【コミカライズ】ヴァンパイア執事はお嬢様に心を読まれています
バケモノの自覚
洞窟を出てから、少し行った所で、僕はまず、花を探したが見つからない…。
「クソ…!とにかく…、なるべくジッとしていよう…。ひ、一晩我慢してればいいんだ…」
しかし、先程見た、お嬢様の膝の血が頭に浮かんだ…。
今.戻れば……、
お嬢様の血を……。
しかし僕はハッとして
「な、なんて事を!!やっぱりダメだ!」
僕はとりあえず、植物のツルを見つけて何とか手頃な木に自分の手首を縛り付けた。片手と足首だけでも動かない様にしておこう。
「こうしておけば、動けないだろう。とにかく眠ろう…」
と目を閉じた。
そして、真っ暗な月の無い夜は、静かにやってきた。
目を閉じていても、感覚で何か生き物が歩いている気配がした。
そうか…。この辺りの動物は夜行性だ…。
生き物の呼吸、脈、心臓の音…まだ小さい…。
ゆっくりと目を開く。暗闇でもその生き物は、ハッキリ確認できた。可愛らしいまだ小さな瓜坊だ。
いつの間にか…、手首や足首のツルは引きちぎっていた。
僕は静かに、獲物を狙う様に、瓜坊を追いかけた。すると、たくさん花の咲いている場所に出た。白い花が無数に咲き誇っていた。とても綺麗な光景なのに僕は瓜坊から目を離さない。
離したくても離せなかった。
《血が…欲しい…。飲みたい。あれは僕の血だ…》
瓜坊は立ち止まり花の匂いを嗅いでいた。僕はとても静かに近寄り…、
瓜坊はそこで僕に簡単に捕まった。凄い力に押さえつけられ、ジタバタ暴れる瓜坊を見て、僕はニマリと笑っていた。
僕は抑えられない新月の日の、吸血衝動に、瓜坊の可愛いらしい首に、ガブリと尖った歯を突き立てて、その血を獣みたいに、ジュルジュルと音を立てて吸い殺した。
瓜坊の血は、白い花に飛び散って、赤く染まる。動かなくなった瓜坊の血を吸い尽くして…、
今度は咲いていた花の生気をたくさん吸った。みるみると周囲の花は枯れた。あんなに綺麗だった花が一瞬で枯れた。
僕は、やっと正気に戻った。
そして…、この光景を見て震えた。
恐ろしくなった。自らの存在が。
花はまだしも、まだ幼い命を自らの手で仕留めたことが怖くなる。
手についた瓜坊の血に愕然とした。
「あ……ああ……!」
普段は食料として、野兎を捌くのに。おかしなことだ。
でもそれは生きて行くために必要な「人間」の、昔からの知恵と工夫の調理である。
だけど、今、僕がした事は人間のそれではなかった。獣のように血だけを求める怪物だった。
僕が僕じゃない。大昔からある、ヴァンパイアの血が僕を襲った。ヴァンパイアの子孫のダンピールは、やはり何処かで人間とは違う。半分はやはりバケモノだった。
何故いつもとは違ったのか??
家族がいたから?家族は守るべきもの、安心していたから?皆がいたから冷静だった?
いつもと環境が違うから?
「なんで…こんな……!ううっ!ごめん!ごめんよ!!
こ、殺すつもりなんてなかった!!ごめん!こめんなさい!!」
僕は土を手で掘って、そこに瓜坊を埋めた…。
雲が出てきて、雨が降り始めて、次第に強くなる。でも僕はそこから動かずにいた。
このままでは、お嬢様をいつかこの瓜坊みたいに殺してしまう!!怖い!嫌だ!!
愛するお嬢様を僕が…!
いや、僕の中のバケモノが殺してしまう!気付かぬうちに!
お嬢様が赤く染まり、最後に冷たくなってしまったら…。
そう思うと、朝まで怖くて、眠れなくて膝を抱え震えた。
気がつくと夜が明けて、陽の光がさしてきた。暗い森の影を通り…、洞窟へと何とか戻った。
雨でボロボロで何度か、滑って転んだから、こんな姿を、お嬢様に見せたくは無かったけど、もし獰猛な動物が洞窟に近寄って、お嬢様を襲ったらと思うと、戻らないわけに行かなくて…。
でも…
洞窟に着いて、お嬢様の顔を見たら、ドッと涙が溢れてきた。
僕は大人なのに…!
