メグルユメ
7.植物達の反乱
翌日。アレンが起きると、他の6人は起きていた。またしても一番最後に起きたのはアレンのようだ。アレンとしては結構早起きしているつもりなのだが、皆はいつ起きているのだろうか。
「おう、アレン起きたか。出発するぞ、顔洗ってこい」
「は、はい」
アレンに寝起きの体を必死に動かし、近くにある川まで移動する。しかし、川の水は濁っているようにしか見えない。この中に魔物が潜んでいたとしてもきっと気付けないだろう。この中に手を突っ込める勇気など以前のアレンにはなかった。
すでに体がボロボロでどうでもよくなってきているアレンは、平然と川の中に手を突っ込む。川の水を持ち上げてみると、意外と透明であった。この濁りは川の中だけのことらしい。
水を浴びせた顔を持ち上げると、自分の手首に見慣れないものが巻き付いていた。見慣れないものだが、どう考えたって植物の蔓だ。
嫌な予感しかしてこないので、切るために解体用ナイフを取り出そうとする。しかし、それよりも早く蔓がアレンの体を引いた。
「わ、わ、わ」
手首がすっぽ抜けるかと思う勢いで引っ張られ、アレンはバランスを崩した。一度崩れたバランスを戻すのは至難の業だ。
「どうした―、アーレーン?」
緊張感の欠片もない、間延びした声。よく聞こえなかったが、おそらくアシドだろう。
アレンは目印を残した方がいいと考え、あまり握力の残っていない左手で、解体用のナイフを投げた。
「アーレーン? 早う来い?」
アシドは川岸まで来たのにも関わらず、アレンの姿が見えず、眉根を寄せた。
「あれ~~?」
「アレンは?」
「いねぇんだけど」
「はぁ?」
アストロに急かされ、アシドは叢を搔き分けてアレンを探すが、一向に見つからない。アストロ達の方にも行っていないようなので、本格的に見失ってしまった。
「どこ行ったんだよ、アイツ」
「あ、こ、こ、これ」
アシドが愚痴をこぼした時、エンドローゼが何かを見つけた。アレンの荷物を持っているレイドが覗き込む。
「むぅ。それはアレンの解体用ナイフではなかったか?」
「ん」
レイドの推理をシキが首肯する。
この解体用ナイフは、アレンが残した何かしらのメッセージだ。これが残っているということは、ここにアレンがいたことは確実だ。しかし、ここにはいないようだ。
今のアレンはひどく無防備だ。弓矢は現在、レイドが担いでおり、唯一持っていた解体用及び自衛用のナイフはここにある。アレンの自衛手段は徒手しかないが、あの体で徒手に期待するのは無理がある。
「おい、あっちだ」
コストイラが森の奥から手招いている。そっちの方に何があるのかさっぱりだが、皆は関係なく向かう。なんだかんだ言って、アレンはこのパーティには欠かせない存在なのだ。まぁ、絶対かといわれると……。
アレンは恐ろしいほど可愛らしい顔をした少女に囲まれていた。これが安全な場所であることが保証されており、自分のことを好いている相手だとするならば、どれだけよかっただろうか。
今アレンを囲んでいる少女たちはアルラウネとドライアドとクイーンアルラウネだ。これは完全に捕食する流れができている。
アレンの手元には武器がない。弓矢は野宿した場所に、解体及び自衛用のナイフは目印として投げてしまった。魔力を使って盤面を展開すると、えげつないほどの青色の点で埋め尽くされるが、中でも大きい点が二つある。おそらくドライアドとクイーンアルラウネだろう。
赤い点がこちらに近づいてきている。あともう少し時間を稼がなければいけないようだ。とはいえ時間を稼ぐのに必要な手段がない。
アレンは亀の子戦法を取るしかない。しかし、蔓はアレンの腰に巻き付き、軽々と持ち上げてしまった。
あれ? これ間に合わない?
