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【コミカライズ】ヴァンパイア執事はお嬢様に心を読まれています

黒月白華

消えない想いの8年

僕、ヴァレンティン・クリスティアン・ヘドマン伯爵令息は19歳になった。

正直…自分でもめちゃくちゃ美形になったと思う。朝の身支度で鏡を見て、一応変なとこはないかチェックする。
これでも一応は、この侯爵に置いてもらってる身だし、きちんとしとかないとね!!

「よし!今日も完璧だ!!

…ああ、完璧な僕をお嬢様に見せたい!!

早く出てきてくれないかなぁ…」

ヴァンパイアは鏡に映らないから、自分の顔はわからないとされている。だから、昔の真性ヴァンパイアのお祖父様おじいさまは、自分の顔は知らない様だった。顔がいいとも思ってなかったらしい。

ほかの真性ヴァンパイアもそんなところだけど知恵のあるヴァンパイアは、人間を操りあやつり、魅了のじゅつを使っていたとか。しかもプライドが高く、綺麗な乙女の血を吸って、殺すのが趣味のヤバイ奴ばかりらしい。

しかし、退化した子孫のヴァンパイアダンピールは、半分は人間の血を持っているので、普通に鏡を見ることができた。だから僕や家族達は鏡を見て姿を確認できた。

父は子供の頃に、お祖父様おじいさまの似顔絵を一生懸命描いてかいて渡していたみたいだけど…父は絵がド下手で結局、街で普通の絵師に頼み、肖像を描いてかいてもらい、お祖父様おじいさまは自分の顔を認識していたらしい。

絵の前で

「ほう…私は…こういう顔か。中々なかなかいい面構えつらがまえじゃないか!ふふふ…」
と自画自賛していた。

お祖父様おじいさまは、ヴァンパイア界ではだいぶ変わっていて、仲間からは変人扱いされたらしい。お祖父様おじいさまは穏やかなかただったらしく、人間の血を吸って殺すなんて、と考えるくらいだから、仲間外れにされても仕方ないのかも…。

小さい頃、お父様やイェルハルドさんから話を聞く兄達や僕は

「お前達のお祖父様おじいさまは、お優しいヴァンパイアであった。他のヴァンパイア達は私達の事を見下していたけど、私は父を尊敬していた。何より愛してもらったからね」

大旦那様おおだんなさまは素晴らしいかたでしたよ。本当に。私もスタッファン様や、こうしてヘドマン伯爵の皆様をお守りできて心より嬉しく思います!

血は薄れても、この身と共に何代も付き従わせていただきたい所存でございます」
と肖像画を見せながら語る、スタッファンお父様と執事のイェルハルドさん。

「そういえば、ヴァレンて、ちょっとお父様に似ていないか?雰囲気とか」

「そうですね!大きくなったらきっと大旦那様おおだんなさまに似た、お優しい美形になられるかと」
と言うから僕は照れた。
お兄様達は

「ヴァレンずるいぞ?俺たちだって美少年だろ?」

「ヴァンパイア界では美形は普通じゃないか!?」

「ていうか僕等ぼくらは皆、金髪赤目だし、似たり寄ったりじゃん?基準はわからないけどさ。まあ、この中じゃ僕が一番かもね」
とか兄弟で誰が一番美形かと、似た様な顔つきで競っていた頃もあり、

僕にも多少は自画自賛の血が流れてるのかも…。

僕…かっこいいよね!?
お嬢様に成長した僕を見せたい…。
同じ様に成長したお嬢様も見たい!
な、何せなんせ8年もお姿を見ていないのだ!

「くっ!み、見た過ぎる!!」
お嬢様が成長した姿を想像して楽しむことしかできない!背はもちろん、きっと色々な所が成長してるかも…。絶対可愛いだろうし!!

と僕も、年頃の思春期を乗り越えてきたので、ちょっとだけ大人なパウラ様も想像して1人で悶えもだえたりした。我ながら一途いちずだと思う。

僕の8年の恋心は、お姿を見れなくても消えなかった。

もちろん言い寄ってくる女の子は山程いて、カトリーナ様やティルダ様も何度も言い寄ってきたけど、そのたびに一時的なじゅつをかけ、僕は操りあやつり、2人に夜会で他の男性を好きになる様に操ってあやつってを繰り返したのだ。

結果、カトリーナ様は別の男性と結婚させることができた。ティルダ様も婚約者を作る事になんとか成功した。

「お前もよくやるなあ…」
と叔父さんに笑われた。 

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