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【コミカライズ】ヴァンパイア執事はお嬢様に心を読まれています

黒月白華

形勢逆転

次の日も僕と叔父さんは、まだ猫と鴉だった。傷はようやく完治した。叔父さんもだ。

でもまだ縛られている。鬱陶しい首輪も、猫の手じゃ外れないし。
お嬢様もミア達と喋ろうとしないが、時々、ムッとして、ミア達を睨む。

ミア達は、お嬢様が喋ろうとしないので、勝手にお嬢様の鞄を漁り始めた。

クロスボウや短剣など、武器は早々に取り上げられていたが、人の鞄まで勝手に漁るとは!!

「ねえ、ミア!この服、売ったら少しは、お金になるかもしれないよ!!」

「ええー!?でも、あんまりセンス良くないの多いというか、地味な服が多いわね?」

「そうだね!一昔前ひとむかしまえの古着みたい!」
と言う。
くそッ!僕が女の子の流行に詳しかったら、もっといい服をプレゼントしたのに!!

侯爵のメイド達も、カトリーナ様の言い付けで、地味なものばかり選んで部屋の前に置いていたみたいだ。

お嬢様は反応せずに、静かに口を閉ざしたままだ。

唯一、トイレの時などは喋った。僕達が催しそうになった時も、心を読んでミア達に伝えてくれた。

ミア達に、トイレまで紐をつけて外で見張られるのは嫌過ぎたけど。

猫の習性で、僕は穴を掘って用を足したけど、叔父さんは茂みに隠れて、なんとかやり過ごした。

昨日と同じような食事を出されたりして、ようやく3日経った朝、

「ぎゃっーー!」
と言う、お嬢様の声で目が覚めた。

「な、何だ!?」
叔父さんも、どうやら元に戻ったようだ。
僕も、ようやく人間へと戻っていた。

しかし、僕と叔父さんは全裸だった。
当たり前に服が無い。

「……エレン!!ようやく再会できたな!!」
と叔父さんが全裸で涙ぐむ。
空気を読んで偽名でちゃんと、エレンと呼んでくれた。


「叔父さん!心配かけてごめんなさい!!」
僕と叔父さんは再会に全裸でハグした。

「いや!!服を着ろ!!変態ども!!」
とお嬢様が昔みたいに赤くなり、顔を背ける。

しかしミアが叔父さんを見て、ポッとなっていた。

「な、な……!なんて素敵なかた!!逞しい身体からだ!!素敵な金髪!素敵なお声!!」
因みに叔父さんはもう40ですけどね。それでも相変わらず容姿は良かった。
シワひとつない!

とりあえず僕達は着替えた。叔父さんに僕の服を貸した。もちろんサイズが合わないが、ズボンはなんとか入り、シャツの前をはだけ、色気全開でミアが更にメロメロになっていた。

「お嬢さん…。この紐を外してくれないかな?」
と叔父さんが言うとミアは

「で、でも!それは……!に、逃げちゃうから!」
となんか急に態度が変わり、もじもじして恥ずかしがっていた。

「そうそう、散々さんざんな食べ物を食べさせた事、私は許さないよ??」
と叔父さんがにこにこしながら怒っていると、ミアは目をうるうるさせながら

「ごっ、ごめんなさい!!まさか叔父様がこんなに素敵なかただとは思わなくて!!

私!!大変なご無礼を!!
紐は外せないけど、わ、私で良かったらなんでも致しますわ!!」
とミアは叔父さんを前にいじらしく見せていた。

僕の時とは随分違うけど、年上だから対応も違うのか?
どうせ油断させて叔父さんを誘惑し、子供を作ろうと考えてたりするのだろう。

叔父さんもダンピールだし、美形だからなあ。
ミアならやりかねない!!

叔父さんはため息をつくと、僕に目配せした。わかってるよ!叔父さん!!

「お嬢さん、それでは仕方がないね」
と言い、叔父さんは力を込めて紐を引きちぎる!

僕も同時に自分の紐をちぎり、首輪も壊した。ミアとココは服の中から銃を取り出そうとしたが、叔父さんと僕は赤い目を光らせて

「「動くな!!」」
と言う。
叔父さんはミアの目を見つめ命令を、僕はココの目を見つめ命令を下した。
2人は微動だにせず動かない。

叔父さんと僕は2人の手首を後ろに回し縛った。

それからお嬢様の手首の紐を、僕は引きちぎり、お嬢様が慌てて逃げようとしたが、抱き付いた!

「良かった!!お…シンシア!!

ああ!!怖かったでしょう?
もう大丈夫ですからね!!」
と涙ぐみ、抱きしめていると

「や、やめろ!離せ!バカ金髪!!」
と照れている。

ああ、可愛い!!

するとそこで叔父さんが

「おほん、エレン、シンシアちゃん。そのくらいで。2人きりの時に愛し合えばいい!」
とにこにこと微笑ましそうに見る。

「へ、変な事を考えるな!料理長!!」

「エレン?シンシアちゃんとは一体どこまで??ふふふ」

「そ、そんな叔父さん!まだそんなあ……」
と照れる。

キスはしましたけどね!!
キスはしましたけどね!!
と思ってると、お嬢様に蹴られた。

「ところで一体、何があったんだ?」
と叔父さんが、真剣な顔をしているとミア達が気付いた。

「う……油断したわ……」

「ミアが魅了にかかるから悪いんだよー!」
とココが言うと

「ち、違うわよ!!魅了なんかじゃ無いわ!これは私の恋だわ!!」
と言うから驚いた。
お嬢様を見ると

「本当らしい」
とどうでも良さそうに言い、叔父さんはにやりとして

「いやあ、私は食べ物を粗末にする女性はあまり好きじゃ無いな!」
と速攻で振って、ミアは落ち込んだ。

そしてミア達を空き家に残して、叔父さんと僕達は買い物に出た。
一応戻ると、ミア達には伝えた。
このまま放置してもいいけど、叔父さんはあんな目に合わせた2人に、残飯ざんぱんを食わすと言う復讐をしてから去りたいらしい。

我が叔父ながら食べ物に関しては根に持つタイプである。









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