双子の要求

突然子供が欲しいというので、僕は驚く。ていうか会ったばかりでそんな事言うなんて、やっぱりヤバい双子だ！

「……あの……意味が、ちょっとわからないのですが…」
と言うと、ミアは甘えた声で

「だからぁ？美形くんの子供が欲しいのよぉ～。

こんなチンチクリンと一緒になるより、私の方がいいでしょ？」

「ココも！ココとも子供作ろっかつくろっか！」
とココもニコニコしながら、テーブルに豊満な胸を置いてアピールした。

ヤバい、ヤバい！どう考えてもおかしいだろ！？

その時、お嬢様に、思い切り足をグリグリと踏まれた。

《あっ……そうか……！！

僕は、お嬢様の小さな胸の方が好きです！！》

と心の中で言っておきたい！
するとまた足を踏まれる。

これってもう嫉妬？そうなら嬉しいので、いくらでも踏んで欲しい！！

「失礼ですが……！

僕は貴方達あなたたちの子を産む必要がありません！常識的に考えても、会って間もない人ですし！！

それに僕は、この方かたを愛しているので無理です！！

ねっ！し、シンシア！！」
と偽名を使う。
万が一侯爵家けにバレたらいけないし、お嬢様の名前は伏せよう。

「そうね。貴方達あなたたちが恋人なのは一応認めてあげるけど……。

子供を産む話は別だと考えて欲しいの」

「は！？」
と僕は変な声を出したが、お嬢様は冷静だった。たぶん向こうの考えてることは既にお嬢様にはわかっているのだろう。

「言ってる意味がわかりません」
と言うと、ココが元気に代わりに応えた。

「つまりさあ！本当に子供だけが欲しいの！！

【ダンピール】との子供が欲しいの！その子が育ったら最強のヴァンパイアハンターになってもらうんだよ！！」

「…そう言うことよ♡
真性ヴァンパイアは不死身でしょ？ハンターも数が減ってるしね……。

つまり……、エレンくんの下半身だけ少しの間、私達に貸してもらって…！

種だけ貰ったら、後は私達が大事に育てるから、私たちの事は忘れて二人は幸せになって？」
と無茶苦茶な要求をされた！

「はあああ！？バカじゃないですかっ！？

下半身貸すとか、意味がわからないですが……！後、下品過ぎますよ！！

子供ってのは！！愛する人と作るもんでしょうがあああ！！」
と叫ぶとミアはあっさりと

「あら？そんなことないわよ？別に愛なんて全く要らないの。

私達はね？貴重なダンピールと子供を作れればいいの。

私達はハンターと言ってもただの人間だからね……。下級ヴァンパイアと隷属はこれまでも何匹か殺してきたわ」
と物騒な事をいう。

確かに昨日の殺し方かたは、ヴァンパイアと言えども酷い光景で…。
それにお嬢様が口を押さえる。
しまった！慌てて爽やかな花畑のイメージを頭の中で考える。

「真性ヴァンパイアは、中々姿を現さないんだ。隠れるのが上手いんだよ…。

私達が生きてる間あいだに見つけられるかわからない。それにどの道、子供を産むなら、少しでもヴァンパイアに近い奴を作って炙り出す！

ダンピールには真性ヴァンパイアを見つけ出せる能力が備わってる！

それに私達の復讐を継いでもらわないといけないもん！」
とココが言う。
復讐！？

「つまり……、

エレンのダンピールの遺伝子とやらを、

貴方達あなたたちの子供に受け継がせて、子供までハンターとして、その復讐とやらを延々としていくつもりですか？」
とお嬢様が言うと

「あら、勘かんのいいお嬢さんね。
話が早いわ。

そうよ。欲しいのは真性ヴァンパイアを倒せる子供。つまりダンピールの子供！」

「ダンピールと言っても、僕はそんなに強くないし。

それにだいぶ人間に近く、ヴァンパイアの能力だって、本物に劣るもので、血は薄れていくばかりです。

強くなんてなりませんよ？」
と言うと

「それでもダンピール達は、未だに少しは力を持っているじゃない？貴方あなただってね！

ねぇ、それに……。
人間の血を飲めば、ダンピールだって一時的に強くなるのよ？先祖返りかもしれないわね。……見返りに私の血をあげるからお願い！」

「ココも！こんな美形くんのためなら血をあげてもいいよ？

君……可愛いし、飲んでいいよ！」
とココがわざとらしく首元を見せつけてくる。

「嫌です！誰が！！

貴方達あなたたちの血なんて、飲みませんよ！！

生憎、
僕の家系かけいはいつも、
豚の血や動物のもので新月の時、
吸血衝動を抑えているのです！
人間の血なんて絶対飲みません！！」
と言うとミアは

「へええええ！？あらそうなの！？恋人なのに血もあげてないの？シンシアちゃん！！？

可哀想！！じゃあますます、私達の血を一番にあげるわよ？だから子供を！」

「断るって言ってるでしょ！？」
と言うとココは泣き出した。
ええええ！？

「ふええええん！！

だって！だって私達…！復讐したいんだもん！

故郷の小さな村を襲った恐ろしい真性ヴァンパイアの男を必ず見つけ出して殺したいんだもん！

一生かけて、子孫代々で見つけ出して、あのヴァンパイアの男を滅ぼしたいんだ！！」
と言って、わんわん泣いた。