ジャンルごちゃ混ぜ小説詰め合わせ 3

笹椰かな

詩とショートエピソードのまとめ

No.1
 バス停の前とバスの中でしか縁がない君
 眠そうな顔も、楽しそうに本を読む横顔も、疲れたような後ろ姿も
 二度と同じ君を見る事は出来やしない
 だって、過ぎていく日々は同じようでちょっとずつ違うから
 だから私は、君を眼に映す度に新しい想いを芽吹かせる


No.2
 お風呂に入った時、足のすねに出来た青アザを見つけた
 いつの間にできていたんだろう?
 そっと押してみたら鈍く傷んで、顔がくしゃっと歪んだ
 でもこんな痛み、昨日君に言われた事と比べたら大したことなんかない
 湯船の中で溺れちゃえば、全部忘れてしまえるのかな


No.3
 私の好きな人は誰にでも優しい
 あの子にも、あの人にも、アイツにだって――
「私だけに優しくしてくれたらいいのに」
 口に出した瞬間、自分のみにくさに目眩めまいがした
 嗚呼ああ、嗚呼、嗚呼
 優しい君に、ふさわしい女の子になりたい


No.4
 私が太陽で、あなたが植物?
 私がいるから元気が出る? 私のおかげで毎日が楽しい?
 ――違う、違う!
 お日様なのはあなたで、植物なのは私なんだよ!
 ……まったくもう、全然わかってないんだから


No.5
 よく『恋をすると苦しい』なんて聞くけれど
 じゃあ、しなければいいんじゃないの?
 それでもしたいって言うならさあ
 どれだけ苦しい体験なのかを私にも教えてよ


No.6
「桜の花って食べられるんだよ」
 君があの日、微笑みながら贈ってくれた桜茶という飲み物
 やっと開封して淹れてみたけど、しょっぱくて、お茶って感じが全然しないね
 春に落ちてくる桜の花びらを口にまねいてぽろぽろ涙をこぼしたら、これとおんなじ味がするのかな?


No.7
 一秒、一分、一時間
 君といる時間はあっという間に過ぎていく
 ほら、今日だって呆気なく別離の時が来た
「『サヨナラ』は縁起が悪いから」
 そう言って、別れ際に「また明日」としか言わない君
 その代わり、絶対嘘にはしないでね
「また明日」君に会いたいから

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