【コミカライズ】ヴァンパイア執事はお嬢様に心を読まれています

黒月白華

禍々しい気配

高級宿【赤のやかた

外観は普通の貴族の邸宅の様で、街の人に少し聞いたら、

赤のやかたは、

元々は地方の有力貴族の別邸らしかったが、その貴族が突然死で亡くなり、後継もいなかった為、他の貴族に買い取られ、貴族専用の宿として改装されたらしい。

平民はもちろん利用できないし、招待制らしかった。今は夜会シーズンでは無く、泊まり客は少ないらしい。

しかし数日前すうじつまえの夜に、立派な馬車が宿に停まっているのを見たと言う者がいたらしい。どこかの貴族が泊まっているのだろう。

僕達は高級宿の裏に周り、高い塀を、梯子を使って登った。今は裏口近くの木陰の茂みに潜んで、様子を伺っていた。

ここからでも、かなり禍々しい気配を感じて思わず震えがくる。まるで心臓を鷲掴みにされ、今にも潰されそうな恐怖だ。


「エレン大丈夫?」
とお嬢様が心配してくれる!!

「ありがとう…し…」
シンシアと言おうとしたら遮られた。

「エレンくううん?怖いの?ダンピールのくせに臆病なんだから!私の胸で慰めてあげましょうか?」
とミアが誘惑してくる。
ココも

「ココのパンツ見たら一発で元気になるよ?」
とヒョイと恥ずかしげもなく、ココはスカートを上げたが、お嬢様が先を読み、僕の目を手で目隠しした。

「むむう!!ちょっと!邪魔しないでよ!!」

「エレンに変な物見せないで!
というか、しまってください!!」

「ちっ!!ちんちくりんのくせに!!あんたなんかよりよっぽど色気のあるパンツ履いてるのに!!」

いや、一体どんなパンツだよ!!
そして僕はお嬢様のパンツにしか興味ないけどね!!

ああ……!
お嬢様は一体どんなパンツを!?

と想像しようとしたら、目を覆っている手に圧がかかり痛い。
あああー!?

ココがスカートを直したのを確認してようやくお嬢様は手を離す。

「とにかく!まごまごしてると夜になってしまうわ!昼間のうちにカタをつけなきゃ!」
ミアが言うと、

「裏口から出てくる掃除婦を待つんでしょう?エレンに操って薬を嗅がせて眠らせなくてはいけないですからね」

とお嬢様は静かに言う。

入り口には警備の者達が配置されていて、正面からは無理だ。

「でも、中々出てこないよ!!掃除婦!裏口の鍵を開けてあけて侵入しようよ!!」
とココは、痺れを切らして言う。

「そうですね、周囲に人の気配は無さそうですし、思い切って行動に移しますか?」
とお嬢様が言う。サトリのお嬢様が言うからには本当にいないんだ。僕も人の気配は感じられない。

と言うか、それよりもっとすごい気配を感じすぎて、普通の人の気配を上から掻き消された感じがするのだ。

「……そうね。まあ誰か出てきたら直ぐにエレンくんが操って!」
とミアが言い、とりあえず裏口の扉へ近付くと、ミアは細い針金みたいな物を取り出して、こしょこしょ鍵穴を弄り出した!

「も、もはや泥棒かなにかみたいだ……」

「違うわよ!バケモノを退治する為にやってるのよ!」

「手慣れているのですね。もしかして以前にもやったことがあるのでは??」
ミアはギクリとし、

「たまたまだわ!!」
と焦り、カチャリと開いたあいた
怪しい。……お嬢様がそう言うには絶対前にも人のうちに勝手に侵入したことがあるみたいだ。

中に入ると一層、禍々しくなる。
しかも…上では無く、下から気配を感じた!!

「……下から物凄い気配がします」
と言うと

「やっぱりね。の光を避けてさけて、地下に部屋を設けているのよ!

改装したのは宿として客を誘い、餌の確保と地下のカモフラージュだわ。真性ヴァンパイアは貴族が多いのよ。

つまりここを買った貴族そのものが、真性ヴァンパイアだわ!」
とミアが言う。
なるほど……!

「さあ!エレンくん!とにかく気配が強い方に進むのよ!」
とミアが人を犬かなにかのように言う。

「……こっちです……」
仕方なく案内するとお嬢様が制した。

「待って!!向こうから人が来るくる

「え?そう?何も……」
しかし、チラッと壁に隠れて覗くと、廊下から2人程歩いてきた。男の従業員か。

「このさいなんでもいいわ。あの服を頂戴しましょう、作戦変更で貴方達あなたたちは客を装い、私達は従業員に化ける!」

「……わかりました…」
お嬢様はそう言い、タイミングを見計らい、僕は2人の前に出た。

「ん?お、お客様?どうなさりました?」

「え、えっと…。
少し、迷ってしまいまして…。トイレは…」

「ならばあちらに…」
と1人が後ろを振り向いた隙に、僕はもう1人を見つめ、じゅつをかけた。

「動くな」
ボーッとする男に、直ぐ様ミア達がかけてきて、眠り薬を嗅がせると、男は倒れて、ドサリと眠る。

もう1人の男も、何事かと振り返った時に、同じ様に操り、ミア達は薬を嗅がせて眠り込ませ、とりあえず暗がりで、僕は2人の服を脱がせて、ミア達に渡した。

従業員の人達は、縛りつけて空いてるあいてる部屋に寝かせておいた。

「さて……!着替えも終わったし、バッチリだわ」
と帽子に髪を入れて、変装したミア達だが…。

ボインと胸が出ている!

「変装してもしなくても、その邪魔な胸は隠せないんですね?布でも巻けばいいのに!」
とお嬢様が言うと

「ええ?面倒だわ!苦しいし?
ああ、胸のない貴方あなたにはわからないでしょうねー?」

「ほんとだねー!アハハ!!ちっさいひとにはわからないもんねー!」
と言う!!
ひ、酷い!!お嬢様の可愛い胸をバカにすんな!!僕がいつか揉んで大きく……

お嬢様が肘で腹を殴った。

「……くだらない。挑発に乗るとでも?こんな事をしているあいだが落ちますよ?

エレン、案内して?」

「え、ええ、行きましょう。こっちの方です」
と僕達は進む。

数人の客とすれ違ったりしたが、一応疑問には思われなかったようだ。

そして僕は、
ある壁の前に立った。

「あれ?行き止まりだよ?」
と何も無い壁を見て、ココが言うが

「いや…、この下から凄い気配を感じます……。少し……血の匂いもする」
と僕は汗が伝う。

「でもなにもない?」
ミアも不思議そうに壁をいじる。

「絨毯をめくったら、入り口でもあるのかも」
とお嬢様が言い、2人は絨毯を持ち上げ始めた。

「……逃げるぞ金髪」
とお嬢様が手を引き、僕はうなづいた。

後ろを向き、逃げ出そうとして

「待って!!どこへ行くの?」
カチャリと何か音がした。

振り向くと、ミアが持っていた物!それは……

小型の鉄製銃だ。

「遅かったか…」
とボソリとお嬢様が言う。お嬢様は彼女達と合流した時に、鞄の中に銃が入ってる事に気付いていたのか!?

ハンターは銃を持つ事を許可されているのか……!!
こんなことなら2人を操り、銃を奪い、鷹を撃ち落として、逃げた方が良かったのでは?

しかしお嬢様は

「金髪……。まだチャンスはあるさ」
と言い、手を挙げた。













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