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【コミカライズ】ヴァンパイア執事はお嬢様に心を読まれています

黒月白華

醜いヴァンパイア

いくつかの家は扉に厳重なヴァンパイア避けよけの飾りが施されていた。
もしかしたら家族を殺された家の者かもしれない。

夜も更け、出歩いている人は酔っ払い以外ほとんどいない。

それでも霧が立ち込めてきたので少し寒い。
僕は覚悟を決め…昼間、嫌な感じのした宿の方角に向かった。

もしかしたら真性ヴァンパイアがいるかもしれない…。

宿の近くに来たら、路地裏の暗がりで何か小さな声が聞こえて足を止めると…、凄く嫌な感じがした。

路地裏に恐る恐る足を踏み入れ、先へと進むと…

「ん…んん…」
と口を長い爪の手で押さえられた若い茶髪の女性が上半身の服を裂けられて真っ青になり震えていた。首筋に顔を埋める男は女性の白い首から血をジュルジュルと啜っていた!

僕は一瞬震えたが、女性の恐怖に震える目と合って、そいつに落ちていた石を投げつけた。

貴様きさま!何をしている!!?」
と動いて、女性と男を引き剥がした。
すると男は真紅の瞳と尖った耳と血に染まった牙を見せた。バケモノだ。

女性はふらりと首を押さえて倒れた。

「あんだよ?ディナーの時間を邪魔しやがって!
ああ?男は興味がないが、お前は美しい顔をしているな?」

その男は黒髪で口を真っ赤に染めて、赤い目を光らせた醜いバケモノだったが、口は聞けるようだ。これが純血を求めるヴァンパイア?

背は高そうで、ひょろりとしているが、青白いし、顔も別に良くない。

次の瞬間、消えたと思ったら、いつの間にか背後に気配を感じ、咄嗟にしゃがむと、ガチンと音がした。

「ちっ!勘のいい兄ちゃんだな?
うへへ、逃げ惑うのが好きだけどなぁ」
と笑うバケモノ。

「……お前は…!本当に純血のヴァンパイアか!?」
と問うと

「ああー?俺は食事をしてるだけだ。お前らも食事を摂るだろう?同じ事だ。家畜を殺し、肉を貪るむさぼる人間と何が違う!!?

当然のことだろう?俺にとっては人間も家畜だがな!」
と言うバケモノに怒る。

「違う!!人間は家畜じゃない!

守るべき弱き者だ!!僕はお前が嫌いだ!!」
と赤い目を向けると…、バケモノは笑う。

「何だよ?その赤く光る目は?お前同族か?いや、匂いが少し人間臭いくさいな?」

「一緒にするな!!」
すると、バケモノはポンと手を打ち

「おお、わかった!!そうか!お前…!ダンピールというやつか!?

くくくく!ただの成り損ないの愚かなヴァンパイアの子孫!!

死ぬまで本物の血になれないもんなぁああ!?

可哀想に!!凄い可哀想で涙が出てくるよ!!」

「だ…、黙れ!バケモノめ!!」
と睨むと、また掻き消えて、一瞬の隙で片足を捕まえて逆さまにぶら下げられた。凄い怪力だが…

「離せ!!」
と僕は渾身の力で、もう片方の足で奴の顔面に膝を曲げて打ち込んだ!

「ぐへ!!」
油断したバケモノが片足を外したので、僕は後方へと飛んで逃げた。

ぼたぼたとバケモノは鼻血を垂らし、こちらを睨む。

「ギイイイイイイイイイアイイイイイアイアアアイイイイアア!!!」
変な耳障りな叫び声が響いて、思わず耳を押さえる!!

くっ!!?

なんだ!?

むせ返る倒れた女性の血の匂いが濃くなった!!?

というか……これ!!?
まるで新月の時みたいに…、僕の感覚がおかしくなる!

まさか、さっきのこの男の変な叫び声のせいで!?

「キキキキ!!効いてる?ヒヒハヒハハ!!そりゃ少しは同じ血が入ってるからなぁ!!?」

「いや…!お前の血は入ってない!ご先祖様は人を襲わない善良なヴァンパイアだった!」
とクラクラしながらも応えると笑われた。

「イヒヒヒヒヒヒ!!善良な!?気狂いの間違いだろう?

だってよぉ?餌と結婚して、子供産んで阿呆じゃね!?そいつ!!」
とご先祖様を侮辱され、ますます僕はこいつが嫌いになる。

絶対にこいつは倒さなければ!この街の人達のためにも!!
と決意を固めていたら…

暗がりからなんと…
ゾロゾロと赤い目の男やら女が集まってきた。

「これは…」

「イヒヒヒヒヒ!!こいつらは俺の可愛いペットだよ!!」
と言う。
首に噛み跡…。下級ヴァンパイアか…。見境なく人を襲い尽くす…。
5人か。行方不明になった人達か、殺された人か蘇ったのかわからないけど。

「ちゃんとそいつを殺しとけ。お前ら。俺は食事に戻る」
とさっきの気絶してる女の人の元に行こうとしている!!まずい!!

その時だった。

「悪い悪いバケモノ!覚悟しなさい!」

「これ以上は好きにさせないからね!!」
と教会のシスターの様な格好をして、大きな十字架じゅうじかと、ニンニクのネックレスと、聖水と銀の剣を持つ、大きな胸の双子の女の子達が現れたのだった。

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