裏庭が裏ダンジョンでした
一番てっぺんに! 2
ムツヤの住む家のすぐ後ろは、世界中の冒険者が求める幻の裏ダンジョンだ。その事はここに住むムツヤですら知らない。
裏ダンジョンの家の前に住む人間の朝は早い、ムツヤの祖父であるタカクは今年で73歳になる。
動きやすさを重視し、ゆったりとしたローブを着て、曲がった腰に手を当てながら玄関のドアを開け一歩一歩ゆっくりと外へ出ていく。
するとそこに全長2メートルはあるコウモリのような化物が上空から3匹タカクへ襲いかかってきた。
タカクは不気味なコウモリを見上げると面倒臭そうに右手を天に上げる。
その瞬間老人のシワシワの手から轟音と閃光が鳴り響き、地上から天へと雷が打ち上げられた。
コウモリ達は即死したらしく地上に落ちると煙と共に消えた。
「じいちゃーん、今日こそ最上階行ってくるからよー!」
そんな光景を見たら一般人どころか、冒険者でさえ何事か、どこかの高名な大魔法使いかと注目するだろう。
しかし、孫のムツヤは一切動じずあっけらかんと玄関から顔を出し、こげ茶色の目で祖父を見ていた。
コバエを叩き潰したぐらいで自慢をする人間も、倒した相手を英雄のように称える人間も少ないだろう。彼らにとって今の行為はそれぐらいの感覚に近い。
「わかったわかった、気を付けて行って来い」
タカクの言葉を聞いているのか聞いていないのか、ムツヤは倍速の魔法を使う。
肩まで伸びた黒髪が全て後ろに逆立つ速さで塔へ走り出した。軽く見積もっても馬の数倍は早い。
ムツヤにとって裏ダンジョンは最高の遊び場だ。塔の中のはずなのに大きな池もあれば、林も、砂漠も、谷もある。
それらが毎回入る度に地形も変わり、誰かが丁寧に置いたかの様に使いみちの分からない道具や武器、それに防具や薬も宝箱も新しいものが落ちていた。
その為、同じモンスターを倒すこと以外は毎日が新鮮だったので、祖父からたまに聞く外の世界にそこまで興味は無かった。
そう、無かったのだが、とある本がムツヤを変えてしまった。
それは冒険者がよりどりみどりの美女達と冒険をしてハーレムを作る小説だ。
ムツヤが生まれてからこの場所には誰も人が来たことがない。
しかし、何故かある日その本が家の前に落ちていたのだ。
文字の読み書きが出来ないムツヤだったが、何故か指に付けていると文字が読めるようになる指輪が腐るほどあったのでそれを付けて本を読んだ。
そして衝撃を受けた。
裏ダンジョンの家の前に住む人間の朝は早い、ムツヤの祖父であるタカクは今年で73歳になる。
動きやすさを重視し、ゆったりとしたローブを着て、曲がった腰に手を当てながら玄関のドアを開け一歩一歩ゆっくりと外へ出ていく。
するとそこに全長2メートルはあるコウモリのような化物が上空から3匹タカクへ襲いかかってきた。
タカクは不気味なコウモリを見上げると面倒臭そうに右手を天に上げる。
その瞬間老人のシワシワの手から轟音と閃光が鳴り響き、地上から天へと雷が打ち上げられた。
コウモリ達は即死したらしく地上に落ちると煙と共に消えた。
「じいちゃーん、今日こそ最上階行ってくるからよー!」
そんな光景を見たら一般人どころか、冒険者でさえ何事か、どこかの高名な大魔法使いかと注目するだろう。
しかし、孫のムツヤは一切動じずあっけらかんと玄関から顔を出し、こげ茶色の目で祖父を見ていた。
コバエを叩き潰したぐらいで自慢をする人間も、倒した相手を英雄のように称える人間も少ないだろう。彼らにとって今の行為はそれぐらいの感覚に近い。
「わかったわかった、気を付けて行って来い」
タカクの言葉を聞いているのか聞いていないのか、ムツヤは倍速の魔法を使う。
肩まで伸びた黒髪が全て後ろに逆立つ速さで塔へ走り出した。軽く見積もっても馬の数倍は早い。
ムツヤにとって裏ダンジョンは最高の遊び場だ。塔の中のはずなのに大きな池もあれば、林も、砂漠も、谷もある。
それらが毎回入る度に地形も変わり、誰かが丁寧に置いたかの様に使いみちの分からない道具や武器、それに防具や薬も宝箱も新しいものが落ちていた。
その為、同じモンスターを倒すこと以外は毎日が新鮮だったので、祖父からたまに聞く外の世界にそこまで興味は無かった。
そう、無かったのだが、とある本がムツヤを変えてしまった。
それは冒険者がよりどりみどりの美女達と冒険をしてハーレムを作る小説だ。
ムツヤが生まれてからこの場所には誰も人が来たことがない。
しかし、何故かある日その本が家の前に落ちていたのだ。
文字の読み書きが出来ないムツヤだったが、何故か指に付けていると文字が読めるようになる指輪が腐るほどあったのでそれを付けて本を読んだ。
そして衝撃を受けた。
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