【コミカライズ】ヴァンパイア執事はお嬢様に心を読まれています

黒月白華

8年ぶりの再会と告白

思わず出てきたパウラお嬢様を抱きしめた!
だって!8年ぶりだ!!やっと出てきてくれた!!感動しかない!!

するとお嬢様が腕のなかでもがく。

「く…苦しい!!離せ!金髪!人が来る!!」
と言う。確かに人の気配を感じて僕は涙を拭き、

「では、お部屋でお話しを!!」
とお嬢様の手を引き、部屋の扉を閉めた。

足音と共に
「今音がしなかったか?」
「お嬢様の部屋の近くだぞ?気のせいか?お嬢様がトイレに行って、戻った音かな?」
「そうだなぁ…惜しかったな。もう少しで姿を見れたかもしれないのに」
「ハハハ!無理無理!ロベルト旦那様が亡くなられてから8年、ずっと引きこもっているんだぞ?」
「引きこもっても、トイレは部屋の外にあるから仕方ないよな。風呂は部屋についてるだろうけど」

と言いつつ、通り過ぎて行った。
ホッと息を吐くと同時に、まだお嬢様の手を掴んでいたことに気付いて慌てて離す。青白くて一回り小さくなった手だ。

20歳になられたお嬢様は、髪は伸びてボサボサだけど成長して、背はもちろん伸びていたし、女の人の身体からだつきになって……。とじっくりと観察していたら

「どこ見てんだ!変態金髪!!」
とドスッと拳で腹を殴れた。
ちょっとだけ痛かったけど、お嬢様のパンチだから有難く貰っておく!
それに久しぶりの罵りが返ってきた!!

「きもっ!」
とお嬢様が引いたが、会話してくれることが嬉しくて毒舌も気にならない!

「麻痺してんの??」

「お、お嬢様…パウラお嬢様!!こ、この8年!ずっとお姿を拝見できなくてどんなに僕が辛かったでしょう?

どこか身体からだを壊されてませんか?ご病気ではありませんか?今すぐに医者を呼びましょうか?」
もしなにか異常が見つかったら、大変だ!

「呼ばなくていい!私は健康だから!!」
ああ!夢のようだ!!さっき抱きしめた時も、いい匂いがしたから、ちゃんとお風呂にも入って……

「当たり前だろ!入ってるに決まってる!!臭くなるし…!髪は自分で切れなかった…」

「そうですか…。なら、僕が切りましょう!」
とにこりと微笑むと、薄らうっすら赤くなった気がした。

「ふ、ふん!そんなに言うなら切らせてやる!お前、腕はいいみたいだな!」
そう、実は以前に、うちの伯爵の領地で領民に挨拶に行った時に、家が貧しくて、
髪が伸びっぱなしになって、女の子みたいになってる男の子の髪を切ってあげたら、喜んで次々と子供達や大人も寄ってきて、たくさん切ってあげたことがある。

さながら臨時の床屋さんみたいになってしまったから、腕には自信ある。

シャキン、シャキンとハサミを入れていく。
ああ、美しいお髪おぐしを触れたことにも感動する。

白い髪は、耳よりかなり下の肩部分まで伸びて、その下は黒かった。伸びた髪の毛も美しいので、とりあえず腰より少し上、肩より少し長い位置まで整えて切った。黒い髪は少しだけ残る。これ以上伸びたら黒い髪無くなっちゃって白い髪だけになっちゃう。

床に散らばる髪の毛は、あとで集めて僕の宝物に…

「いや、捨てろ!変態が!」
と言われ諦めた。
そして髪を切り終え、鏡を見せる。

「どうですか?」
今は前髪も切り揃えた。片眼鏡を外し、久しぶりにアメジストの瞳が見れた。
警戒したのか、バッとお嬢様は片手で隠した。

「操りませんから!知ってらっしゃるでしょう?

いくら僕がお嬢様をお慕いしてるからって、そんな無理矢理好きになってもらおうだなんて…」

「いや、チラッと思ってるし!わかるし!このバケモノが!」
と言われてしまう。確かに隙あらばと思うこともあるけど…。お嬢様には僕の事を催眠をかけずとも好きになっていただきたい!
だってなんか反則のような気もするし。

そもそも一時的に好きになってもらっても意味がない。

うう!しかし気持ちが止められない!
さっきから、ドキドキして止まらない。お嬢様と同じ空間で息をしていることが、こんなにも嬉しく愛しいいとしいだなんて!

するとお嬢様が一瞬早く、逃げようとしたが、僕は後ろから、とうとうまた抱きしめ、綺麗な髪に顔を埋めたうずめた

「おい!きき、金髪離せ!」

「ふふ、嫌です。8年ぶりですから、お許しくださいね」

8年間、ずっとずっと扉越しに、心の中で僕はお嬢様を励ましたり、必死に告白をしたりした。病気にかかっていないかも心配した。

ロベルト旦那様が生前せいぜんに言っていた通り、そばにいたかった。扉越しでも。毎食、食べて生きててくれてただけで僕は嬉しくて堪らない!気持ちもどんどん溢れて、止まらない。お嬢様には僕の心はバレてるし、今更かもだけどちゃんと言いたい!!

「お嬢様…パウラ様!!8年前からずっと好きです!!愛しております!心よりお慕いしております!!」

「!!」
ビクっと震えたが、そのままギュッと抱きしめて離さなかった。もう本当に2度と離したくない、そんな気持ちでいっぱいだ。

伝わる熱が熱くて、実は首にかけた十字架じゅうじかも、手に当たって凄く熱いけど、気にしない。火傷をしても構わない!

《お嬢様…好きです!ずっとお顔を見たくて堪らなかった。叶うなら、僕はお嬢様の唯一になりたい!!》
心の中でも強くそう言うと…

「ひいいっ!」
とまた悲鳴が上がった。

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