【完結】2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
第四章 ......今は4
「あがりました……」
リビングへ行くと、ちょうど片付けを終わらせた部長がキッチンから出てきたところだった。
「ん、俺も……どうした?
目が赤いぞ?」
私の顔を見た途端、心配そうに部長の眉が寄る。
そのままつかつかと傍に来て、私の頬に触れた。
「あっ、えっと。
その、……シャンプーが目に染みて」
曖昧に笑って、誤魔化そうと試みる。
「本当か?
なんか変だぞ?」
しかし、部長はさらに心配そうに私の顔をのぞき込んだ。
「どうかしたのか?
悩みがあるなら言ってみろ」
どうしてこの人はこういうのは気づいてくれるのに、私の気持ちにはちっとも気づいてくれないのだろう。
もし、私が富士野部長を好きだと言ったら、彼はどうするのだろう。
「富士野部長」
「ん?」
彼の袖を掴み、真っ直ぐに顔を見上げる。
「私は、富士野部長が……」
けれど、その先は続けられなかった。
私の言葉を封じるように、部長の唇が重なったから。
親指で顎を押して強引に口を開かせ、ぬるりと彼が侵入してくる。
拒否しようと胸を押したが、びくともしない。
それどころか後ろ頭に回った手が、私を引き寄せた。
「……ん……んん……」
逃げ回ってもすぐに彼に捕まり、翻弄される。
……これは誤魔化そうとしているだけ。
わかっているのに、彼に溺れていった。
「……」
唇が離れ、無言で見つめあう。
「その先は今は聞かない。
お前も言うな」
秘密だと部長の人差し指が私の唇を押さえる。
「……〝今は〟ってことは、いつか言っていいんですか」
ならば、今は辛抱して待つ。
でも、違うなら……。
「……そう、だな。
いつか、そのときが来たら、な」
彼が淋しそうに笑い、心臓を鷲掴みにされたかのように苦しくなった。
「なら、そのときまで待ちます」
「ん」
私の頭をぽんぽんした部長は、いつもどおりに戻っているように見えた。
-
「俺も風呂入って寝るかなー」
「私は先に寝ます、おやすみなさい」
部長は浴室へ、私は寝室へと別れて向かう。
もそもそと先にベッドに潜り込み、タブレットで読書する。
少しして眠くなってきたので、目を閉じた。
……いつか。
そのときが来たら部長に私の気持ちを伝えよう。
部長も同じ気持ちになっていたらいいな……。
「もう、眠ったのか?」
うとうととしていたら部長の声が聞こえてきた。
けれど眠りへの坂道を転がり落ち始めていて、もう瞼は開かない。
「今日はごめんな」
枕元に座った彼の手が、そっと私の髪を撫でる。
「俺は明日美が……」
その先はもうほとんど眠っていて、聞き取れなかった。
リビングへ行くと、ちょうど片付けを終わらせた部長がキッチンから出てきたところだった。
「ん、俺も……どうした?
目が赤いぞ?」
私の顔を見た途端、心配そうに部長の眉が寄る。
そのままつかつかと傍に来て、私の頬に触れた。
「あっ、えっと。
その、……シャンプーが目に染みて」
曖昧に笑って、誤魔化そうと試みる。
「本当か?
なんか変だぞ?」
しかし、部長はさらに心配そうに私の顔をのぞき込んだ。
「どうかしたのか?
悩みがあるなら言ってみろ」
どうしてこの人はこういうのは気づいてくれるのに、私の気持ちにはちっとも気づいてくれないのだろう。
もし、私が富士野部長を好きだと言ったら、彼はどうするのだろう。
「富士野部長」
「ん?」
彼の袖を掴み、真っ直ぐに顔を見上げる。
「私は、富士野部長が……」
けれど、その先は続けられなかった。
私の言葉を封じるように、部長の唇が重なったから。
親指で顎を押して強引に口を開かせ、ぬるりと彼が侵入してくる。
拒否しようと胸を押したが、びくともしない。
それどころか後ろ頭に回った手が、私を引き寄せた。
「……ん……んん……」
逃げ回ってもすぐに彼に捕まり、翻弄される。
……これは誤魔化そうとしているだけ。
わかっているのに、彼に溺れていった。
「……」
唇が離れ、無言で見つめあう。
「その先は今は聞かない。
お前も言うな」
秘密だと部長の人差し指が私の唇を押さえる。
「……〝今は〟ってことは、いつか言っていいんですか」
ならば、今は辛抱して待つ。
でも、違うなら……。
「……そう、だな。
いつか、そのときが来たら、な」
彼が淋しそうに笑い、心臓を鷲掴みにされたかのように苦しくなった。
「なら、そのときまで待ちます」
「ん」
私の頭をぽんぽんした部長は、いつもどおりに戻っているように見えた。
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「俺も風呂入って寝るかなー」
「私は先に寝ます、おやすみなさい」
部長は浴室へ、私は寝室へと別れて向かう。
もそもそと先にベッドに潜り込み、タブレットで読書する。
少しして眠くなってきたので、目を閉じた。
……いつか。
そのときが来たら部長に私の気持ちを伝えよう。
部長も同じ気持ちになっていたらいいな……。
「もう、眠ったのか?」
うとうととしていたら部長の声が聞こえてきた。
けれど眠りへの坂道を転がり落ち始めていて、もう瞼は開かない。
「今日はごめんな」
枕元に座った彼の手が、そっと私の髪を撫でる。
「俺は明日美が……」
その先はもうほとんど眠っていて、聞き取れなかった。
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