黒髪のヴァンパイアの正体2

「誰が！！お前みたいなバケモノに！お前の考えなど私には丸見えだ！！」
とお嬢様は言う。

「旦那様達を殺したヴァンパイア！！僕にとっても許せない！！」

すると男は笑い

「これは…！これは…！面白い！！
そうか…！！今、思い出しました！！

そう言えば、ミアちゃんにココちゃん！！

私を知らずに家に入れてくれた可愛い子供達！！私にとってはついこの間あいだのように思えていた！！

絵本を読んであげたのを覚えてますか？ふふふ、可愛いあの子達も、成長して美しいハンターになって、私を討とううとうとしてくるとは！！

これを感動の再会と呼ばず、何なんと呼ぼうか！？」
と男は笑い続けていた。
何なんだこいつ！？

「面白がっている。私達、家畜が……歯向かって自分を殺しに来たと……」

「くっっ！！」
なんて奴だ！！真性ヴァンパイア！！

「しかし……。ここで君達をあっさり殺してしまうのも惜しい。

一旦退散するとしましょうかね？」

「はあ！！？」
逃げるって言うのか！？僕達が怖くて！？ミア達がハンターで色々と退治道具を持っているからか！？と言うか、逃げ場にげばなんてあるのか！？今は昼だぞ！？影から引き出して太陽の光に当たったら、こいつは灰になるはずなのに！

「地下だ……！！地下に通路があるから！こいつ逃げれる！！」
とお嬢様が叫ぶ！！

ミアが銃や聖水、袋を投げつけるより早く、それらを交わし、男は壁を走り、天井からぶら下がった！！

「やあ、これは敵わない。サトリのお嬢さん、いずれ貴方あなたを私の隷属、いや、我が妻として迎えたい！！

貴方あなたの力は素晴らしい！！欲しい！！」

「だ、誰が！お前なんかの妻になるか！ふざけるな！！この人殺しのバケモノめ！！」
とお嬢様は男にクロスボウを向ける。

「そ、そうだ！彼女は誰にも渡さないからな！！旦那様達を殺したお前を、僕達は許さない！！」
と僕も怒りで震える。

「ダンピールよ…。可哀想に…。君の祖先は何の能力もない、ただの家畜と結婚したのだぞ！？哀れすぎて涙が出るよ……」

「お祖父様おじいさまを馬鹿にするな！！」
とカッとして、僕は熱いのを我慢して、ココが持っていた十字架じゅうじかを掴み、男に投げつけた！！

男はススっと避けてよけてしまった！！

「私も人間だぞ！？そのお前が言う家畜と一緒だ！」
とお嬢様が言うと

「家畜の中なかでも優秀だろう君きみは？いや、家畜は失礼だったね？お嬢さん。ああ、そうだ、

こんなおじさんでは嫌われてしまう」
と男は

ボンッ

と煙になったと思うと、
僕ほどの背丈に、少し若返った様になった！！

は！！？

普通の美形の若者になり、にこりと笑う。

「これで身の丈に合うだろう。ふふふ、私は今は、アルフレートと言う名なだ。よろしく頼む」

お嬢様が叫ぶ！
「逃げるぞ！！奴に聖水をかけて動けなくしろ！！」
とお嬢様が言うとミアが聖水を取り出して、小瓶の蓋を開け、投げつけるが、男はそれを避けてよけて、一瞬で跳躍して、お嬢様と僕の前にストンと立った。

「！！」
避けるよけるまもなく男は僕の首を掴み締め上げた！！

「ううっ！！ぐう！！！」

「金髪！！

やめろ！！金髪を離せ！！」
もがく僕に男はお嬢様に、にっこりと笑い、僕を凄い力で床に叩きつけた！

「ガハッ！！」
動くことが……できない……。

「…っ！！金髪！！」
お嬢様が駆け寄る。
どうしよう……。お嬢様を守らなきゃいけないのに……指一本……動かせない……！
このままじゃ！危ない！
ココも、ミアも！お嬢様も！！

しかし男は……僕を見て

「可哀想なゴミだ。
産まれたことを後悔しなさい……。君は私に勝つことは永久にできないのさ」
と哀れんだ！
だ、誰が……ゴミだ！！
クソ！動け！！
お嬢様を守るんだ！！

動け！！

「ではお嬢さん、また！」
と青ざめて片目を必死で隠す、お嬢様に、あろうことか、頰ほおにキスして蝙蝠こうもりへと変わった！

僕は床ゆかに倒れたまま……。

ミアは蝙蝠こうもりに銃を撃つが弾切れになり、カチカチと音がする！

そして蝙蝠こうもりは鮮やかに一回転し、ヒュンと地下へと飛んで逃げていった！！

「クソ！！クソ！！あの男！！」
とミアは床ゆかに拳を叩きつけた。血が出るまで何度も！

ココはカチカチと歯を鳴らし、正気を失った様になったままだ。お嬢様も青ざめていた。何かあの時、心の中であの男が言ったのか！？

僕は……何も…できなかった……。
守ると言っておきながら……。

力の差がわかっていた。
もちろんあの男は許せない。

でも……今の僕では、あの男を前に勝機は見えなかったんだ……。