詩「三瓶山」

有原野分

三瓶山

子供の頃
よく親に連れて行ってもらった
三瓶山の国立青少年交流の家に
二十五年ぶりだろうか
まさかもう一度行くとは思いもよらず
大きかったはずの施設は
こんなもんだったかと
小さくなって
代表者会議とは
こんな感じだったのかと
当時の親の心境に
寄り添いながら
娘の楽しそうな顔を思い出に
自分が親になったことと
親に対する複雑な感情を抱いて
決してノスタルジーではなく
懐かしい詩を読んだときのように
魂が震えるような山の尾根を前に
だから人は生きていけるんだと
脳裏に焼きついた夕暮れの
家族写真を一枚重ねて
あの頃のぼくが
三瓶の山頂で笑っていた

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