東京では皆一様に夜が暗い

ふかふかね

家に帰ってから改めて考えてみた

家に帰ってから改めて考えてみたが、どうも腑に落ちない事が多すぎるような気がしてならなかった。第一おかしいのは時間の進み方だけではない。

さっき確かめた時は確かだと思ったはずの腕時計が、いつの間にか止まっているのだ。

おかしいとは思いながら、そのままにして置いたが、どうしても気になりだして仕方がない。

そこで仕方なく修理を頼んだところ、見事に直ってしまったので、取り敢えずほっとしたものの、今度は別の問題が生じてきたのだ。

というのも、その時刻合わせの方法が通常の方法とは違っていたので、直すのに相当手間がかかったというのだ。そして最後にこう言われたのだそうだ。

「いやどうも済みませんなあ……何しろうちの製品はどれも丈夫で長持ちするという事で評判だったものですから……まあその点については心配要りませんよ」

だが、その時の顔が何とも嫌な感じだったというのだ。

まるで私達夫婦の事を馬鹿にしているような顔つきだったらしい。
しかもそれが一度や二度ではなく、何度も何度も同じような目に遭ったのだから無理もないと思う。

結局私達はその日以来外出するのを控えるようになった。外へ出て誰かに会って話をする度に時間を聞かれるに違いないと考えたからだ。

そのうちに段々と不安になってきて、このまま家に閉じ籠もっていても埒が明かないという事になり、思い切って二人で相談した結果、思い切って警察に行ってみる事にしたのである。

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