その時、蔓が燃えて支えをなくしたアレンが地面に俯せで大の字に落ちた。顔を上げると、死体の側では炎を使わなかったコストイラが、森の中で堂々と炎を纏いながらアルラウネを切っていった。
次いでシキが魔力を纏わせたナイフを振るいながら現れた。
コストイラが大物を押さえているうちに、シキが道を作り、アレンを回収する。シキが乱暴に持ち上げ、アレンのことを見ずに肩に担いだ。
「ぐ」
腹がシキの肩に抉られ、思わず声が出てしまう。シキは何に対する声なのか分からず、首を傾げてしまう。
「おう、アレン起きたか。出発するぞ、顔洗ってこい」
「は、はい」
アレンに寝起きの体を必死に動かし、近くにある川まで移動する。しかし、川の水は濁っているようにしか見えない。この中に魔物が潜んでいたとしてもきっと気付けないだろう。この中に手を突っ込める勇気など以前のアレンにはなかった。
すでに体がボロボロでどうでもよくなってきているアレンは、平然と川の中に手を突っ込む。川の水を持ち上げてみると、意外と透明であった。この濁りは川の中だけのことらしい。
水を浴びせた顔を持ち上げると、自分の手首に見慣れないものが巻き付いていた。見慣れないものだが、どう考えたって植物の蔓だ。
嫌な予感しかしてこないので、切るために解体用ナイフを取り出そうとする。しかし、それよりも早く蔓がアレンの体を引いた。
「わ、わ、わ」
手首がすっぽ抜けるかと思う勢いで引っ張られ、アレンはバランスを崩した。一度崩れたバランスを戻すのは至難の業だ。
「どうした―、アーレーン?」
緊張感の欠片もない、間延びした声。よく聞こえなかったが、おそらくアシドだろう。
アレンは目印を残した方がいいと考え、あまり握力の残っていない左手で、解体用のナイフを投げた。
「アーレーン? 早う来い?」
アシドは川岸まで来たのにも関わらず、アレンの姿が見えず、眉根を寄せた。
「あれ~~?」
「アレンは?」
「いねぇんだけど」
「はぁ?」
アストロに急かされ、アシドは叢を搔き分けてアレンを探すが、一向に見つからない。アストロ達の方にも行っていないようなので、本格的に見失ってしまった。
「どこ行ったんだよ、アイツ」
「あ、こ、こ、これ」
アシドが愚痴をこぼした時、エンドローゼが何かを見つけた。アレンの荷物を持っているレイドが覗き込む。
「むぅ。それはアレンの解体用ナイフではなかったか?」
「ん」
レイドの推理をシキが首肯する。
この解体用ナイフは、アレンが残した何かしらのメッセージだ。これが残っているということは、ここにアレンがいたことは確実だ。しかし、ここにはいないようだ。
今のアレンはひどく無防備だ。弓矢は現在、レイドが担いでおり、唯一持っていた解体用及び自衛用のナイフはここにある。アレンの自衛手段は徒手しかないが、あの体で徒手に期待するのは無理がある。
「おい、あっちだ」
コストイラが森の奥から手招いている。そっちの方に何があるのかさっぱりだが、皆は関係なく向かう。なんだかんだ言って、アレンはこのパーティには欠かせない存在なのだ。まぁ、絶対かといわれると……。
アレンは恐ろしいほど可愛らしい顔をした少女に囲まれていた。これが安全な場所であることが保証されており、自分のことを好いている相手だとするならば、どれだけよかっただろうか。
今アレンを囲んでいる少女たちはアルラウネとドライアドとクイーンアルラウネだ。これは完全に捕食する流れができている。
アレンの手元には武器がない。弓矢は野宿した場所に、解体及び自衛用のナイフは目印として投げてしまった。魔力を使って盤面を展開すると、えげつないほどの青色の点で埋め尽くされるが、中でも大きい点が二つある。おそらくドライアドとクイーンアルラウネだろう。
赤い点がこちらに近づいてきている。あともう少し時間を稼がなければいけないようだ。とはいえ時間を稼ぐのに必要な手段がない。
アレンは亀の子戦法を取るしかない。しかし、蔓はアレンの腰に巻き付き、軽々と持ち上げてしまった。
あれ? これ間に合わない?
その時、蔓が燃えて支えをなくしたアレンが地面に俯せで大の字に落ちた。顔を上げると、死体の側では炎を使わなかったコストイラが、森の中で堂々と炎を纏いながらアルラウネを切っていった。
次いでシキが魔力を纏わせたナイフを振るいながら現れた。
コストイラが大物を押さえているうちに、シキが道を作り、アレンを回収する。シキが乱暴に持ち上げ、アレンのことを見ずに肩に担いだ。
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