【コミカライズ】ヴァンパイア執事はお嬢様に心を読まれています
引きこもり8年①(パウラ)
ロベルトお義父様とイングリットお義母様が亡くなった…。
その事は部屋の前をバタバタ通る使用人達の心の声を聞いて、あっさり私に伝わった。
『旦那様と奥様が獣に襲われて、崖から馬車ごと落ちたって!?』
『可哀想に……。今日はパウラ様のデビュタントの為のドレスを取りに自ら足を運んだというのに、こんな事になっちまうなんて!!』
『侯爵家はどうなるんだ!?』
と声は聞こえてきた。
私は愕然とした。
死んだ?
私の事を心から大切に思ってくれた優しい人達が?
こんな…あっさり!?
扉を開けて出ようとした、その時に誰かの声で
『玄関でカトリーナ様とティルダ様が泣き崩れている……。そりゃ、悲しいよな。両親が亡くなって……』
『パウラ様は養女だし、どうでもいいのかね?引きこもって出てきやしない…。薄情な娘だな』
そんな声が所々から聞こえ、私は扉を開けるタイミングを逃した。
数日後、葬式が執り行われたみたいだ。私はショックもあり、部屋から動けないでいた。
葬式後はカトリーナお義姉様とティルダお義姉様が部屋の前でギャーギャー騒ぎ、罵声を浴びせられたが、一応形見となる、お義母様が最後まで離さなかったボロボロになったドレスを持ってきたので、私は扉を開けて箱を拾い上げ、金髪に夜会に出ると伝えた。
金髪はとても心配し、新しいドレスの手配や無理だとか言っていたけど、私はこのドレスでなくてはダメだと思った。例えボロボロであろうとも。
お義母様達が楽しみにしていたこのドレスを着てやる…。このドレスを着ることが葬式にも出なかった、私のせめてもの償いだ。
金髪が心の中でいちいち心配してきた。
しかし夜会の日になり、私は覚悟を決めた。使用人達も呼ばないで、1人で準備を進めた。だから髪はいつも通り梳かすだけで飾り気もない。ボロボロの、血のこびりついたドレスを着た。
鏡の前では、まるで墓から出てきたゾンビじゃないのか?とか思ったし、これから皆の前に出てどうなるかは予想が付いた。
時間になり、金髪に呼ばれて会場へと向かった。使用人とすれ違うたびに
『うわっ!!?な、なんだあれ!!?パウラ様!?』
『あんなボロボロのドレスを着て夜会に出るなんて、正気とは思えない!!』
『つ、ついに頭が…』
等、やはり口々にそう言う。
ホールの扉を開けると、一斉に皆こちらを振り返り沈黙したが、私には心の声が聞こえた。
『ひっ!!?な、何!?あ、あれは?』
『バケモノか?』
『ボロボロじゃない?どう言う事なのかしら?』
『パウラ様だよな?あれが噂の引きこもりの…』
『何かの催しとか?』
『気味が悪い子だわ…信じられない!』
中でもお義姉様達は
『パウラ!あの子!あのドレスを本当に着てきたわ!!手直しもせず!!見苦しい…!!』
『恥ずかしい!!でもいい気味かも?よく似合ってるじゃない?ボロが!』
と嫌味を露わにしていた。
それから私は皆に挨拶した。
「初めまして。カッレラ侯爵家三女のパウラ・ティナ・カッレラと申します。
この度は…、
私の夜会デビューに、
ご出席くださり、ありがとうございます。
このドレスは、お義父様とお義母様がこの日の為に用意なさってくれたものです!とても素敵なドレスでしょう?」
とドレスの裾を持ち、カーテシーをして、ダンスを踊らないかと皆に問いかけたが、
『おいおい、正気か?誰が踊るんだ?』
『無理無理!あんなのと踊る勇気のある奴いないだろ?』
『気分が悪いな!全く!』
『どうかしてる!!侯爵夫妻が死んで気が狂ったんだ!!』
『いいぞ!もっとやれ!中々楽しい余興だな!』
『貴族としての品位の無さがわかりましたわ…あの子はダメね』
等、声がバンバン出ていて、頭がキーンと痛い。
幸いお義姉様が部屋に戻ってなさいと言ったので、私は部屋にさっさと戻る事にした。金髪も慌てて付いてきた。
「お嬢様、あ、あの、大丈夫ですか!?」
《どうしよう…なんて言えば…。ああ、僕はどうしてあの場でお嬢様を守れなかったのか!?》
別に金髪のせいでも何でもないがこいつは私の心配ばかりしていた。唯一、私の為の夜会と心の中で思っていて、
《本当はこんなはずじゃなかったのに……旦那様達が生きてらしたら…、きっと自慢の娘だと紹介したのに…》
と金髪は泣きそうになる。
部屋に着いて
「それじゃ…」
と言い、扉を閉めた。
そして鏡の前で
「ロベルトお義父様…イングリットお義母様……。私…このドレスを着て夜会に出たよ?
