり新しめな橋を見つけた。一度失敗したコストイラは、かなり慎重に確かめながら新しめの橋に乗る。一度乗れたからといって油断してはならない。先ほどの例みたいなものもある。
と、コストイラが後ろを振り向くと、アストロ達も乗っていた。
「あれ?」
「大丈夫そうだし」
コストイラは何とも言えない表情をして、歩みを再開させた。すると、トボトボと歩いていたコストイラが急に前転した。何かと思った瞬間、そこに大量の水が通過する。後ろにいたアストロ達が驚いて足を止める。コストイラとアストロの間にかつて見た人魚のような魔物がいた。
コストイラ1人で何とかしたウィンディーネ。その事実が思い起こされた瞬間、アストロの頭がカッとなった。
なんとその状態からノータイムで魔力を放った。ウィンディーネの横顔が爆発して、体がぐらついた。ウィンディーネが槍を持ったまま右手を橋につき、立て直そうとする。ぐっと右腕に力を入れた瞬間、ズルリを体がズレた。見ると、赤髪の青年がウィンディーネの右腕を切ったようだ。断面が滑り、そのまま橋に叩きつけることになる。ぐちゃりという感触とともに少し潰れた。神経も一緒に。
痛すぎて絶叫すら出てこない。コストイラは低い位置にまで来たウィンディーネの頭を返す刀で切りつけた。
『~~~~!?』
ウィンディーネが顔を跳ね上げ、左手で目元を押さえる。左目は魔力で、右目は刀で潰された。跳ね上げた勢いで背を、軋むほどに反らせる。
シキが跳び上がり、縦に一回転して踵落としを顔面に叩き込んだ。目元を押さえていた手が顔にめり込み、歯や切り傷のある目玉が飛び出す。
ウィンディーネの体が下に落ちていき、たっぷり10秒弱の時間をかけて水に落ちた。ドボォンと音を立てて落ちたウィンディーネが浮かばないのを見ながら、その高さに震えた。これは、落ちたら死ぬな。
アレンは足が竦んで動けなくなった。エンドローゼはレイドに手を引かれ、びくびくしながら渡っている。しかし、アレンの手を引く者はいない。少し悲しい事実だが、もう慣れた。どうせアレンなんてそんな立ち位置だ。
「ん」
腐っているアレンに手が伸ばされる。正直それだけでも嬉しかったが、その手の主がシキであるのならばなおのことだ。単純童貞野郎アレンはこれだけで元気が出る。
アストロにアレンを連れて来いと命じられたのだが、なぜアレンがここまで昂揚しているのか分からない。アレンがシキの手を握ったことを確認すると、遠慮なしに引っ張り、橋を渡った。
ニヤニヤとしているアストロがポンと肩を叩き、耳元に口を近づけてくる。
「良かったわね。高所恐怖症で」
「な、何がですか」
「フフン。良いのよ、隠さなくても。くっつくようにしてあげるから」
何とか言い繕うとするが、アストロは聞く耳を持たず、肩をポンポン叩いて離れていった。本当にこのままでいいのだろうか。
ニヤニヤして見守っていたコストイラが海の方を向いた。
「よし、このままいくぜ」
ニヤニヤしていたあたり、コストイラもアストロと似たようなことを考えていたのだろう。
なぜ今恋愛なのだ。今は勇者としての責務の方が大事だろう。
と、コストイラが後ろを振り向くと、アストロ達も乗っていた。
「あれ?」
「大丈夫そうだし」
コストイラは何とも言えない表情をして、歩みを再開させた。すると、トボトボと歩いていたコストイラが急に前転した。何かと思った瞬間、そこに大量の水が通過する。後ろにいたアストロ達が驚いて足を止める。コストイラとアストロの間にかつて見た人魚のような魔物がいた。
コストイラ1人で何とかしたウィンディーネ。その事実が思い起こされた瞬間、アストロの頭がカッとなった。
なんとその状態からノータイムで魔力を放った。ウィンディーネの横顔が爆発して、体がぐらついた。ウィンディーネが槍を持ったまま右手を橋につき、立て直そうとする。ぐっと右腕に力を入れた瞬間、ズルリを体がズレた。見ると、赤髪の青年がウィンディーネの右腕を切ったようだ。断面が滑り、そのまま橋に叩きつけることになる。ぐちゃりという感触とともに少し潰れた。神経も一緒に。
痛すぎて絶叫すら出てこない。コストイラは低い位置にまで来たウィンディーネの頭を返す刀で切りつけた。
『~~~~!?』
ウィンディーネが顔を跳ね上げ、左手で目元を押さえる。左目は魔力で、右目は刀で潰された。跳ね上げた勢いで背を、軋むほどに反らせる。
シキが跳び上がり、縦に一回転して踵落としを顔面に叩き込んだ。目元を押さえていた手が顔にめり込み、歯や切り傷のある目玉が飛び出す。
ウィンディーネの体が下に落ちていき、たっぷり10秒弱の時間をかけて水に落ちた。ドボォンと音を立てて落ちたウィンディーネが浮かばないのを見ながら、その高さに震えた。これは、落ちたら死ぬな。
アレンは足が竦んで動けなくなった。エンドローゼはレイドに手を引かれ、びくびくしながら渡っている。しかし、アレンの手を引く者はいない。少し悲しい事実だが、もう慣れた。どうせアレンなんてそんな立ち位置だ。
「ん」
腐っているアレンに手が伸ばされる。正直それだけでも嬉しかったが、その手の主がシキであるのならばなおのことだ。単純童貞野郎アレンはこれだけで元気が出る。
アストロにアレンを連れて来いと命じられたのだが、なぜアレンがここまで昂揚しているのか分からない。アレンがシキの手を握ったことを確認すると、遠慮なしに引っ張り、橋を渡った。
ニヤニヤとしているアストロがポンと肩を叩き、耳元に口を近づけてくる。
「良かったわね。高所恐怖症で」
「な、何がですか」
「フフン。良いのよ、隠さなくても。くっつくようにしてあげるから」
何とか言い繕うとするが、アストロは聞く耳を持たず、肩をポンポン叩いて離れていった。本当にこのままでいいのだろうか。
ニヤニヤして見守っていたコストイラが海の方を向いた。
「よし、このままいくぜ」
ニヤニヤしていたあたり、コストイラもアストロと似たようなことを考えていたのだろう。
なぜ今恋愛なのだ。今は勇者としての責務の方が大事だろう。
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