お嬢様より年上なのに叫んで泣いた!
自分が、バケモノである事を、ようやく受け止めてしまったから…。
「クソ…!とにかく…、なるべくジッとしていよう…。ひ、一晩我慢してればいいんだ…」
しかし、先程見た、お嬢様の膝の血が頭に浮かんだ…。
今.戻れば……、
お嬢様の血を……。
しかし僕はハッとして
「な、なんて事を!!やっぱりダメだ!」
僕はとりあえず、植物のツルを見つけて何とか手頃な木に自分の手首を縛り付けた。片手と足首だけでも動かない様にしておこう。
「こうしておけば、動けないだろう。とにかく眠ろう…」
と目を閉じた。
そして、真っ暗な月の無い夜は、静かにやってきた。
目を閉じていても、感覚で何か生き物が歩いている気配がした。
そうか…。この辺りの動物は夜行性だ…。
生き物の呼吸、脈、心臓の音…まだ小さい…。
ゆっくりと目を開く。暗闇でもその生き物は、ハッキリ確認できた。可愛らしいまだ小さな瓜坊だ。
いつの間にか…、手首や足首のツルは引きちぎっていた。
僕は静かに、獲物を狙う様に、瓜坊を追いかけた。すると、たくさん花の咲いている場所に出た。白い花が無数に咲き誇っていた。とても綺麗な光景なのに僕は瓜坊から目を離さない。
離したくても離せなかった。
《血が…欲しい…。飲みたい。あれは僕の血だ…》
瓜坊は立ち止まり花の匂いを嗅いでいた。僕はとても静かに近寄り…、
瓜坊はそこで僕に簡単に捕まった。凄い力に押さえつけられ、ジタバタ暴れる瓜坊を見て、僕はニマリと笑っていた。
僕は抑えられない新月の日の、吸血衝動に、瓜坊の可愛いらしい首に、ガブリと尖った歯を突き立てて、その血を獣みたいに、ジュルジュルと音を立てて吸い殺した。
瓜坊の血は、白い花に飛び散って、赤く染まる。動かなくなった瓜坊の血を吸い尽くして…、
今度は咲いていた花の生気をたくさん吸った。みるみると周囲の花は枯れた。あんなに綺麗だった花が一瞬で枯れた。
僕は、やっと正気に戻った。
そして…、この光景を見て震えた。
恐ろしくなった。自らの存在が。
花はまだしも、まだ幼い命を自らの手で仕留めたことが怖くなる。
手についた瓜坊の血に愕然とした。
「あ……ああ……!」
普段は食料として、野兎を捌くのに。おかしなことだ。
でもそれは生きて行くために必要な「人間」の、昔からの知恵と工夫の調理である。
だけど、今、僕がした事は人間のそれではなかった。獣のように血だけを求める怪物だった。
僕が僕じゃない。大昔からある、ヴァンパイアの血が僕を襲った。ヴァンパイアの子孫のダンピールは、やはり何処かで人間とは違う。半分はやはりバケモノだった。
何故いつもとは違ったのか??
家族がいたから?家族は守るべきもの、安心していたから?皆がいたから冷静だった?
いつもと環境が違うから?
「なんで…こんな……!ううっ!ごめん!ごめんよ!!
こ、殺すつもりなんてなかった!!ごめん!こめんなさい!!」
僕は土を手で掘って、そこに瓜坊を埋めた…。
雲が出てきて、雨が降り始めて、次第に強くなる。でも僕はそこから動かずにいた。
このままでは、お嬢様をいつかこの瓜坊みたいに殺してしまう!!怖い!嫌だ!!
愛するお嬢様を僕が…!
いや、僕の中のバケモノが殺してしまう!気付かぬうちに!
お嬢様が赤く染まり、最後に冷たくなってしまったら…。
そう思うと、朝まで怖くて、眠れなくて膝を抱え震えた。
気がつくと夜が明けて、陽の光がさしてきた。暗い森の影を通り…、洞窟へと何とか戻った。
雨でボロボロで何度か、滑って転んだから、こんな姿を、お嬢様に見せたくは無かったけど、もし獰猛な動物が洞窟に近寄って、お嬢様を襲ったらと思うと、戻らないわけに行かなくて…。
でも…
洞窟に着いて、お嬢様の顔を見たら、ドッと涙が溢れてきた。
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