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【コミカライズ】ヴァンパイア執事はお嬢様に心を読まれています

黒月白華

お嬢様の嫉妬

「ふええええん!!

だって!だって私達…!
復讐したいんだもん!
故郷の小さな村を襲った、
恐ろしい真性ヴァンパイアの男を、
必ず見つけ出して殺したいんだもん!

一生かけて、子孫代々で見つけ出して、
あのヴァンパイアの男を滅ぼしたいんだ!!」
とココが泣く。
ミアはココの背中を撫でながら

「ココ…大丈夫よ…。私達は最高についてるわ。

この街で…ダンピールと出逢えたであえたのだからね!」
と僕の方を見て目を細めた。

だから僕には、お嬢様がいるから無理なんだけど!!?

僕が困っているとお嬢様が耳を寄せた。

「適当に話を合わせ、ずらかるぞ。めんどくさいよ、こいつら」
とボソリと言う。

そうですね。こんな危ないハンターに構っていたくない!
僕はお嬢様と二人きりで安全に生きていきたい♡

ギュって靴を踏まれた。

「ええと…。貴方達あなたたちの復讐したい気持ちはわかります。村をヴァンパイアに襲われたなら、さぞ悔しいでしょう。

しかしそれは、僕達には関係のないことです。僕がたまたまダンピールと言っても、他にも探せば、ダンピールがいるかと…」
と言うとミアが

「はあああ!!

ダンピールがその辺にいるわけないでしょ?
何億分の確率なのよ?

巡り逢えためぐりあえたことが奇跡みたいなものなのよ!」

とミアが言うが、そんなの僕は知らない。
僕にとってはお嬢様と出逢えたであえたことの方が天文学的なものだろう。
お嬢様が下を向き、赤くなる。
あ、聞こえちゃった…。けど事実だから。

「だから、ね?シンシアさん?エレンくんを是非少しだけ貸してほしいの?」
とまだ諦めずにしつこいミアにお嬢様が

「そんなの無理です…。エレンは渡せません!物みたいに言わないで…」
と振り絞るように言うと、ミアは

「…貴方あなた…。
その目の傷で、同情でも引いてるつもり?鏡を見たら?」
と言うので僕はカッとなる。
傷は関係ないだろ!

「もういい加減にしてください!!

お…、シンシアをいじめる者は許さない!」
と庇うとミアはそれでも引き下がらない。

「あら?怒った顔も美形でいいわ。私との子もきっと顔のいい子になるわ!」
あごを指で触られそうになるのを、バチンとお嬢様が叩いた。ミアはびっくりして手を引っ込めた。

お嬢様の片目のアメジストの瞳が睨んでいる。これは相当怒っている。あれ?僕の為に嫉妬!?演技かもしれないけど。

「……その貴方達あなたたちの村を襲ったという、ヴァンパイアが誰かは知らないけど…。

少なくとも、この街のとある宿屋に、本物の真性ヴァンパイアが潜んでいるみたいですよ」
とお嬢様が言った。

そうだ…。あの嫌な感じのする高級宿だ!!確かにあそこは異様だった。
それに昨日の男は中級のヴァンパイアだったし……。

まさかあの宿にいるのが昨日のヴァンパイアの主人!?

「その情報は本当かしら?
そんなこと…何故、貴方あなたみたいなちんちくりんが知っているの?

エレンくんに聞いたのかしら?」

「そ、そうです。私はエレンの恋人だし…、ダンピールだってことも知ってるから…。

エレンがあの宿を見て嫌な感じがするからと言って、何となくピンと来ただけです…」

「何となくねぇ。

ふうん…。

まあ一応その宿を教えてもらうけどね。ヴァンパイアがいるなら退治しなくちゃね。私達ハンターの務めだから」

「情報はお渡ししました。これ以上、エレンに関わらないでください!」
キッと睨みつけるお嬢様。
しかしミアは

「でも嘘を教えて逃げようとしているのかしら?それならそれが本当か、宿まで一緒についてきてもらうわ!」
と言った。
僕はムッとする。折角親切に教えてやったのに!!

「……そうくると思った」
ボソリと呟いたお嬢様。

「なら、本当だったら、私達を諦めてもらえるんですよね?」
とお嬢様が言うとミアは

「……それはどうかしら?ダンピールは希少だろうから…、簡単には諦められないと思うわ?

貴方あなたが諦めてくれるのが早いと思うんだけど?」

「なっ……、なんて図々しいの?恋人がいる人から奪うとか…!信じられないわ」

「事情が違うからね…?あんたみたいなちんちくりんとは!こっちは命をかけて、両親や村のかたきを取らないといけないのよ!」

「それこそ、こっちにはどうでもいいことだわ!私達には関係のないことなのに、エレンを巻き込まないでよね!!」
とミアとお嬢様はバチバチと火花を散らした!!



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