【完結】2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
第二章 投資の理由2
仕事が終わり、家に帰ったら大量の本が目の前に積まれた。
「これ全部、資格を取れ」
黒縁ハーフリムの眼鏡に変えた富士野部長が、眩しいばかりに白い歯を覗かせて笑う。
それはとても爽やかだったが、私には胡散臭く見えた。
「全部……ですか?」
一冊ずつ表紙を確認していく。
表計算、ワープロ、プレゼンソフトの検定は仕事で必要だからわかる。
TOEICは将来的な海外展開も会社は目標にしているだけに、あればいいかもしれない。
でも、ビジネス実務法務検定って?
行政書士とか必要?
この人はいったい、私をなににしたいんだろう。
「そう、全部。
一回で受かれよ?」
「うっ」
これを全部受験して、さらに一回で受かるなんて大変だ。
でもまあ、仕事レベルが上がるのはいいことなので従おう。
私は勉強に時間を当てろと、家事は部長がしてくれるらしい。
「まあ、家政婦雇ってるからそんなにすることないけどな」
テーブルに並べられた料理の半分は、家政婦さんの作り置きだそうだ。
あとの、チーズののった牛肉のポン酢炒めと、ほうれん草とコーンの炒め物は部長のお手製だ。
「へー、そうなんですね」
家政婦さんを雇っているなんて、なんか住む世界が違うっていうか。
ここ数日で急に、部長が遠くなった気がする。
部長の作った料理は悔しいが、私が作るよりも美味しかった。
この人、仕事もできて料理もできるなんて、どれだけハイスペックなんだ。
「そうだ。
社内コンペ、紀藤も出せよ」
「社内、コンペ……?」
……とは?
行儀悪く箸を咥えたまま考える。
そういえば、会社で話題になっていたような。
それに私も出せ、と?
「でも私は、ただの営業事務で……」
「誰でもエントリーOKなんだから問題ないだろ」
さらりと言い放ち、部長は食事を続けている。
「はぁ……。
そう、です、ね……」
これで聞いてもなにも答えてくれないのは学習した。
ならこれは、黙ってやるしかないのだ。
「エントリーするからには、絶対採用されろよ?」
「うっ」
とりあえず適当に出しておけばいいか、なんて考えていたのに、抜かりなく部長が釘を刺してくる。
資格試験の勉強に社内コンペの案出しなんて、これは大変だ……。
食後も片付けは俺がやるからお前は勉強しろ、というわけでひたすら試験日の近いものの参考書を読む。
「そろそろ風呂入れー」
「……え?」
集中していたらいきなり、参考書を奪われた。
部長はもう入ったのか、濡れ髪姿だ。
「え、でもまだ……」
確認した時計は九時半を少し過ぎたくらいだった。
「夜は十時には寝ろ」
勝手に部長が、参考書を閉じる。
「でも、こんなペースでやってたら間に合わないです」
試験は詰まっているから、寝る時間を削ってでも勉強しなければ受かるわけがない。
「睡眠時間が減るとパフォーマンスが落ちる。
落ちた状態で勉強したって無駄だ。
それよりもしっかり睡眠を取って、集中してやったほうがいい」
無理矢理椅子から立たせ、部長が私を浴室へと押していく。
「ええーっ」
「紀藤は俺に言われたとおり、やってればいいんだ」
気づいたときには洗面所に押し込められていて、バタンとドアが閉まった。
「……強引」
ため息をつき、とりあえずお風呂に入る。
私は部長に言われるがまま、やっているだけでいいのかな。
でも、今はそれしかできないし、できる限りを精一杯頑張ろう。
「これ全部、資格を取れ」
黒縁ハーフリムの眼鏡に変えた富士野部長が、眩しいばかりに白い歯を覗かせて笑う。
それはとても爽やかだったが、私には胡散臭く見えた。
「全部……ですか?」
一冊ずつ表紙を確認していく。
表計算、ワープロ、プレゼンソフトの検定は仕事で必要だからわかる。
TOEICは将来的な海外展開も会社は目標にしているだけに、あればいいかもしれない。
でも、ビジネス実務法務検定って?
行政書士とか必要?
この人はいったい、私をなににしたいんだろう。
「そう、全部。
一回で受かれよ?」
「うっ」
これを全部受験して、さらに一回で受かるなんて大変だ。
でもまあ、仕事レベルが上がるのはいいことなので従おう。
私は勉強に時間を当てろと、家事は部長がしてくれるらしい。
「まあ、家政婦雇ってるからそんなにすることないけどな」
テーブルに並べられた料理の半分は、家政婦さんの作り置きだそうだ。
あとの、チーズののった牛肉のポン酢炒めと、ほうれん草とコーンの炒め物は部長のお手製だ。
「へー、そうなんですね」
家政婦さんを雇っているなんて、なんか住む世界が違うっていうか。
ここ数日で急に、部長が遠くなった気がする。
部長の作った料理は悔しいが、私が作るよりも美味しかった。
この人、仕事もできて料理もできるなんて、どれだけハイスペックなんだ。
「そうだ。
社内コンペ、紀藤も出せよ」
「社内、コンペ……?」
……とは?
行儀悪く箸を咥えたまま考える。
そういえば、会社で話題になっていたような。
それに私も出せ、と?
「でも私は、ただの営業事務で……」
「誰でもエントリーOKなんだから問題ないだろ」
さらりと言い放ち、部長は食事を続けている。
「はぁ……。
そう、です、ね……」
これで聞いてもなにも答えてくれないのは学習した。
ならこれは、黙ってやるしかないのだ。
「エントリーするからには、絶対採用されろよ?」
「うっ」
とりあえず適当に出しておけばいいか、なんて考えていたのに、抜かりなく部長が釘を刺してくる。
資格試験の勉強に社内コンペの案出しなんて、これは大変だ……。
食後も片付けは俺がやるからお前は勉強しろ、というわけでひたすら試験日の近いものの参考書を読む。
「そろそろ風呂入れー」
「……え?」
集中していたらいきなり、参考書を奪われた。
部長はもう入ったのか、濡れ髪姿だ。
「え、でもまだ……」
確認した時計は九時半を少し過ぎたくらいだった。
「夜は十時には寝ろ」
勝手に部長が、参考書を閉じる。
「でも、こんなペースでやってたら間に合わないです」
試験は詰まっているから、寝る時間を削ってでも勉強しなければ受かるわけがない。
「睡眠時間が減るとパフォーマンスが落ちる。
落ちた状態で勉強したって無駄だ。
それよりもしっかり睡眠を取って、集中してやったほうがいい」
無理矢理椅子から立たせ、部長が私を浴室へと押していく。
「ええーっ」
「紀藤は俺に言われたとおり、やってればいいんだ」
気づいたときには洗面所に押し込められていて、バタンとドアが閉まった。
「……強引」
ため息をつき、とりあえずお風呂に入る。
私は部長に言われるがまま、やっているだけでいいのかな。
でも、今はそれしかできないし、できる限りを精一杯頑張ろう。
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