【完結】2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
第五章 富士野部長の目標5
少しして着いたのは、高級ホテルだった。
そのまま、高層階にあるフレンチレストランへ連れていかれる。
「企画が採用されたご褒美だ」
「あ、ありがとうございます」
個室に案内され、スタッフに椅子を引かれたので座る。
これって、もしかして。
「この服も部長のプレゼントですか?」
「バレたか」
くすくすとおかしそうに部長が笑う。
紺地に白襟のついたクラシカルなワンピースは部長が好きそうなデザインだし、ここに来るためならこれに着替えさせられたのも納得だ。
窓の外のオレンジに夕闇が混ざりるのを眺めながら、ゆっくりと夕食をいただく。
「商品の大ヒットを願って」
「まだ早いですよ」
苦笑いでシャンパンのグラスを持ち上げ、乾杯する。
今日は部長も飲んでいるけれど、いいのかな。
「明日美は本当にいい女になったな」
眼鏡の向こうで目を細め、部長がうっとりと笑う。
「だと、いいんですが」
確かに今日の自分なら、見た目は姉に負けず劣らずだろう。
でも中身は?
ビジネススキルは格段に上がったと思う。
でも、響希ちゃんみたいに小さな女の子にまで嫉妬しているなんて、まだまだだ。
「俺が言うんだから間違いない」
ふふっと小さく笑い、部長がグラスを傾ける。
「……ありがとうございます」
頬が、熱い。
心が、ふわふわする。
……でも。
私の気持ちを聞く気すらないのなら、こうやって惑わさないでほしい。
その後も食事は穏やかに進んでいく。
「富士野部長は子供が苦手なんですか」
今日、響希ちゃんの面倒は見ていたが、持て余しているように感じた。
もっとも、響希ちゃんからあれだけガンガン押されたら、普通はそうなる気もするが。
「そうだな。
なにを考えているのかわからないし、苦手だな。
まあ、響希は最近、前よりはわかるようになったからマシになったが。
でも、わかるだけで理解はできない」
はぁーっと物憂げなため息を部長がつき、苦笑いしかできない。
「私もお姉ちゃんに子供ができたら、そうなるのかなー」
今のところ懐妊の知らせは来ていないが、部長と同じように困惑気味に子供の相手をしている自分を想像して、おかしくなってきた。
「まあ、身内とはいえ人の子だからというのもあるだろうな。
自分の子供だったら、もっと愛情を持って相手ができるかもしれない」
「富士野部長の子供ですか?」
それって、相手は誰になるんだろう。
きっと、私じゃないんだろうな。
そう考えると胸が押し潰されるかのように苦しくなっていく。
「そうだ。
俺と……なんでもない。
そういえば、新商品、キャラクターのデザインはどうするんだ?」
なにかを言いかけたのに、部長は頭を振ってそれを取り消し、話題を変えてきた。
「そうですね……」
私も気持ちを切り替え、笑顔でそれに乗る。
もうこれ以上、この話題はしたくない。
「私、少しは絵が描けるんで、それを下地にデザインしてもらうとかできたら素敵だなー、とは思うんですが」
「そういや企画書にも、書いてあったな。
よし、俺からも実現するように掛け合おう」
楽しい、未来の計画。
今はこれで、いいんだと思う。
食後はホテルの部屋に連れていかれた。
「今日は泊まって帰るから」
「えっと……」
幸い、明日は珍しく試験が入っていない。
だからかまわないといえばかまわないけれど。
「なんか問題があるのか」
私が喜んでいないどころか若干不服そうなので、部長が不機嫌になっていく。
「……ない、です」
それにとりあえず笑って答える。
そりゃ、高級ホテルのスイートにお泊まりなんて嬉しいよ?
でもホテルって……意識しちゃうのは私だけなのかな?
先に風呂に入ってきたらいいと勧められたので、ありがたく入る。
高級ホテルスイートはアメニティグッズも高級で、贅沢な気分になった。
「あがりました……」
私が浴室から出たとき、部長はソファーに座って携帯を見ていた。
それが妙に、絵になる。
「俺も入ってくるかなー」
そう言いながら今度は部長が浴室へ消えていく。
冷蔵庫を開けてみたらスパークリングウォーターがあったので、それを掴んでさっきまで部長が座っていたソファーに収まった。
「……あつ」
ごくごくと一気に、スパークリングウォーターを喉に流し込む。
つい、長湯をしたせいで身体が熱い。
これから、どうするんだろう?
まさか……。
そこまで考えて、期待している自分がいる。
でも、毎日同じベッドで寝ているのに部長は私に手を出してこないのだ。
ホテルだからって……いやいや、ホテルという非日常だからこそ?
