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【コミカライズ】ヴァンパイア執事はお嬢様に心を読まれています

黒月白華

カッレラ侯爵家の現状

市場いちばで食材を買い、お嬢様と3人で並ぶ。真ん中にお嬢様が居るので、通りすがりの人達から見られている気がする。

「おい、お前らが目立つせいで、私が邪魔に見られてしまう!

これだから顔のいい奴等やつらが並ぶと一層、私が惨めな思いをするんだ!!」

「そんな!お嬢様だって充分可愛いのに!!」
と言うとお嬢様は

「そっ!そんなの、お前だけだ!!」
と赤くなる。やはり可愛いじゃないか!!

そこで叔父さんは

「すまないね、お嬢様。
しかし、2人がいなくなり、私は随分と探したんだよ?」

「叔父さん……。でも僕は置き手紙を残したはずですが?」

「ああ、もちろん見たさ。兄さん達にも伝えたが、駆け落ちなどまだ早いとなってね。

侯爵も例の騒動で信用を失ってね。今の旦那様と奥様は離縁寸前で、ティルダ様も婚約者様と婚約破棄し、カッレラ侯爵はガタガタになっている。

社交界でも噂のまとで恥ずかしくて、カトリーナ様やティルダ様は出席できない状況で、侯爵の仕事も疎かになってきている」

「いい気味きみじゃないか」
とお嬢様が言うが、叔父さんは

「おいおい、君たちのおかげでそうなったんだからな?

もし、カッレラ侯爵が潰れたら、私も働き口が無くなるじゃないか!」
お嬢様はピクリとし、

「う……。ま、まさか私を侯爵の後継に!?」
と叔父さんの心を読んだのか、お嬢様が青ざめた。

ぜん旦那様も、パウラ様なら大歓迎だろうしー?今の奥様や妹ぎみ様を追い出して、ついでにヴァレンと結婚して侯爵の新しいあるじになればいい!

どうだヴァレン!侯爵になるのは!?」
と叔父さんが言う。
いや、普通にそれ、お家おいえ乗っ取りでは?そんな事、カトリーナ様が許すはず無い……。

お嬢様と結婚はしたいけど!!
凄くしたいけど!!

「しかも、カトリーナ様やティルダ様はこの頃、精神に支障をきたしている。今回の件でね」
と叔父さんは続けた。

「それってやっぱり僕のせいでしょうか?」
とおずおず聞くと

「ヴァレンはお嬢様を守る為にしたのだろう?元々、旦那様が居るのに、しつこくヴァレンや他のいい男にも擦り寄っていた、カトリーナ様にも非はある」

「それは……、まあ。

お嬢様を辺境伯に嫁がせるとつがせるだなんて、あの時は我慢ならなかったし、僕も愛する人を連れて逃げ出す事しか思いつかず……!」
と言うとお嬢様が

「あ、あんまり恥ずかしい事を言うな!!」
と照れるので、叔父さんと僕は

「ハッハッハ!お嬢様!
うちのヴァレンは、一途に8年も貴方あなたを想っていた奴です!そのあいだに来た縁談をいくらも蹴飛ばしてね。私は応援しますよ!」

「はい!僕の心にはいつもお嬢様がいたから、他の女性の事なんて考える暇はありませんでした!!」
と僕はポッとなるが、お嬢様は

「よく言う。ちょっと胸のデカい女が現れると、胸ばかり見て私のと比べていたろ?」
と指摘された。しかし叔父さんが

「パウラお嬢様……。

それは…、男ならほぼ全員見るものかと!
至って普通の事ですな」
と庇ってくれた!叔父さん!!
ありがとう!!

「開き直るな!!も、もういい。
侯爵の事をもっと教えろ!」
とお嬢様が呆れたように言う。
お嬢様!僕はお嬢様のお胸が一番ですからね!!

「……オスカー旦那様とカトリーナ奥様の仲は最悪で、ついにオスカー様は離縁を切り出している。

ティルダ様はアンドレアス様と婚約破棄して姉との仲も壊して、顔も見たく無いと言い、親戚の家に行ってしまわれた。彼女も侯爵を継ぐ気なんてないだろう」
と叔父さんは続けた。

「それで、カトリーナお義姉様おねえさまは余計にやつれて精神的に不安定になり、仕事どころか、日がな癇癪を起こし、私を殺す殺すと叫びまわっていると?」
と叔父さんの心を読んだお嬢様が言うとうなづいて

「まあ、その通りですよ。暗殺者からの報告を待っているみたいだけどね」

「今のところ僕達は見つかってはいませんよ」

「暗殺者が周囲にいたら、私が察知して上手く逃げれるからな…。

もしかしたらバカそうなお義姉様おねえさまを騙して、かねだけ持って、とんずらしたんじゃないか?その暗殺者」

「まあ、そうだといいんだがね。
現状はカトリーナ様は全く仕事をしないから、執事やら従業員達が代わりにやっていて、本来の仕事も回らなくなってきているからね……。

本当に困っている。今あの家に必要なのはパウラお嬢様しかいないだろう。
今は皆、カトリーナ様を恐れている。

駆け落ちするなら事前に知らせてほしかったな。身を隠す所なら提供できた」
う……。それは叔父さんにも迷惑かけたかも。でもあの時は、僕も必死だったし、お嬢様と逃げて、ゆくゆくは2人きりで生きていけたらいいなと思っていたから。

「それは……、ご心配をおかけしました…」

「ロベルト旦那様や、イングリット奥様が健在であられたら、こんな事にはなっていなかったろうね」

ロベルト旦那様とイングリット奥様……。

「料理長、ハンター達の元に帰る前に話をしておきたい」
とお嬢様が重い口を開く。
これまで何が起こったのかを叔父さんに説明した。









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