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【完結】2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~

霧内杳

最終章 私の一番は……1

「……はぁーっ」

会社帰りに気分転換でコーヒーショップに入った。
ひさしぶりにクリームたっぷりの甘いフラッペを頼んだが、気持ちは全然晴れない。

「どーなるんだろ……」

このところ、資格試験の勉強もまったく手についていない。
珍しく、富士野部長もしばらく休めと言ってくれた。
だからこうやって私のほうが帰りが早かった今日、コーヒーショップに寄っているというのもある。

「……はぁーっ」

フラッペをひとくち飲むたび、ため息が落ちていく。
私の周りだけ、どんよりと暗い空気が漂っていた。

「あら、偶然ね!」

そんな空気を打ち砕くかのごとく明るい声をかけられ、顔を上げる。
そこには花恋さんが立っていた。
いいともなんとも言っていないのに、彼女が相席してくる。

「なんか大変みたいね」

私と同じフラッペのストローを咥え、彼女はニタニタ笑っている。
それを見て、すべてを悟った。

「全部あなたの仕業ですか」

「そう」

悪びれることなく答え、花恋さんはまたフラッペを飲んだ。

――きっと、まだ諦めずに次の手を考えている。

部長はそう言っていたが、半信半疑だった。
まさか、本当だったなんて。

「なにが目的ですか。
……って、私の婚約破棄ですよね」

「わかってるならさっさとして」

じっと目を見据えたが、彼女はしれっと目を逸らした。

「ひとつおうかがいしますが。
どうしてそこまで富士野部長に執着するんですか」

部長からは聞いたが、あれは彼の推測でしかない。
もし、本気で彼女が彼を愛しているというのなら、そのときはライバルとして正々堂々渡り合う。
けれど、違うならば。

「準一朗が私の夫にふさわしいからよ。
この私と並んで遜色ないのは準一朗しかいない。
これ以上の理由なんてないわ」

小馬鹿にしたように花恋さんがはぁっと小さくため息を落とす。
それに、カチンときた。

「……富士野部長の見た目が目的ですか」

私から出た声は、細かく震えている。

「そうよ。
あと、地位。
あーあ、早くあんな三流会社、辞めてくれないかしら?」

花恋さんは全然、部長のことがわかっていない。
部長は今の仕事が楽しくて、野望を持ってやっているのだ。
……恋すら、しないほどに。
なのに、奪おうなんって絶対に許さない。

「……悪いですがあなたみたいな人に、富士野部長は譲れません」

「譲ってもらおうなんて思ってないわ。
準一朗は私のものなの。
返してもらうだけ。
それに」

言葉を切った彼女は、私の顔を見た。

「すぐに許してくださいってあなたのほうから謝ってくるわ」

にたぁとイヤラシく彼女の顔が歪む。
それに背筋が寒くなった。

「じゃ、私は用も済んだし、もう行くわ」

ひとりになってもしばらく呆然と、その場に座っていた。
偶然なんて嘘だ。
私がひとりでここに入るのをどこかで見張っていた。
しかし、彼女がここまで部長に拘るのはなんなんだろう?
本当にあれが全部なんだろうか。
なんか……引っかかる。

「あっ」

携帯が通知音を立て、思索から目の前へ視線を戻す。
部長から仕事が終わったがどこにいるのか、まだ近くにいるのなら夕食を食べて帰ろうとメッセージが入っていた。

「……うん。
今は考えない」

近くにいるから会社に行くとメッセージを送り返し、携帯をバッグにしまう。
次になにが起こるかなんて考えたってわからない。
そのときになったら考えよう。

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