【コミカライズ】ヴァンパイア執事はお嬢様に心を読まれています

黒月白華

騙し合いの未来2

ミア達はまだ来ない。
太陽が真上に登っている。

僕はお嬢様の日傘を差してあげる代わりに、一緒に日傘に入れていれてもらいながら歩く。

一応帽子も被ってかぶっているが、やはりくっついて歩いてるだけで幸せだ!


「とっとと木陰を探すぞ!!」
とお嬢様は赤くなり、木陰を探す。
途中で飲み物を買い、もうこれデートなんではないか?

危険なヴァンパイアのいる街だけど。
鷹がついてくるのが邪魔だけど。

ようやく建物の影にあった、ベンチを見つけて座る。

お嬢様は飲み物を受け取り、飲む姿も可愛い。

「ジロジロ見るな!!バカ!!」
と怒られたが可愛いのでいくらでも見たい。

「この、脳みそピンクが!!」
とプイと横を向く。しかしお嬢様はポツリと語る。

「金髪…。
もし逃げることが出来なかったら……。

私は……
あの双子達に真性ヴァンパイアの囮の餌とされてしまうかもしれない。

心を読んで、契約書は書かせたが、

あんなもの、私が餌になり、
死ねば無効になるしな」

そんな!ミア達は結局、協力するとか言っといて、裏切るつもり満々じゃないか!!

「そんな事!僕がいる限り、お嬢様を囮の餌になんて、絶対にさせませんよ!!」

「あいつらからしたら、私は邪魔だからな。ほら、子供が欲しいとかほざいていたろう?」

「ああ!!僕は絶対に嫌ですけどね!!」

「……あいつらの記憶の断片を少しだけ見た。なんでダンピールとの子供が欲しいと思う?」

「確か、より強いハンターとして役立たせる為とか何とか、子供さえできればとか……?」
ミア達は子供さえできれば、まるで愛情など要らない様なそぶりだった。

「……それもあるが、奴等が出会った、ゲオルギアス教のローラントと言う男がどうも関係している様だ…」

「どういう事です?」

「ミア達はその男に頼り、信じきって生きてきたから、相当な恩があるみたいだ。

だからその男に従って、ヴァンパイア退治やダンピールを見つけたら子供を作れつくれと命令されているみたいだな」

「なっ……。命令?そんな事で……!?」

だから愛が無くても構わなかったのか!!

「お前はミア達にとって、本当にただの子供を産ませるための道具だ。

まあ、お前は顔もいいから、あいつらにとってとくしかないだろうしな。

後は、邪魔な私を、始末して仕舞えばいい。
その後お前は、ゲオルギアス教に捕まって、利用されるだろう」
とお嬢様が少し辛そうに言う。
僕のことを心配してくれたのだろうか?

「別に心配はしてない!その為に私達は逃げるんだ!!

どの道、お義姉様おねえさまからの追手からも、逃げなくちゃならないんだからな!!」

そうだ!
僕はお嬢様を守る為に、カッレラ侯爵から逃げ出したのに!!

僕はお嬢様の手を取り言う。

「もちろんです!!お嬢様!!僕が守ります!!あいつらの思い通りにはいきません!!

お嬢様を餌になんかさせませんよ!!
あいつらを騙すのは僕達ですし、あの鷹も仕留めて逃げ切りましょう!!」
と決意を固くした。

それからミア達を待ちながら、僕はお嬢様とクロスボウの練習をした。

近くの木に的を作り、10から15メートル程離れて、僕は手本として、

ドスっと的の真ん中に当てて見せた。

「……中々やるじゃないか!金髪!」
とお嬢様に褒められて嬉しい!!

「お嬢様もどうぞ!!やってみてください!」

「わ、わかった!こんなの簡単だ!
打ち方は完璧にマスターしているからな!」

「流石お嬢様!!頑張ってください!!」
と次の矢を装填し、クロスボウを渡し、お嬢様も狙いを定める。

「んんんんーー!!」
と一生懸命に狙いを定める、お嬢様の可愛らしいこと!!

《頑張れ頑張れ!お嬢様!!》

と応援を送ると

「……おい、金髪!気が散るから余計なことを考えるな!!」

「は、はい!申し訳ありません!」
と僕はなんとか黙る。

お嬢様は狙いを定め、矢を放った!!
矢の行方ゆくえは……。

ドスッ!

……的を外れて民家の板壁いたかべに刺さっていた!!


「………」

「………」

一瞬、

シン……

となったが、僕は

「お、惜しいですね!」
と言ったら

「お前今、心の中で

『ド下手へたクソだ!』

と思ったろ?」
と見抜かれた。

「いや!そんなこと!ないです!!ないです!!」

と誤魔化すが、もちろん無理だった!!

「うるさい!!私に隠し事できると思うなよ!!何だこの武器!!全然使えないじゃないかっ!!」
ガシャンと投げるお嬢様。
ええええー!!

ま、まあ、きっとお嬢様の頭の中では完璧に鷹を仕留めるイメージみたいなのがあったんだろうなぁあ。

じ、実戦では無理でしたけど…。
そもそも片目でお嬢様にクロスボウは不向きではないか??

と思ってると下からギリギリと首を絞められた。

「うるさいよ!金髪!!お前は完璧にまとに当てられるからって、い、いい気になるなよ!変態のくせに!!」
と悔しがっていた!!

「で、では一緒にやってみましょうよ!!ね?」
とお嬢様を支えて、クロスボウの位置を調整する。

「いいですか、的をよく見て、
ブレない様に注意して…、
トリガーを引いてください!」

とお嬢様の手に自分の手を重ねて、優しく教える。

「……おい、変な事考えるな!変態!!」

「……すみません…。考えません!!」
と悲しいが心を無にして教え、
ようやくお嬢様は僕の補助でなんとか的の端に当てた!!

「おおーー!!やりましたよ!お嬢様!!」

「………いや…。物凄い端っこだろ…。
まだまだだ」

「やはりこれは、やめときます?」

「というか、今思ったが…!
普通にネズミを捕まえて放ち、お前がクロスボウで鷹を仕留めた方が早くないかっ!!?」
と言われて僕も

「あっっ!!?」
と気付いた。
い、一体この時間は!!?
で、でもお嬢様の手を触れたさわれたからいいかなあ……。
と思ってたら

腹を殴られた。

クロスボウを鞄にしまい、機嫌を取っているとミア達がやってきた。
2人とも鞄を持ち、またシスターの戦闘服に着替えていた。教会で支給されたのか新しいものだ。

「準備はできたわ!行くわよ!その真性ヴァンパイアのいる高級宿にね!!」
とミアは言う。
僕とお嬢様は目を合わせ、うなづく。

ここからは騙し合いだ。お嬢様と僕を騙そうとするミア達、ミア達を騙して出し抜き、逃走を図る僕達の。




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