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【コミカライズ】ヴァンパイア執事はお嬢様に心を読まれています

黒月白華

離れない誓い

ん?

どれくらい経ったんだろう?

どうやら僕は、昨日眠っていなかったから、泣き疲れて眠っていたようである。薄らうっすらと目を開く。

気付くと何かふわふわした心地よい枕が……。

「枕じゃない!!」
ゴンと頭を叩かれて気付いた。

んん?

こ、この柔らかい弾力と嗅ぎ慣れた匂い…。もももも、もしやこれって…

僕はハッキリ覚醒した!!

「おおおお、お嬢様の膝枕ではーーー!!!?」
と触ろうとして、いきなりバッと起き上がられ、僕は盛大に洞窟の土にゴンと頭を打った。

「ふん!!このど変態金髪が!やっといつもの調子になったな!?」
と言われる。

そ、そうか僕…。
今までのことを思い出してきた。

そう言えば、いい歳して、しかも男なのに、年上なのに、子供みたいにお嬢様の前で泣いてしまって恥ずか死ぬ!!

お嬢様に迷惑をかけたし…、自分がバケモノには代わりない。

「お嬢様…!僕はやはり、お嬢様と一緒にいない方がいいみたいですね」
そうしょんぼりと俯いて言うと…、ストンとお嬢様は隣に座り

「は!?瓜坊を噛み殺したくらいなんだ?私をいつか襲ってしまうだと?

バカか?お前は?
そんなものなぁ!私はお前と初めて会った時からこうなるかもとずぅーーーーと!予想していたのだ!!

私はサトリだからな!!警戒して当然だ!!だがお前はなんとも間抜けなヴァンパイアもどきで、本当に阿呆すぎて全く私に手を出さないし、心底しんそこ私の幸せを願い、仕える気でいた」

「あ、それと恋もしてます」
と横槍を入れると、ゴンとまた頭を殴られた。

「とにかくっ!!お前みたいな間抜けで阿呆で、天然ド変態という訳わからん奴に、私の血なんて一滴足りとも吸わせないぞ!勘違いするなよ!?

いいか?ヴァレンティン!!お前は!だ、誰がなんと言おうと…!わわ、私の執事なのだ!!

どこまで行ってもその関係は変わらん!!」
僕は耳を疑った!
い、今…!今今今!
なんと言った?このお嬢様は?

「パウラ様?あの…今…い…」
しかし言葉は遮られた。

お嬢様がガバーと僕に抱きつき…、泣いて…

「だからお前は!私の元を勝手に離れる事など許さないのだからな!!主人の元を離れる従者がいるか!?

うっうっ!し、心配かけるなど!主人に心配かけるなどあってはならない!!」
と言われて僕は胸がきゅうとした。

お嬢様をきつく抱きしめ返した。

「……嬉しいです…。パウラ様…。名前を僕の名前を今、初めて読んでくれましたね?

そんな…名前など呼ばれたら…!

ううっ、こんなバケモノでもそばに…、

いたいと…、思っちゃうじゃないですか!!」
気付いたら僕も泣きながら抱きしめていた。

「ふん!お前の心のなかなど、お見通しだ!…うっ…うう、国境を越えて安全な街かむらへ着いたら、私から…、ひっそりと姿を消そうとしていたのだろう?…」

「ううっ…バレましたか」

「当たり前だ!お前は私に隠し事できると思ってるのか!?…グスン!…わ、私は!8年も引きこもりだったんだぞー!?グスン!

いいい、今、置いてかれたら!!
ふふふ、普通の人とのコミュニケーションなど取れないではないか!!

このバカ金髪め!!私を困らせて泣かせたいのか!?

私なんか一人にしたら、直ぐに人買いが来てどっか変な奴に売り飛ばされてしまうからな!」
と言われハッとする!!
そうだ!お嬢様を置いて逃げたりしたら絶対そうなる!この人なにもできないも…。
と考えてゴンとまた頭を殴られた。

そして片眼鏡を外して腫れた目で僕を綺麗なアメジストが捉えた。

「私から離れるな!」
と言われ僕は…、滲んだ赤い瞳で、お嬢様の手を自分の心臓の上に置いて

「かしこまりました…!一生お嬢様のおそばに!」
そう誓うと、どちらかともなく僕たちは触れるだけの短いキスを交わした。

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