【コミカライズ】ヴァンパイア執事はお嬢様に心を読まれています

黒月白華

伝えきれなかった…(パウラ)

私は双子達が戻って来た時に奴等やつらが銃を隠し持っていることに気付いた。

《準備は整ったわ。
このちんちくりんを、真性ヴァンパイアの餌にし、囮にしてるあいだに倒して、エレンくんを私達のものにする……。

妙なことをしたら、ゲオルギアス教から新しく支給された、この銃で脅して言うことを聞かせるまでよ》
と心の声が聞こえて来たのでギョッとした。

こいつら……、銃を持ってる!!?
ミアは服の中と鞄に予備を持っているみたいだ。

金髪に話さないと!

こいつらは銃を持っているからと早く伝えたかった。

しかし双子達は、宿に向かう時も、金髪と話をしたりで中々、金髪と私は話せなかった。ミアやココは私たちが逃走を計らないはからないか常に警戒していた。

しかし金髪は、やはり宿に近づくと顔色が悪くなる。怯えている心情しんじょうが伝わる。

塀を乗り越え、裏口近くの茂みに隠れた時、隣に金髪が!

そうだ、心配して声をかける時に、奴等やつらが銃を持っていることをこっそり言えば……!

「エレン大丈夫?」

《お嬢様が心配してくれる!!
嬉しい!!》

「ありがとう…し…」
金髪が偽名のシンシアと言おうとしたら遮られた。

「エレンくううん?怖いの?ダンピールのくせに臆病なんだから!私の胸で慰めてあげましょうか?」
とミアが金髪を誘惑した。
わざと胸を張って、強調して見せつける。
ココも

《よーし、ココもエレンくんにパンツ見せちゃおう!!誘惑しちゃおう!!》
と考えていた。

「ココのパンツ見たら一発いっぱつで元気になるよ?」
とヒョイと恥ずかしげもなく、ココはスカートを上げる。私は金髪の目を手で目隠しした。これで見れないだろう。

因みにココのパンツは白くて小さなフリル付きのちょっと可愛らしいものだった。ああいうのが今の流行り!?
私は侯爵にいた時は、メイドが適当な下着を買ってきて置いていったから、流行りがわからない。

こんなに可愛くないぞ!?あのメイド……、地味なパンツ置いてったのか!?

「むむう!!ちょっと!邪魔しないでよ!!」

「エレンに変な物見せないで!
というか、しまってください!!」

「ちっ!!ちんちくりんのくせに!!あんたなんかよりよっぽど色気のあるパンツ履いてるのに!!」

なんだと!?見たこともないくせに!!
いや、確かに私のは地味だけどな!!
しかし金髪の心の声で

《いや、一体どんなパンツだよ!!
そして僕はお嬢様のパンツにしか興味ないけどね!!

ああ、お嬢様は一体どんなパンツを!?》
と想像しようとしたから、目を覆っている手に圧をかけてやった!!
現実では地味なの履いてるのに……。
いや、別に金髪に見せる予定はないから、過度な期待というか、想像すんなバカ!!

と思ってると、
ココがスカートを直したのを確認してようやく私は手を離す。

それからミアが、掃除婦が出てこないから、痺れを切らして侵入しようと言い出す。

確かに周囲には人はいない。いたら私に心の声が聞こえるはずだ。
人はなにか考えながら行動する生き物だからな。必ず声は聞こえるが、周囲には声も聞こえないから、侵入するのは今だろう。

ミアは器用に鍵を弄るいじくる

《ふうう。旅の途中で、お腹空きすきすぎて、留守の家の鍵を開けて、勝手に食べ物漁ってたことが役に立つとはね》
と聞こえてきた。

こいつら……。
泥棒みたいなこともしてたのか。
金品は奪ってはないけど、食べ物の盗み食いはしてるのか。

「手慣れているのですね。もしかして以前にもやったことがあるのでは??」
ミアはギクリとし、

「たまたまだわ!!」
と誤魔化して鍵は開いたあいた
なにがたまたまだよ。コソ泥が!

しかしミア達は、常に私達を警戒しているし、隙を見て金髪に話をする時間も無い。

従業員の心の声が廊下の奥から聞こえてきた。

《ああ、仕事だりぃぃー》
《早く帰って嫁といちゃつきたい》
と2人の声がした。
その事を報告して、金髪が2人をなんとか操り、ミア達は念を入れて薬を嗅がせ、眠らせて縛って空き部屋あきべや放り込んでほうりこんでおいた。

ミア達が着替えてから、

金髪は嫌な気配のする方に私達を導いたが、突き当たりの壁のある廊下だ。

金髪は下からすると言ったので、思いついたのは地下室だ。陽光が当たらない地下で眠っているのだろう。今はバケモノの声はしない。

ミアも地下に部屋があることに勘付いた様だ。

たぶん絨毯の下に入り口があるのだろう。これはチャンスだ!

絨毯を双子達に捲らせてめくらせてその隙に逃亡するしかない!!

「絨毯をめくったら、入り口でもあるのかも」
と言うと、2人は絨毯を持ち上げ始めた。

「……逃げるぞ金髪」
と金髪の手を引き、後ろを向き、逃げ出そうとしたが、ミアが気付いた!!

「待って!!どこへ行くの?」
カチャリと音がした。

振り向くとミアは銃口をこちらに向けていた。若干ほぼ私の方だ。

「遅かったか…」
とボソリと言う。

《お嬢様は、
彼女達と合流した時に、
鞄の中に銃が入ってる事に、気付いていたのか!?

ハンターは銃を持つ事を許可されているのか……!!

こんなことなら2人を操り、銃を奪い、鷹を撃ち落として逃げた方が良かったのでは?》
と金髪の心の声がした。
早く伝えられなかった事に後悔しても仕方ない……。
金髪には私みたいに心を読む力なんてない。悪いな金髪……。

私の方が、余程バケモノと言われても仕方ないのに。お前は慣れているけど、他の奴に知られたら私もバケモノ扱いされると思う。あの両親みたいに。

「金髪……まだチャンスはあるさ」
と言い、手を挙げた。






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