【コミカライズ】ヴァンパイア執事はお嬢様に心を読まれています

黒月白華

通訳がめんどくさい(パウラ)

「さて!
とりあえず、どう言うことか、話し合おうじゃないの!!」
と、ミアが太々しくも言う。

先程、ココと私は一度、私達の泊まっていた宿屋

【猫のあくび】

に戻り、鞄や、ココ達の荷物を取りに行った。金髪の荷物も一緒に持ってくる。ココが

「妙な真似をしたら、手首折っちゃうよ?」
と脅され、私は従うしかない。
クロスボウも取り上げられたし。

金髪と料理長は猫と鴉だし、ミアが空き家でそのまま見張っているのだ。

戻る途中で、ココは勝手に金髪の荷物からお金をくすねて、食べ物を買い込んだ。

「ちょっと!!勝手に人のお金を!!」
それは金髪が侯爵家で頑張って働いて得たお金だぞ!!
何なんだこいつ!!

まあ、ココの心では反省なんか全く見えない。

《わーい、美形くん、お金持ちーー!!いっぱい食べれるーー!!》

と喜んでいる!
むしろ本当に盗賊みたいな奴等だ。

「うるさいなあ?ちょっとくらいいいじゃん!!」

とココは食べ歩きしながら、空き家に帰る。

「カァー!」

「ニャー!」

と黒い猫の金髪と鴉の料理長は鉄の鎖と首輪を嵌められて、ベッドの足に繋がれている。

《ああ!お嬢様!僕の鞄まで持って!細い腕が筋肉痛になってしまう!

何て酷いことを!!》
と金髪が心配した。
いや、お前も鎖に繋がれて充分酷いことされてるがな。

《おおーい、パウラお嬢様!!一体どうなってるんだ!?

私の声、聞こえてますよねー!?

やっと見つけたと思ったら、何でヴァレンはエレンと呼ばれてるんだ!?》

と、料理長もかなり知りたがっていた。ここに来て、直ぐあの鷹に追い回されたらしい。

料理長が鷹に追いかけられてる記憶が少し見えた。金髪と私を必死で探してここまで来たことも。

「ミア……。なんでこいつらを繋ぐんだ!」

「あら、猫被りさん?もちろん逃げたら困るからよ!」

「逃げられるもんか!
まだ1日経ってないし、傷の修復も真性ヴァンパイアみたいに早くないんだから動けない!」

「もう夕方だし、少しは良くなってきているはずでしょ!?」
とミアは言う。
そして心の中で

《ちんちくりんも縛っておかないと……》

と言った。

「ココ!このサトリ女も縛っておいて!」

「あいよー!」
とココは私の手首をキツく縛る。

《お嬢様になんて事を!!

こいつ!!

元に戻ったら許さない!!》

と金髪は痛みも忘れ、怒っていた。

「さて?よくも隠していたわね、貴方がサトリだってこと!」

とミアは切り出す。

「そんなもん、隠すに決まってるだろ!?

私が人の心を読めるなんて周囲に知られたら気味悪がる連中がたくさんいるからな!

そこの黒猫と鴉は例外中の例外だけどな!」

と私が言うと金髪は

《そんな!
他にもきっとわかってくれる優しい人は必ずいますよ!!》

と慰める。

《と言うか、パウラお嬢様……。
侯爵家にいた頃とは別人だな。

ヴァレンから少しは聞いていたが、これが素なのか?

可哀想に!人の心の嫌な部分を見過ぎてすっかり捻くれた子に!

おお!抱きしめて、ヨシヨシしてあげたい!!》

う、しまった。
侯爵家では料理長の前でも、猫かぶって大人しくしてたからな。

金髪が来る前は、週に一度は部屋から出て、お義父様とお義母様とついでにお義姉様達と夕食は共にした時があって、その時に料理を運ぶ料理長を見たが、心の中は

《さあ、私の渾身作!!
笑顔で残さず食べてほしい!!》

とにこにこしながら料理を出していた。

渾身作と言う程には、とても美味しかった。

その時は、まだ正体はわからなかったが。金髪が来てから、ようやく料理長も同類だと思った。

「それで?
あんた、あの男の記憶を見たの!?」

とミアは男の事を知りたがっていた。

「まさか、シンシアちゃんもお父さんとお母さん殺されちゃったとはねー!?
びっくりー。

同じだねー」

とココも呑気に言う。ミアはそれに怒り

「同じ?
違うわよ!

別にこのちんちくりんは、両親が死んだ時、側に居なかったんでしょ!?

私達とは違う!!
それに見知った村人達も殺された!!

私達とは重みが違うわ!!」
と言う。

ミアは能天気なココと違い、憎しみの感情が酷い。あのヴァンパイアの男を仕留めきれなかったことにも後悔していた。

反対にココは内心怯えていた。

《ミアに怒られた…。私が悪いんだ……。ごめんなさい、ごめんなさい……》
と心の声が聞こえる。

「人は、それぞれ悲しみや憎しみ、恐怖を感じて生きてるんだ。時には喜びもな。

あんただけが重いわけじゃない!人の死に対しての人数でもない……」

「平等だって言いたいわけ!?
偉そうに!

人の心がわかるからって、いい気にならないでよね?このバケモノ!!

あんただって、充分に私達の敵になり得るのよ!!?」

「…………」

「シャー!!」

「カッ!!」

《お嬢様に酷い事を言うな!!お嬢様は、バケモノなんかじゃない!!

気にしちゃダメです!お嬢様!!》

《全く!流石に酷いぞ?

パウラ様も望んでこの力を得たわけではないだろう?

私達の方が遺伝から来てるんだから、余程バケモノだろうに……。

あ、ところで、お嬢様はシンシアと名乗っているのかな?》

と金髪と料理長が、心の中で反論していた。

「うるさいわね?そいつらなんて言ってるの?」

と言う、ミアに訳すのもめんどくさい。

「……胸デカドブス女!口を慎め!

って言ってるぞー」

と言うとミアは

「は?はあああ!?
ドブス!?私が!?
そんなわけないでしょ!?
どう見てもあんたよりは、大人の綺麗なお姉さんでしょうが!!

わかった!あんたの嫌味ね!?
胸がないからって!!

言っとくけど私達、男性から嫌われたことなんてないのよ!?」

「ふん、金髪に嫌われてたじゃないか」

「うるさいわね!?あんなの例外だわ!!」

《ヴァレンは昔から、お嬢様一筋だからなー。ハハハ!

まあ、私は女性なら、皆大好きだがね!》

料理長……。

さっきから、ミア達の胸のイメージがチラチラ頭に入ってくる……。
全く、とんだ女好きだな。

「とにかく……!
金髪達が元に戻るまで、待たせてもらう。通訳するのがめんどくさい」

「はあーーー!?」

と、ミアがまたキレそうになるが、
ココのお腹がグウウウと鳴った。
こいつさっきつまみ食いしてきたのに……。

「まあまあ、ミア!とにかく夕ご飯にしようよ!!」
となだめた。













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