しかし、そうだったとしても、彼がそうしたい理由がわからない。
「あがったぞー」
ぐるぐる考えていたら、部長がお風呂からあがってきた。
「少し飲むか」
「そうですね」
私が頷くと、部長はミニバーから赤ワインと、グラスをふたつ掴んできた。
「つまみがいるよな。
なんか取るか」
「じゃあ……」
私の隣に座った部長がルームサービスのメニューを開く。
それを横からのぞき込んだ。
……あ、近い。
部長からほのかに、同じシャンプーのにおいがする。
それだけでどきどきした。
「あ、アイス食べたいです。
チョコのヤツ」
「はいはい」
軽く返事をし、注文するために部長が立ち上がる。
「すぐ来るそうだ」
戻ってきた彼がまた私の隣に座り、つい少しだけ距離を取ってしまった。
気づかれていたらどうしよう。
不安で部長の顔をうかがうが、大丈夫そうだった。
そのまま、高層階にあるフレンチレストランへ連れていかれる。
「企画が採用されたご褒美だ」
「あ、ありがとうございます」
個室に案内され、スタッフに椅子を引かれたので座る。
これって、もしかして。
「この服も部長のプレゼントですか?」
「バレたか」
くすくすとおかしそうに部長が笑う。
紺地に白襟のついたクラシカルなワンピースは部長が好きそうなデザインだし、ここに来るためならこれに着替えさせられたのも納得だ。
窓の外のオレンジに夕闇が混ざりるのを眺めながら、ゆっくりと夕食をいただく。
「商品の大ヒットを願って」
「まだ早いですよ」
苦笑いでシャンパンのグラスを持ち上げ、乾杯する。
今日は部長も飲んでいるけれど、いいのかな。
「明日美は本当にいい女になったな」
眼鏡の向こうで目を細め、部長がうっとりと笑う。
「だと、いいんですが」
確かに今日の自分なら、見た目は姉に負けず劣らずだろう。
でも中身は?
ビジネススキルは格段に上がったと思う。
でも、響希ちゃんみたいに小さな女の子にまで嫉妬しているなんて、まだまだだ。
「俺が言うんだから間違いない」
ふふっと小さく笑い、部長がグラスを傾ける。
「……ありがとうございます」
頬が、熱い。
心が、ふわふわする。
……でも。
私の気持ちを聞く気すらないのなら、こうやって惑わさないでほしい。
その後も食事は穏やかに進んでいく。
「富士野部長は子供が苦手なんですか」
今日、響希ちゃんの面倒は見ていたが、持て余しているように感じた。
もっとも、響希ちゃんからあれだけガンガン押されたら、普通はそうなる気もするが。
「そうだな。
なにを考えているのかわからないし、苦手だな。
まあ、響希は最近、前よりはわかるようになったからマシになったが。
でも、わかるだけで理解はできない」
はぁーっと物憂げなため息を部長がつき、苦笑いしかできない。
「私もお姉ちゃんに子供ができたら、そうなるのかなー」
今のところ懐妊の知らせは来ていないが、部長と同じように困惑気味に子供の相手をしている自分を想像して、おかしくなってきた。
「まあ、身内とはいえ人の子だからというのもあるだろうな。
自分の子供だったら、もっと愛情を持って相手ができるかもしれない」
「富士野部長の子供ですか?」
それって、相手は誰になるんだろう。
きっと、私じゃないんだろうな。
そう考えると胸が押し潰されるかのように苦しくなっていく。
「そうだ。
俺と……なんでもない。
そういえば、新商品、キャラクターのデザインはどうするんだ?」
なにかを言いかけたのに、部長は頭を振ってそれを取り消し、話題を変えてきた。
「そうですね……」
私も気持ちを切り替え、笑顔でそれに乗る。
もうこれ以上、この話題はしたくない。
「私、少しは絵が描けるんで、それを下地にデザインしてもらうとかできたら素敵だなー、とは思うんですが」
「そういや企画書にも、書いてあったな。
よし、俺からも実現するように掛け合おう」
楽しい、未来の計画。
今はこれで、いいんだと思う。
食後はホテルの部屋に連れていかれた。
「今日は泊まって帰るから」
「えっと……」
幸い、明日は珍しく試験が入っていない。
だからかまわないといえばかまわないけれど。
「なんか問題があるのか」
私が喜んでいないどころか若干不服そうなので、部長が不機嫌になっていく。
「……ない、です」
それにとりあえず笑って答える。
そりゃ、高級ホテルのスイートにお泊まりなんて嬉しいよ?
でもホテルって……意識しちゃうのは私だけなのかな?
先に風呂に入ってきたらいいと勧められたので、ありがたく入る。
高級ホテルスイートはアメニティグッズも高級で、贅沢な気分になった。
「あがりました……」
私が浴室から出たとき、部長はソファーに座って携帯を見ていた。
それが妙に、絵になる。
「俺も入ってくるかなー」
そう言いながら今度は部長が浴室へ消えていく。
冷蔵庫を開けてみたらスパークリングウォーターがあったので、それを掴んでさっきまで部長が座っていたソファーに収まった。
「……あつ」
ごくごくと一気に、スパークリングウォーターを喉に流し込む。
つい、長湯をしたせいで身体が熱い。
これから、どうするんだろう?
まさか……。
そこまで考えて、期待している自分がいる。
でも、毎日同じベッドで寝ているのに部長は私に手を出してこないのだ。
ホテルだからって……いやいや、ホテルという非日常だからこそ?
しかし、そうだったとしても、彼がそうしたい理由がわからない。
「あがったぞー」
ぐるぐる考えていたら、部長がお風呂からあがってきた。
「少し飲むか」
「そうですね」
私が頷くと、部長はミニバーから赤ワインと、グラスをふたつ掴んできた。
「つまみがいるよな。
なんか取るか」
「じゃあ……」
私の隣に座った部長がルームサービスのメニューを開く。
それを横からのぞき込んだ。
……あ、近い。
部長からほのかに、同じシャンプーのにおいがする。
それだけでどきどきした。
「あ、アイス食べたいです。
チョコのヤツ」
「はいはい」
軽く返事をし、注文するために部長が立ち上がる。
「すぐ来るそうだ」
戻ってきた彼がまた私の隣に座り、つい少しだけ距離を取ってしまった。
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