メグルユメ
10.世話焼きの騎士王
騎士王の称号を持つ者は世界全土、歴史上で見ても数少ない。騎士の中でも多くの功績を残し、人々に認められた者こそ騎士王と呼ばれる。
ショーケーレも騎士王と呼ばれている。天界に住んでいる者なら誰もが知っている。しかし、天界を飛び出すと、知っている者はいない。
結局、騎士王といえばアスタットなのだ。
ショーケーレが一気に距離を詰め、ロングソードを振るう。
シキは異常な速度でショーケーレの股下を抜ける。抜ける際にナイフに魔力を流しながら足首を斬りつける。灰色の鎧が斬れ、中にあった肉も切られ、隙間から血が漏れる。ショーケーレが振り向きざまに剣を振るう。決して甘くなく、多くの功績を打ち立てたと体感させる一閃をナイフで受ける。
これがナイフの壊れる原因なのだろうなと思いつつ、ナイフを傾け受け流そうとすると、ロングソードが半ばまで斬れた。
「は?」
『何!?』
シキにとっても想定外である。力を入れるが、それ以上切れない。ショーケーレが力だけで弾き飛ばそうとする。シキがナイフにさらに魔力を注ぎ込むと、スゥーと熱した包丁でバターを切るように剣が斬れた。剣の長さが半分になる。
ビクリとショーケーレの肩が震えた。背後に熱く熱く熱く燃え滾る魔力を感じた。赤い髪を逆立たせ、黄色い瞳を爛爛と輝かせた男が立っていた。
まるで炎のような男にショーケーレは歓喜した。これだ。これなのだ。これこそが主に相応しき姿だ!目の前に見える男に、昔の主の姿を重ねる。
ショーケーレ内の意識はすでにシキが消え、コストイラだけしかなかった。半分になっていることなど気にも留めず、コストイラに向かって走る。コストイラは息を吐き、迎え撃つように走り出す。
ショーケーレが回転斬りを繰り出すと、コストイラは光り輝く一閃で対応した。そして、両者の体は互いの横を通り過ぎ、動きを止める。
切れていたロングソードがさらに切れた。今までコストイラがしていた行動はすべて布石だった。ショーケーレは、コストイラには鎧を断つことは出来ないと思わせられていた。今までの攻撃と、反応で手が出ないと考えさせられていた。
振り向きながら根本だけになった剣で、次の攻撃を対処しようとする。
が、駄目。炎を纏う刀が柄を叩き、跳ね上げさせ、もう一度光り輝く一閃が煌めく。
ショーケーレの腹が斬られた。腹の傷で一番怖いのは、贓物が外に出てきてしまうことだ。その点、ショーケーレは鎧を着ているため安心だ。
ショーケーレが剣を振り下ろそうとする。振り抜いた刀が戻ってくる前に剣が先に辿り着くだろう。しかし、コストイラは焦らない。剣の横っ面に魔術を当てられ、剣の軌道がずらされる。剣がコストイラの横を通り、ショーケーレが無防備になる。
コストイラがアッパーのように刀で振り上げる。地面ごと斬る斬撃は、前に屈むショーケーレの股から臍下にかけて切り裂く。
絶叫暇さえ与えられず、後頭部に衝撃が走る。ショーケーレからは死角となっており見えないが、それはアシドによる攻撃だった。重心が前に出すぎていて、もう体を戻すことができない。剣から手を離し、手をつこうとするが、後頭部にさらなる追撃が入る。後ろから魔術を浴び、ショーケーレは顔面から着地した。
ゴロリと仰向けになる。
『ハッハッ。強いな、勇者は。北へ行くといい。真実に近づけるぞ』
ショーケーレは言うだけ言うと失神した。なぜ北なのか、真実とはどういうことなのか。聞きたいことはたくさんあるが、聞ける相手がいなくなってしまった。
「北だってよ。北って、どっちだ」
コストイラがドクドクと頭から血を流しながら四方を見る。そんなコストイラに全力疾走でエンドローゼが近づいてくる。足の速さだけを見ればレイドを超えているだろうか。
