メグルユメ
18.―水の試練―
チャンピオンと戦う前、コストイラがバルログと戦ったように、アシドにも対戦相手が用意された。
アシドの相手はジャイアントイエティ。そう、あの8m級の銀雪の山だ。
この時、アシドは滾っていた。雪を溶かす勢いで滾っていた。あんな見事な闘いを見せられて燃えないはずがない。
常にコストイラの後追いをするアシドは、ここにきて両者間の距離が開いたと感じていた。だからこそ決意した。自分も水のチャンピオンを倒し、コストイラに追いつく、と。
決意に満ちた目で入り口を睨み、短く息を吐く。アナウンサーの口上など聞き流し、アシドは入り口をくぐった。
先の戦いで熱くなっていたフィールドは一瞬にして冷却されていた。ジャイアントイエティが一哭きするともう一つ気温が下がったようだ。
観客達の野次に交じり、白い息が散見された。アレンやエンドローゼは寒さが我慢できないのか、顎を震わせ、身を縮こませている。
アシドは父のおかげなのかせいなのか、寒さへの耐性が高い。この程度の寒さではパフォーマンスに影響はない。
ジャイアントイエティが大地を凍てつかせるほどの息吹を発する。斑に氷が表面にできていく中、アシドは息吹の範囲外となる場所まで一気に走る。
ジャイアントイエティは息吹を出しながら首を動かしていく。首っぽい部分すら分かんねェのにどこが動いているのかと思いながら、アシドは壁面も走っていく。
最高速に達するアシドにジャイアントイエティが追い着けることができない。アシドはジャイアントイエティが攻撃できない真後ろに回ると、すかさず背中に飛び乗る。
アシドの足は新雪を踏み締めたように沈む。てっきり、白い毛で覆われていると考えていたので、予想以上の体の沈みに、気持ちが焦る。何かに掴まろうと手を伸ばすが、ジャイアントイエティの体以外何もない。結局、アシドの体は顎が触れそうな位置まで沈む。
雪を解かすには塩や土を撒くのが一番なのだが、生憎持ち合わせがない。アシドがこの状態で出せるのは水ぐらいなものだが、下手に水を撒いてアイスバーンになるのは面倒なので止めておきたい。しかし、 動けるのは一瞬で構わない。水と同等にアイスバーンの危険性はあるが、一時的に解かすことができればそれで構わないのだが、さて、そんなものどこにあると言うのか。
そこで気付いた。あるじゃないか。温かくて、更に塩っ気まであるものが。
いい加減出てこない相手に痺れを切らしたジャイアントイエティが体を揺らし始める。アシドは刃の潰されている槍をジャイアントイエティに刺そうとした。
闘技場から支給された刃の潰された槍は、刃は潰されているものの、先端がそれなりの鋭さを持っており、ジャイアントイエティの皮膚を貫くには十分だった。腰が雪に埋まり、力の伝達ができず、腕の力だけで槍を振るう。
ジャイアントイエティの皮膚を槍が破り、傷をつける。傷口からは血が溢れ、雪を溶かしていく。
雪の拘束が解け、アシドが再び自由に動く。槍に付着した血を利用して、ジャイアントイエティの頭を叩く。相当の威力だったのか、ジャイアントイエティを覆っていた雪が一瞬浮いて、落ちた。乳白色の肌が明らかになる。
真正面に降り立ったアシドは、怒れるジャイアントイエティとの第2ラウンドを覚悟したが、銀峰は反転して会場を揺らしながら逃走した。
「は?」
ジャイアントイエティが入り口を塞ぐ柵を破壊していくのを見つめながら着地した。足元に注意を向けていなかったため、氷に足を滑らせて転んでしまう。
「s、勝者、アシド!」
アシドの相手はジャイアントイエティ。そう、あの8m級の銀雪の山だ。
この時、アシドは滾っていた。雪を溶かす勢いで滾っていた。あんな見事な闘いを見せられて燃えないはずがない。
常にコストイラの後追いをするアシドは、ここにきて両者間の距離が開いたと感じていた。だからこそ決意した。自分も水のチャンピオンを倒し、コストイラに追いつく、と。
決意に満ちた目で入り口を睨み、短く息を吐く。アナウンサーの口上など聞き流し、アシドは入り口をくぐった。
先の戦いで熱くなっていたフィールドは一瞬にして冷却されていた。ジャイアントイエティが一哭きするともう一つ気温が下がったようだ。
観客達の野次に交じり、白い息が散見された。アレンやエンドローゼは寒さが我慢できないのか、顎を震わせ、身を縮こませている。
アシドは父のおかげなのかせいなのか、寒さへの耐性が高い。この程度の寒さではパフォーマンスに影響はない。
ジャイアントイエティが大地を凍てつかせるほどの息吹を発する。斑に氷が表面にできていく中、アシドは息吹の範囲外となる場所まで一気に走る。
ジャイアントイエティは息吹を出しながら首を動かしていく。首っぽい部分すら分かんねェのにどこが動いているのかと思いながら、アシドは壁面も走っていく。
最高速に達するアシドにジャイアントイエティが追い着けることができない。アシドはジャイアントイエティが攻撃できない真後ろに回ると、すかさず背中に飛び乗る。
アシドの足は新雪を踏み締めたように沈む。てっきり、白い毛で覆われていると考えていたので、予想以上の体の沈みに、気持ちが焦る。何かに掴まろうと手を伸ばすが、ジャイアントイエティの体以外何もない。結局、アシドの体は顎が触れそうな位置まで沈む。
雪を解かすには塩や土を撒くのが一番なのだが、生憎持ち合わせがない。アシドがこの状態で出せるのは水ぐらいなものだが、下手に水を撒いてアイスバーンになるのは面倒なので止めておきたい。しかし、 動けるのは一瞬で構わない。水と同等にアイスバーンの危険性はあるが、一時的に解かすことができればそれで構わないのだが、さて、そんなものどこにあると言うのか。
そこで気付いた。あるじゃないか。温かくて、更に塩っ気まであるものが。
いい加減出てこない相手に痺れを切らしたジャイアントイエティが体を揺らし始める。アシドは刃の潰されている槍をジャイアントイエティに刺そうとした。
闘技場から支給された刃の潰された槍は、刃は潰されているものの、先端がそれなりの鋭さを持っており、ジャイアントイエティの皮膚を貫くには十分だった。腰が雪に埋まり、力の伝達ができず、腕の力だけで槍を振るう。
ジャイアントイエティの皮膚を槍が破り、傷をつける。傷口からは血が溢れ、雪を溶かしていく。
雪の拘束が解け、アシドが再び自由に動く。槍に付着した血を利用して、ジャイアントイエティの頭を叩く。相当の威力だったのか、ジャイアントイエティを覆っていた雪が一瞬浮いて、落ちた。乳白色の肌が明らかになる。
真正面に降り立ったアシドは、怒れるジャイアントイエティとの第2ラウンドを覚悟したが、銀峰は反転して会場を揺らしながら逃走した。
「は?」
ジャイアントイエティが入り口を塞ぐ柵を破壊していくのを見つめながら着地した。足元に注意を向けていなかったため、氷に足を滑らせて転んでしまう。
「s、勝者、アシド!」
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