【完結】2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
第二章 投資の理由4
その後も食べ歩きは続き。
「……うぷっ。
もー、無理です……」
ソフトクリームを皮切りに、みたらし団子、クレープ、ベリーソーダとスイーツ類に、唐揚げ、鶏皮串、焼きたて棒付きちくわとくれば、お腹もいっぱいになるだろう。
「昼食は鰻の予定だったんだがな」
「うっ」
鰻は、食べたい。
でも、このお腹ではもう、コーヒーぐらいしか入りそうにない……。
「とりあえず散歩するか」
「そうですね」
少し歩けばお腹もこなれて、鰻が入るようになるかも。
それにしても。
隣を歩く部長をちらり。
私と同じだけ食べて余裕なんて、この人のお腹はどうなっているんだ?
いや、でも、これだけ身体の大きさが違えば、胃の容量も違うんだろうな。
部長と並ぶと私なんて肩にも届かない。
なにを食べたらこんなに大きくなるんだろう?
「ん?」
視線に気づいたのか、部長が私を見下ろす。
眼鏡の下で目尻を下げたその顔は優しそうで、心臓がとくんと甘く鼓動した。
いやいや、きっとあれに意味はないし。
少し歩いて着いたのは、意外にもアウトレットモールだった。
「富士野部長もアウトレットで買いもしたりするんですね」
「いや?
そもそも店にはあまり買いに行かないな。
持ってきてもらう」
「あー」
さらりと普通じゃないことを言われた。
あれか、百貨店の外商とか利用しているのか。
本当にこの人、二流企業に勤めているのが不思議なセレブなんだ……。
「だからこういう店を見てまわるのは、ちょっと面白い」
目的がズレているのがなんかあれだが、部長が楽しいんだったらいいか。
一緒に店を見てまわる。
「これとかいいんじゃないか?」
早速、部長が選んでくれた服は、スモーキーピンクのクラシカルなワンピースだった。
「可愛いですけど、これはちょっと」
「なんでだ?」
私に断られ、部長が若干不機嫌になる。
「こういうのは着ていくところがないので、箪笥の肥やしになるかと。
あと、このあいだたくさん服を買っていただいたので……」
茶色と黒の細いチェック模様のワンピースは私の好みだが、こういうセミフォーマルな服を着ていく場所の想定が私の生活の中ではできない。
「コンサートとかに着ていけばいいだろ」
「コンサート……」
コンサートにこんなお嬢様のような服を着ていったら浮くのでは……?
と思ったが、部長と私の想定が違うのだとすぐに気づいた。
私はアイドルのライブを想像したが、きっと部長の言うコンサートとはクラッシックだ。
「クラッシックのコンサートに行く機会なんて滅多にないので……」
「俺が。
連れていく。
だから買え。
というか俺が買うから着てみろ」
「あっ……」
反論する隙を与えず、部長が試着室に私を押し込む。
「強引……」
だけど、嫌じゃない。
それに今のところ、私が本当に嫌なことは強要されていなかった。
「どうです……?」
「次はこれだ」
一瞥だけして次の服が押しつけられる。
なんか一週間ほど前にも同じようなことがあった記憶があるんだけれど、……気のせいでしょうか。
とっかえひっかえ、店の服全部着せられているんじゃないかって勢いで試着させられる。
「このラックのは全部買います。
ここに送ってください」
服を着替えて出てきたら、部長は精算していた。
「その、富士野部長。
こんなに服をまた買っていただくわけにはいきません」
店を出てすぐに、彼に抗議する。
「俺が買いたいから買うんだから、問題ないだろ」
ぷいっと視線を逸らし、部長は目もあわせてくれない。
「問題大ありです。
前に投資だと仰っていましたが、私のなにに投資しているのかわかりません」
意味もなく、こんなに服を買ってもらうわけにはいかない。
それでなくても今、食費なんか全部見てもらっている。
いくら部長がお金持ちだからって、理由のないプレゼントなんて受け取れるわけがない。
「んー、将来性?
紀藤は最高の女になるんだろ?
それに投資している」
少し悩んだあと、部長は私の顔をのぞき込んでにぱっと笑った。
「はぁ……」
私が部長の期待どおりの女性になれたとして。
それで彼に、なんの得があるんだろうか。
お嫁さん候補……は、ないか。
だとしたら、セレブのおじさんに売るとか?