皆には、変な子とか、気持ちが悪いとか、思われたけど…、2人の最後の希望は、ちゃんと私なりに叶えたよ…。
こめんね、私……、こんなことしかできなくて……ごめんなさい…」
と鏡の前でくず折れて、私は静かに泣いた。
その事は部屋の前をバタバタ通る使用人達の心の声を聞いて、あっさり私に伝わった。
『旦那様と奥様が獣に襲われて、崖から馬車ごと落ちたって!?』
『可哀想に……。今日はパウラ様のデビュタントの為のドレスを取りに自ら足を運んだというのに、こんな事になっちまうなんて!!』
『侯爵家はどうなるんだ!?』
と声は聞こえてきた。
私は愕然とした。
死んだ?
私の事を心から大切に思ってくれた優しい人達が?
こんな…あっさり!?
扉を開けて出ようとした、その時に誰かの声で
『玄関でカトリーナ様とティルダ様が泣き崩れている……。そりゃ、悲しいよな。両親が亡くなって……』
『パウラ様は養女だし、どうでもいいのかね?引きこもって出てきやしない…。薄情な娘だな』
そんな声が所々から聞こえ、私は扉を開けるタイミングを逃した。
数日後、葬式が執り行われたみたいだ。私はショックもあり、部屋から動けないでいた。
葬式後はカトリーナお義姉様とティルダお義姉様が部屋の前でギャーギャー騒ぎ、罵声を浴びせられたが、一応形見となる、お義母様が最後まで離さなかったボロボロになったドレスを持ってきたので、私は扉を開けて箱を拾い上げ、金髪に夜会に出ると伝えた。
金髪はとても心配し、新しいドレスの手配や無理だとか言っていたけど、私はこのドレスでなくてはダメだと思った。例えボロボロであろうとも。
お義母様達が楽しみにしていたこのドレスを着てやる…。このドレスを着ることが葬式にも出なかった、私のせめてもの償いだ。
金髪が心の中でいちいち心配してきた。
しかし夜会の日になり、私は覚悟を決めた。使用人達も呼ばないで、1人で準備を進めた。だから髪はいつも通り梳かすだけで飾り気もない。ボロボロの、血のこびりついたドレスを着た。
鏡の前では、まるで墓から出てきたゾンビじゃないのか?とか思ったし、これから皆の前に出てどうなるかは予想が付いた。
時間になり、金髪に呼ばれて会場へと向かった。使用人とすれ違うたびに
『うわっ!!?な、なんだあれ!!?パウラ様!?』
『あんなボロボロのドレスを着て夜会に出るなんて、正気とは思えない!!』
『つ、ついに頭が…』
等、やはり口々にそう言う。
ホールの扉を開けると、一斉に皆こちらを振り返り沈黙したが、私には心の声が聞こえた。
『ひっ!!?な、何!?あ、あれは?』
『バケモノか?』
『ボロボロじゃない?どう言う事なのかしら?』
『パウラ様だよな?あれが噂の引きこもりの…』
『何かの催しとか?』
『気味が悪い子だわ…信じられない!』
中でもお義姉様達は
『パウラ!あの子!あのドレスを本当に着てきたわ!!手直しもせず!!見苦しい…!!』
『恥ずかしい!!でもいい気味かも?よく似合ってるじゃない?ボロが!』
と嫌味を露わにしていた。
それから私は皆に挨拶した。
「初めまして。カッレラ侯爵家三女のパウラ・ティナ・カッレラと申します。
この度は…、
私の夜会デビューに、
ご出席くださり、ありがとうございます。
このドレスは、お義父様とお義母様がこの日の為に用意なさってくれたものです!とても素敵なドレスでしょう?」
とドレスの裾を持ち、カーテシーをして、ダンスを踊らないかと皆に問いかけたが、
『おいおい、正気か?誰が踊るんだ?』
『無理無理!あんなのと踊る勇気のある奴いないだろ?』
『気分が悪いな!全く!』
『どうかしてる!!侯爵夫妻が死んで気が狂ったんだ!!』
『いいぞ!もっとやれ!中々楽しい余興だな!』
『貴族としての品位の無さがわかりましたわ…あの子はダメね』
等、声がバンバン出ていて、頭がキーンと痛い。
幸いお義姉様が部屋に戻ってなさいと言ったので、私は部屋にさっさと戻る事にした。金髪も慌てて付いてきた。
「お嬢様、あ、あの、大丈夫ですか!?」
《どうしよう…なんて言えば…。ああ、僕はどうしてあの場でお嬢様を守れなかったのか!?》
別に金髪のせいでも何でもないがこいつは私の心配ばかりしていた。唯一、私の為の夜会と心の中で思っていて、
《本当はこんなはずじゃなかったのに……旦那様達が生きてらしたら…、きっと自慢の娘だと紹介したのに…》
と金髪は泣きそうになる。
部屋に着いて
「それじゃ…」
と言い、扉を閉めた。
そして鏡の前で
「ロベルトお義父様…イングリットお義母様……。私…このドレスを着て夜会に出たよ?
皆には、変な子とか、気持ちが悪いとか、思われたけど…、2人の最後の希望は、ちゃんと私なりに叶えたよ…。
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