メグルユメ
30.―最終試練―
戦いを終えたばかりのエンドローゼの元に勇者一行が集まる。
「勝てたわね。おめでとう」
素直に褒めてくるアストロに、照れたエンドローゼが上手く返答できず小さくなっていく。
「にしてもエンドローゼってそんな威力の技があったんだな」
「それな。オレも驚いたぜ」
「そ、それは」
「神に愛されているからだ」
試合の感想を述べるコストイラとアシドに何か返答しようとして、横から返答が来る。見ると、対戦相手だったトゥーヤだった。
「あの技は神に愛されているほど威力の上がる技だ。君は遥かに私の上をいっている」
「そ、そんな」
「卑下するな。私が惨めになる」
何かフォローしようとして先手を打たれる。惨めになると言われれば、エンドローゼも何も言えない。
「観客席へ行け。グランドチャンピオンとの戦いだぞ」
言うだけ言ってトゥーヤはどこかに行ってしまった。アレン達は一旦見つめ合うと、観客席に向かっていった。
闘技場に立っていたのはシキだ。エンドローゼの元に皆が集まった時、シキがいないと思ったが、まさかここにいたとは。
割れんばかりの歓声が闘技場全体を揺らしている。原因を探すように顔を動かすと、すぐに見つかった。
入り口から入ってきた女だ。金髪金目の女に見覚えがあった。コストイラが試練を行けている時に、シキの肩に顎を乗せた女だ。
紹介のアナウンスを聞く限り、この女が無敗のチャンピオンのアリスだということだ。あの時の体捌きを考えると当然なのかもしれない。
アストロが刃の潰れた剣を抜く。シキもナイフを抜き、ナイトメアスタイルをとる。
アリスが一気に肉薄する。今までの戦いとは違う速度の速さであり、シキが目を張る。振るわれる剣の腹に左のナイフを押し付け、シキは飛び越えて着地する。そのまま屈む。シキの頭の上を剣が通過する。
屈んだ姿勢のままシキが左のナイフを振る。アリスは体をくの字に曲げ、空振りに終わらせる。アリスにそのまま後ろ後ろに跳び、距離を取る。
アリスはブラブラと剣を振った後、がっしりと握りもう一度肉薄する。振るわれる剣にナイフを合わせたり、体を傾けたり、後ろに跳んだりして躱す。
アリスが押しているように見えるため、歓声が上がっている。
アリスは焦っていた。まったく押せていない。最初に目を見開いた時以外に表情が変わらない。つまり、余裕があるのだ。
シキが跳んで躱す。空中では市井の制御ができない。振り抜こうとする剣を無理矢理切り返し、シキを狙う。腕がビキビキ言っているように感じるが無視する。
そこで気付いた。ここは壁際だ。シキが壁を蹴る。速度の付いたシキの膝がアリスの顔に入る。鼻頭が折れ、鼻血が出る。血を出すなんて何年ぶりのことだろうか。
シキが着地と同時に回し蹴りを繰り出すが、アリスはその前に地面を押し、回避する。アリスが身を低くした状態で剣を振るう。右のナイフの防御が間に合う。しかし、ナイフごと脇腹を叩かれる。
シキは地面をバウンドして、速攻で立ち上がる。ナイフを投げようとして前を向くと、剣が迫っているのが見えた。その柄には何もない。そして誰もいない。
アリスは剣を投げたのだ。やろうとしていたことを先にやられてしまった。投げようとしていたナイフで弾いた。
そしてシキはアリスにナイフを投げつけた。
「勝てたわね。おめでとう」
素直に褒めてくるアストロに、照れたエンドローゼが上手く返答できず小さくなっていく。
「にしてもエンドローゼってそんな威力の技があったんだな」
「それな。オレも驚いたぜ」
「そ、それは」
「神に愛されているからだ」
試合の感想を述べるコストイラとアシドに何か返答しようとして、横から返答が来る。見ると、対戦相手だったトゥーヤだった。
「あの技は神に愛されているほど威力の上がる技だ。君は遥かに私の上をいっている」
「そ、そんな」
「卑下するな。私が惨めになる」
何かフォローしようとして先手を打たれる。惨めになると言われれば、エンドローゼも何も言えない。
「観客席へ行け。グランドチャンピオンとの戦いだぞ」
言うだけ言ってトゥーヤはどこかに行ってしまった。アレン達は一旦見つめ合うと、観客席に向かっていった。
闘技場に立っていたのはシキだ。エンドローゼの元に皆が集まった時、シキがいないと思ったが、まさかここにいたとは。
割れんばかりの歓声が闘技場全体を揺らしている。原因を探すように顔を動かすと、すぐに見つかった。
入り口から入ってきた女だ。金髪金目の女に見覚えがあった。コストイラが試練を行けている時に、シキの肩に顎を乗せた女だ。
紹介のアナウンスを聞く限り、この女が無敗のチャンピオンのアリスだということだ。あの時の体捌きを考えると当然なのかもしれない。
アストロが刃の潰れた剣を抜く。シキもナイフを抜き、ナイトメアスタイルをとる。
アリスが一気に肉薄する。今までの戦いとは違う速度の速さであり、シキが目を張る。振るわれる剣の腹に左のナイフを押し付け、シキは飛び越えて着地する。そのまま屈む。シキの頭の上を剣が通過する。
屈んだ姿勢のままシキが左のナイフを振る。アリスは体をくの字に曲げ、空振りに終わらせる。アリスにそのまま後ろ後ろに跳び、距離を取る。
アリスはブラブラと剣を振った後、がっしりと握りもう一度肉薄する。振るわれる剣にナイフを合わせたり、体を傾けたり、後ろに跳んだりして躱す。
アリスが押しているように見えるため、歓声が上がっている。
アリスは焦っていた。まったく押せていない。最初に目を見開いた時以外に表情が変わらない。つまり、余裕があるのだ。
シキが跳んで躱す。空中では市井の制御ができない。振り抜こうとする剣を無理矢理切り返し、シキを狙う。腕がビキビキ言っているように感じるが無視する。
そこで気付いた。ここは壁際だ。シキが壁を蹴る。速度の付いたシキの膝がアリスの顔に入る。鼻頭が折れ、鼻血が出る。血を出すなんて何年ぶりのことだろうか。
シキが着地と同時に回し蹴りを繰り出すが、アリスはその前に地面を押し、回避する。アリスが身を低くした状態で剣を振るう。右のナイフの防御が間に合う。しかし、ナイフごと脇腹を叩かれる。
シキは地面をバウンドして、速攻で立ち上がる。ナイフを投げようとして前を向くと、剣が迫っているのが見えた。その柄には何もない。そして誰もいない。
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そしてシキはアリスにナイフを投げつけた。
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