いやいや、それこそない。
「私が最高の女性になったら、富士野部長はどうするんですか?」
「んー、そうだな。
いい女だろってみんなに自慢する」
「……そうですか」
自慢してどうするんだろう。
部長の考えはいつもさっぱりわからない。
「……うぷっ。
もー、無理です……」
ソフトクリームを皮切りに、みたらし団子、クレープ、ベリーソーダとスイーツ類に、唐揚げ、鶏皮串、焼きたて棒付きちくわとくれば、お腹もいっぱいになるだろう。
「昼食は鰻の予定だったんだがな」
「うっ」
鰻は、食べたい。
でも、このお腹ではもう、コーヒーぐらいしか入りそうにない……。
「とりあえず散歩するか」
「そうですね」
少し歩けばお腹もこなれて、鰻が入るようになるかも。
それにしても。
隣を歩く部長をちらり。
私と同じだけ食べて余裕なんて、この人のお腹はどうなっているんだ?
いや、でも、これだけ身体の大きさが違えば、胃の容量も違うんだろうな。
部長と並ぶと私なんて肩にも届かない。
なにを食べたらこんなに大きくなるんだろう?
「ん?」
視線に気づいたのか、部長が私を見下ろす。
眼鏡の下で目尻を下げたその顔は優しそうで、心臓がとくんと甘く鼓動した。
いやいや、きっとあれに意味はないし。
少し歩いて着いたのは、意外にもアウトレットモールだった。
「富士野部長もアウトレットで買いもしたりするんですね」
「いや?
そもそも店にはあまり買いに行かないな。
持ってきてもらう」
「あー」
さらりと普通じゃないことを言われた。
あれか、百貨店の外商とか利用しているのか。
本当にこの人、二流企業に勤めているのが不思議なセレブなんだ……。
「だからこういう店を見てまわるのは、ちょっと面白い」
目的がズレているのがなんかあれだが、部長が楽しいんだったらいいか。
一緒に店を見てまわる。
「これとかいいんじゃないか?」
早速、部長が選んでくれた服は、スモーキーピンクのクラシカルなワンピースだった。
「可愛いですけど、これはちょっと」
「なんでだ?」
私に断られ、部長が若干不機嫌になる。
「こういうのは着ていくところがないので、箪笥の肥やしになるかと。
あと、このあいだたくさん服を買っていただいたので……」
茶色と黒の細いチェック模様のワンピースは私の好みだが、こういうセミフォーマルな服を着ていく場所の想定が私の生活の中ではできない。
「コンサートとかに着ていけばいいだろ」
「コンサート……」
コンサートにこんなお嬢様のような服を着ていったら浮くのでは……?
と思ったが、部長と私の想定が違うのだとすぐに気づいた。
私はアイドルのライブを想像したが、きっと部長の言うコンサートとはクラッシックだ。
「クラッシックのコンサートに行く機会なんて滅多にないので……」
「俺が。
連れていく。
だから買え。
というか俺が買うから着てみろ」
「あっ……」
反論する隙を与えず、部長が試着室に私を押し込む。
「強引……」
だけど、嫌じゃない。
それに今のところ、私が本当に嫌なことは強要されていなかった。
「どうです……?」
「次はこれだ」
一瞥だけして次の服が押しつけられる。
なんか一週間ほど前にも同じようなことがあった記憶があるんだけれど、……気のせいでしょうか。
とっかえひっかえ、店の服全部着せられているんじゃないかって勢いで試着させられる。
「このラックのは全部買います。
ここに送ってください」
服を着替えて出てきたら、部長は精算していた。
「その、富士野部長。
こんなに服をまた買っていただくわけにはいきません」
店を出てすぐに、彼に抗議する。
「俺が買いたいから買うんだから、問題ないだろ」
ぷいっと視線を逸らし、部長は目もあわせてくれない。
「問題大ありです。
前に投資だと仰っていましたが、私のなにに投資しているのかわかりません」
意味もなく、こんなに服を買ってもらうわけにはいかない。
それでなくても今、食費なんか全部見てもらっている。
いくら部長がお金持ちだからって、理由のないプレゼントなんて受け取れるわけがない。
「んー、将来性?
紀藤は最高の女になるんだろ?
それに投資している」
少し悩んだあと、部長は私の顔をのぞき込んでにぱっと笑った。
「はぁ……」
私が部長の期待どおりの女性になれたとして。
それで彼に、なんの得があるんだろうか。
お嫁さん候補……は、ないか。
だとしたら、セレブのおじさんに売るとか?
いやいや、それこそない。
「私が最高の女性になったら、富士野部長はどうするんですか?」
「んー、そうだな。
いい女だろってみんなに自慢する」
「……そうですか」
自慢してどうするんだろう。
部長の考えはいつもさっぱりわからない。
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