メグルユメ
9.腐る液体
『―――――!!』
何を叫んだのかは分からない。しかし、地を揺らすそれは明らかに何かを叫んでいた。それに合わせてビームが発射される。
ランダムで発射されるビームに、うまくアンホーリーテラーに近づけない。アシドはアクロバティックに動き、槍でビームを弾きながら後衛3人と合流する。
「オレじゃ致命傷を与えられねェ。シキ達はいけるか?」
「分かった」
シキは質問に答えるのではなく、即座に走り出した。
アレンとしては明かりがないのにどうして迷いなく攻撃できるのかと疑問が浮かぶが、きっとアレンの知らないものが見えているのだろう。
シキの足の速さは勇者一行の中でもアシドに次いで異常だ。その異常性を存分に発揮して、アンホーリーテラーのビームを回避していく。目線はアンホーリーテラーから外れない。アンホーリーテラーにはそれが恐怖でしかなかった。
コストイラは炎の尾を引きながらビームを弾き、アンホーリーテラーに近づいて行く。炎を纏いながらの刀身が閃き、光が闇を切り取る。
シキが跳びあがり、コストイラの背を足場にしてもう一度跳び上がる。ベリーロールのように跳ぶシキがレイドの作った罅にナイフを投げ入れる。ナイフが全て中に入った瞬間に大爆発が起こる。
黒い球の外郭が内部から膨れ上がり、罅が連鎖し、その罅からはオレンジと黒の混じった煙が噴き出る。ボロボロと外角が剥がれ、中身が露出されていく。中に詰め込まれていた黒い液体がドロドロと溢れ出てくる。液体が地面に触れた瞬間、ジュッと音を立てて、地面が溶けた。クルクルと宙を待っていたナイフがカランと地面に落ちる。シキが柄を抓み上げると、刃の部分が溶けていた。
「溶けていますね。あの黒いドロドロ、何なんでしょうね」
「さぁね。ただ、絶対に触れちゃいけないオーラを放ってるわよね」
「おぉ、地面を溶かすぐらいだからか」
「あの。替えのナイフはありますか?」
じっとナイフの溶けている先端を見つめるシキに哀愁を感じたアレンが、心配して聞いてみる。シキがナイフを探すように腰元を触る。シキの指先に硬い感触が当たる。
シャラッと抜くが、1本しかない。スペアがない。
「残り1本」
「え、大丈夫ですか!?」
「次の街で買う」
内心焦りつつ、表には出さずにナイフをしまう。
「おい! こっち来い! 篝火が見えるぞ!」
コストイラはアレン達に手招きして、篝火の方を指さす。少し傾斜があるため、見えなかったアレン達にも灯りが見えた。豆粒ほどに小さな灯りだが、それでも存在感を放っていた。
2つの灯りが等間隔を保ちながら、ふわりふわりと動いている。篝火ではなく松明のようだ。
「あっちの方向に街か村か、人が住む地域がありそうですね」
「あぁ、だと良いな」
コストイラが遠い目をしながら、アレンの楽観的な意見に答える。オレンジの光はが近づくにつれ、謎の緊張感に包まれていく。もしあれが松明だとしたら、マーチングバンドの先導者のように歩いていることになる。そんな歩き方を普段からしている人なんているのだろうか。
灯りが近づく音が、バサバサと聞こえてきた。
何を叫んだのかは分からない。しかし、地を揺らすそれは明らかに何かを叫んでいた。それに合わせてビームが発射される。
ランダムで発射されるビームに、うまくアンホーリーテラーに近づけない。アシドはアクロバティックに動き、槍でビームを弾きながら後衛3人と合流する。
「オレじゃ致命傷を与えられねェ。シキ達はいけるか?」
「分かった」
シキは質問に答えるのではなく、即座に走り出した。
アレンとしては明かりがないのにどうして迷いなく攻撃できるのかと疑問が浮かぶが、きっとアレンの知らないものが見えているのだろう。
シキの足の速さは勇者一行の中でもアシドに次いで異常だ。その異常性を存分に発揮して、アンホーリーテラーのビームを回避していく。目線はアンホーリーテラーから外れない。アンホーリーテラーにはそれが恐怖でしかなかった。
コストイラは炎の尾を引きながらビームを弾き、アンホーリーテラーに近づいて行く。炎を纏いながらの刀身が閃き、光が闇を切り取る。
シキが跳びあがり、コストイラの背を足場にしてもう一度跳び上がる。ベリーロールのように跳ぶシキがレイドの作った罅にナイフを投げ入れる。ナイフが全て中に入った瞬間に大爆発が起こる。
黒い球の外郭が内部から膨れ上がり、罅が連鎖し、その罅からはオレンジと黒の混じった煙が噴き出る。ボロボロと外角が剥がれ、中身が露出されていく。中に詰め込まれていた黒い液体がドロドロと溢れ出てくる。液体が地面に触れた瞬間、ジュッと音を立てて、地面が溶けた。クルクルと宙を待っていたナイフがカランと地面に落ちる。シキが柄を抓み上げると、刃の部分が溶けていた。
「溶けていますね。あの黒いドロドロ、何なんでしょうね」
「さぁね。ただ、絶対に触れちゃいけないオーラを放ってるわよね」
「おぉ、地面を溶かすぐらいだからか」
「あの。替えのナイフはありますか?」
じっとナイフの溶けている先端を見つめるシキに哀愁を感じたアレンが、心配して聞いてみる。シキがナイフを探すように腰元を触る。シキの指先に硬い感触が当たる。
シャラッと抜くが、1本しかない。スペアがない。
「残り1本」
「え、大丈夫ですか!?」
「次の街で買う」
内心焦りつつ、表には出さずにナイフをしまう。
「おい! こっち来い! 篝火が見えるぞ!」
コストイラはアレン達に手招きして、篝火の方を指さす。少し傾斜があるため、見えなかったアレン達にも灯りが見えた。豆粒ほどに小さな灯りだが、それでも存在感を放っていた。
2つの灯りが等間隔を保ちながら、ふわりふわりと動いている。篝火ではなく松明のようだ。
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コストイラが遠い目をしながら、アレンの楽観的な意見に答える。オレンジの光はが近づくにつれ、謎の緊張感に包まれていく。もしあれが松明だとしたら、マーチングバンドの先導者のように歩いていることになる。そんな歩き方を普段からしている人なんているのだろうか。
灯りが近づく音が、バサバサと聞こえてきた。
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