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【コミカライズ】ヴァンパイア執事はお嬢様に心を読まれています

黒月白華

久しぶりの帰省

とある日に休暇をもらい、我が家わがやに久しぶりに帰ってきた。

僕の19歳の誕生日祝いもついでにしてくれる様だ。もう大人だし田舎の伯爵だし、そんなに大袈裟なものでなく身内だけのささやかなものだ。

しかし領民達に、帰省した時、軽い挨拶はした。

「あ、貴方あなたは…あのヴァレンティン様ですか!!?うおおお、ま、眩しい!!」

「いい男になるとは思っていたが、ここまで美形になられるとは!!」

「おいおい、うちの母ちゃんに色目使わないでくださいよ!?」
となんか若い男性からは、ちょっと警戒された。

「ハハハ…。流石に、そんな気ないですよ!僕には、お慕いしているかたがいますので!」
とキッパリ言うと、男性達はホッとしていた。お嬢様一筋ひとすじ8年を舐めちゃいけない。

女の子達に見られた時は、目をハートにしてプレゼント責めに遭った。

「ヴァレンティン様!!私フローラです!!覚えてますか!?」

「私はマリーよ!」
と口々に言ってくるけど、所々しか思い出せない。誤魔化して適当に

「ああ…う、うん、フローラにマリー…皆も元気そうだね…ハハ…」
とか言っておいた。それに女の子達はうっとりし始めたから、慌てて我が家に帰った。

その晩は、ちょうど新月で、今日は家族で昔みたいに豚の血と薔薇ばらの花をお皿に盛っている。

人間の母と兄のお嫁さん達は、相変わらず普通の食事で、僕達の食事の光景もすっかり慣れている。

「ヴァレンティンお帰り!!そして19歳おめでとう!お前に結婚の話…」

「お断りします!」
父にハッキリと言うと父はため息をつく。

「はぁ、絶世の美青年だと言うのに!引く手数多あまただと言うのに!なんでそんな一途いちずな!」

「しかも叶わない恋でしょ!いいわねぇ!!」
とスヴェア母さんと長男の兄嫁アリスさんに、次男のフィリップ兄様にいさまのお嫁さん(8年の間に結婚した)レナさんや三男のアンセル兄様にいさまのお嫁さんのナタリーさんがホウっとする。

この8年でちょっと新しく我が家の秘密を知るお嫁さん達がいたが2人ともしっかりと秘密を漏らさないから安心だ。そりゃまあ、そういう誠実な人を兄様達にいさまたちは選んでるから当たり前だけど。

だけど僕がいつまでも結婚相手や恋人などを作らないと知り、一応紹介してくるから困る。

「うるさいなぁ!僕はお嬢様の幸せを願ってますから!良い人が現れたら、もちろん身を引きます」

「ええ?でも引きこもりじゃない。他に出会いなんて無いでしょ?」
と言うとアッサール叔父さんが罰の悪そうな顔をした。叔父さんも休暇を貰い、我が家わがやに帰省中だ。

「…それが…ほら、長女のカトリーナ様が結婚して婿さんが家を継いだだろ?んで次女のティルダ様も婚約者をもったよな…。

んでカトリーナ様の旦那様が…パウラ様に縁談を用意したんだと…。ヴァレンティンに直ぐに言えなくてすまん」
と言ったので僕は仰天した。

「な、ななななな!ええ、縁談!?パウラ様に!?あ、相手はどこの馬の骨ですかっ!!」
と叔父さんの首をガシガシ掴んで揺すった。

「ぐえ!落ち着け!」

「落ち着いていられるかっ!!」
とユサユサガクガク凄い速さで揺すったのを流石に兄達や父が止めに入った。

「おいやめろ、アッサール叔父さんが死んでしまうぞ!ヴァレン」
と長男のルードヴィグ兄様が言う。
次男のフリィップ兄様、三男のアンセル兄様も

「死にはしないだろうが、首のほね、折りそうだな」

「物騒なこと言うな!ゲホ…。ヴァレンティン…。

あ、相手は辺境伯様だよ…。」

「辺境伯様の妻が子供が産めずして亡くなったらしく、数年が経ち、辺境伯様は娼館で遊んだりして気を紛らわせていたが、一人の女を孕ませてしまい、その女と結婚と思いきや、いきなりその女は事故に遭い、腹の子共々亡くなってしまったらしい」
と言うから

「なんですか!?そのキナ臭い辺境伯様は!!?しかもかなり年上なのではないですか?一度結婚してたんでしょ?」

「ああ、なんでもハゲた、いやらしいクソジジイらしいが、辺境伯の跡取りを産まねばならないからと、そのカトリーナ様の旦那の親戚のツテで、パウラ様に白羽しらはの矢がたったらしい」

「はぁーーーー!?ハゲたクソジジイいいい!?」
と僕は怒りに震えたのであった。

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