【コミカライズ】ヴァンパイア執事はお嬢様に心を読まれています

黒月白華

駆け落ちの提案

「ヤバイ!お前!へ、変なことは考えるなよ!こここ、この変態金髪め!!

ちょっと背が伸びて、顔も良くなって力も強くなったからって調子に乗りやがって!!はは、離せ!」
と抵抗するお嬢様だが

「変な事とはどんな?」

「!!こっ、こいつ!私が心を読めるからって、口で恥ずかしいことを言わせようとしてるな!?性格が悪くなったか?」

なんのことでしょうか?」

「いい、今お前が考えてる事だ!やめろ!実行するなよ!!?」
と尚もジタバタするお嬢様を僕は離さない。
もう離したくない!好き過ぎる!

グルっと簡単に身体からだを回転させ、素早く顔を掴み僕はアメジストの瞳と目を合わせた。能力は使わない。

お嬢様の顔は真っ赤になっている。
お嬢様も僕の事を好きなら嬉しい。

「ひい!す、好きなわけ……!!」
と言うお嬢様の唇を奪おうとしたが、唇より少しズレた位置にキスを落とした。

直前まで、何度もしてきた頭の中の妄想は、お嬢様にキスをする事だったけど、すんでのところでやめた。今はこれで満足だった。

それでもこんな至近距離にお嬢様がいることで、ドキドキが止まらない。僕の顔も身体からだもたぶん全身熱い。

お嬢様の首にかけている十字架じゅうじかが僕の胸に当たって熱い!!

僕はもう一度、ほおにちゅっと小さな音を立てキスをして、お嬢様の顔を見ると、俯いて真っ赤になっていて可愛い。

「………っ!!可愛くない!!こここ、この変態金髪が!!」
ドンっと思い切り押されるが、2、3歩後退りあとずさり、昔のように僕は倒れなかった。まあ、あの細腕では僕を押し倒すことは出来ないだろう。

いや、押し倒されたいかも!?

「この変態金髪が!お前もう、私に近付くなっっ!!」
と心を読まれてヤバイと思った。

「ごごご、ごめんなさい!お許しください!つつつ、つい!8年ぶりの想いが止められなくて!」

なんで8年も経ってるのに、忘れないんだよ!こんな引きこもり女の事なんか放ってほうって、他の綺麗な女と結婚したらよかったのに!!

お前の年齢じゃ、選り取り見取りだろ!!」

「そんな!選ぶのはパウラ様だけです!!僕の一途いちずな気持ちを、わかってらっしゃるくせに!

他の人との縁談など、全て断りました!!僕を幸せにできるのは、お嬢様だけですし、今回のことで、よく分かりました!

お嬢様に良い人が見つかったら、諦めようと思っていました!でも…自分に正直になろうと思いました!どの道、心のなかは全てわかってしまうし!!

隠したって無駄ですから!」
と言うと慌てたお嬢様が止めに入る。

「待て!言うな!!バカ!もう読んだ!心読んだから!!」

「他の男性誰一人…パウラ様にあげません!僕だけのものになって下さい!

それに、ここにいたら、またカトリーヌ様が画策かくさくして、酷い結婚相手とまた無理矢理結婚させようとしてきます!

もう他の男の人との結婚なんて到底許せません!!

カトリーヌ様はおかしいですから!酷いことばかり、お嬢様にする!何度か催眠を使って諦めさせたけど、一時的で保たもたないし!」

「む、昔からそうだから!私のこと嫌ってるんだよ!お義姉様達おねえさまたちは!

私が鬱陶しくて、遠くの出来るだけ変な男の元にやろうとしてるんだ…」

「そこまでわかっているなら話が早い!一緒に逃げましょう!もうここにいる意味ないでしょう?」
と僕は真剣に言うと

「おおお、お前ええ!勝手に進めるな!!私は、べべ、別にお前のことなんかなんとも思ってやしないんだからな!

ほおにキスしたからって、いい気になるなよ!?相手の気持ちを考えろ、金髪め!」

「ご、ごめんなさい…」

お嬢様に言われて少し凹む。確かに無理矢理ほおにキスをしたのは悪かった。
8年間の想いが溢れ、冷静さに欠けていた。

凄く反省しているけど、侯爵にお嬢様がいたら、また酷い相手をカトリーヌ様が用意するだろう。

しかし…僕のせいで浮気騒ぎになり、ゴタゴタになっている今がチャンスなのだ!今しかないのだ!

「そ、それは…確かに…」

「一緒に逃げましょう!僕、馬に変身して、お嬢様を背に乗せて、どこまでも逃げれますよ!!」
と言うと、ブフッと笑うお嬢様。

「お嬢様が…わ、笑った」
な、なんて貴重な!!

「アホかって思って笑ったんだよ!!……でもお前の気持ちは置いといて逃げるのは悪くない。

私もそろそろ、あいつらから逃げたいと思っていた。カトリーヌお義姉様おねえさまとティルダお義姉様おねえさまは私の殺害計画を立てている」
と、とんでもない事を言った!

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