ズザザと砂を巻き上げて止まり、流れるように回復を始める。もはやこの道のプロをも凌ぐ勢いだろうか。コストイラは自分と脚の速さはどちらの方が速いのか気になり始めてしまった。
ショーケーレも騎士王と呼ばれている。天界に住んでいる者なら誰もが知っている。しかし、天界を飛び出すと、知っている者はいない。
結局、騎士王といえばアスタットなのだ。
ショーケーレが一気に距離を詰め、ロングソードを振るう。
シキは異常な速度でショーケーレの股下を抜ける。抜ける際にナイフに魔力を流しながら足首を斬りつける。灰色の鎧が斬れ、中にあった肉も切られ、隙間から血が漏れる。ショーケーレが振り向きざまに剣を振るう。決して甘くなく、多くの功績を打ち立てたと体感させる一閃をナイフで受ける。
これがナイフの壊れる原因なのだろうなと思いつつ、ナイフを傾け受け流そうとすると、ロングソードが半ばまで斬れた。
「は?」
『何!?』
シキにとっても想定外である。力を入れるが、それ以上切れない。ショーケーレが力だけで弾き飛ばそうとする。シキがナイフにさらに魔力を注ぎ込むと、スゥーと熱した包丁でバターを切るように剣が斬れた。剣の長さが半分になる。
ビクリとショーケーレの肩が震えた。背後に熱く熱く熱く燃え滾る魔力を感じた。赤い髪を逆立たせ、黄色い瞳を爛爛と輝かせた男が立っていた。
まるで炎のような男にショーケーレは歓喜した。これだ。これなのだ。これこそが主に相応しき姿だ!目の前に見える男に、昔の主の姿を重ねる。
ショーケーレ内の意識はすでにシキが消え、コストイラだけしかなかった。半分になっていることなど気にも留めず、コストイラに向かって走る。コストイラは息を吐き、迎え撃つように走り出す。
ショーケーレが回転斬りを繰り出すと、コストイラは光り輝く一閃で対応した。そして、両者の体は互いの横を通り過ぎ、動きを止める。
切れていたロングソードがさらに切れた。今までコストイラがしていた行動はすべて布石だった。ショーケーレは、コストイラには鎧を断つことは出来ないと思わせられていた。今までの攻撃と、反応で手が出ないと考えさせられていた。
振り向きながら根本だけになった剣で、次の攻撃を対処しようとする。
が、駄目。炎を纏う刀が柄を叩き、跳ね上げさせ、もう一度光り輝く一閃が煌めく。
ショーケーレの腹が斬られた。腹の傷で一番怖いのは、贓物が外に出てきてしまうことだ。その点、ショーケーレは鎧を着ているため安心だ。
ショーケーレが剣を振り下ろそうとする。振り抜いた刀が戻ってくる前に剣が先に辿り着くだろう。しかし、コストイラは焦らない。剣の横っ面に魔術を当てられ、剣の軌道がずらされる。剣がコストイラの横を通り、ショーケーレが無防備になる。
コストイラがアッパーのように刀で振り上げる。地面ごと斬る斬撃は、前に屈むショーケーレの股から臍下にかけて切り裂く。
絶叫暇さえ与えられず、後頭部に衝撃が走る。ショーケーレからは死角となっており見えないが、それはアシドによる攻撃だった。重心が前に出すぎていて、もう体を戻すことができない。剣から手を離し、手をつこうとするが、後頭部にさらなる追撃が入る。後ろから魔術を浴び、ショーケーレは顔面から着地した。
ゴロリと仰向けになる。
『ハッハッ。強いな、勇者は。北へ行くといい。真実に近づけるぞ』
ショーケーレは言うだけ言うと失神した。なぜ北なのか、真実とはどういうことなのか。聞きたいことはたくさんあるが、聞ける相手がいなくなってしまった。
「北だってよ。北って、どっちだ」
コストイラがドクドクと頭から血を流しながら四方を見る。そんなコストイラに全力疾走でエンドローゼが近づいてくる。足の速さだけを見ればレイドを超えているだろうか。
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